「・・吉岡さんのことはわかったけどさ・・エプロン兄ちゃんのことは?・・兄ちゃん、別に黒崎さんのこと怒ってなかったぜ?・・・俺が聞いたかぎりでも・・・黒崎さんに責任あるとは思えねぇ~けど?」



壱哉からの意味深なメッセージを気に掛ける樋口にはああいったが、やはり壱哉の責任とは思えなかった。



「・・・違うんだ、新・・・樋口のことはやはり俺の責任だ」



あっさりと非を認めた壱哉を気にかけながら、新は気になっていたことを尋ねた。



「・・・だからエプロン兄ちゃんに会いに行ったのか?」



無自覚だったとはいえ、知らぬ間に樋口に対し嫉妬を感じていたことに恥じ入りながら問う新に壱哉は答えた。



「・・いや、樋口に会いに行ったのは確かめたいことがあったからだが・・それは俺の勘違いだったようだ。だが問題はそこじゃない。・・・・新、本当の樋口は『夢』を叶えた。


・・・あいつは父親の遺志を見事に実現できたんだ」



――え?



新は壱哉の言った言葉の意味を考えてみた。

そして壱哉がなぜ責任を感じるのかわかってしまった。



「・・・なかったことにしたってことか?・・・エプロン兄ちゃんっ・・親父さんの夢叶えられなかったって・・自分のこと責めてたんだぞ?・・・そんなん・・あんまりだ」



新の脳裏に悄然と肩を落とす樋口の姿が浮かんだ。しかしそれでも、惚れた弱みで新にはそれ以上、責任を自覚している壱哉を責めることはできそうになかった。



(・・吉岡さんなら、黒崎さんのせいじゃないって言うと思うけどさ)



「・・やっぱり黒崎さんにも責任はあると俺は思う。でも・・・俺だって同じだ。黒崎さんがいくら望んでも、俺は忘れるべきじゃなかった。・・ごめんな?」



!!



「・・・新・・・ありがとう、やはりお前は最高の恋人だ」



愛しい新を抱きしめた壱哉は、全てが元通りになったと思いながらも、拭えぬ違和感を覚えていた。