それから、後ろ髪を引かれた風に何度もこちらを振り返る新と公園で別れた壱哉は、とりあえず様子見も兼ね傘を取りに一度【新のアパート】に戻ることにしたのだった。





一旦部屋に戻った壱哉は新が乾燥させておいてくれた傘を手に取り、取って返すように外に出ると階段を降りたところでちょうどやってきた大家と鉢合わせた。



「ああ・・どうも。先ほどは・・・お騒がせしてしまって・・」(-500,000)



悪夢の床下浸水を引き起こしてしまった身として、出会い頭に詫びをいれると大家もさすがに困惑した面持ちで言った。



「はあ・・まあねえ。私ももっと早くに声かけてたら良かったのにねえ・・っと、そうそう×号室の○○さんだけれども・・ちょうど帰省しててねえ・・ほら、今の時期は盆休みで皆さん帰省してるみたい。・・・だから、居るのは私ら夫婦と・・・・清水君とこくらいで」



事情を知る大家ならではか、新の話題を出した時だけ憚るように声をひそめたが、だからこそ様子見がてら気を遣いスイカの差し入れにでもきたのだろう。


そもそもいくら権力を笠に着たところで律儀な大家としては、親身になっている少年の窮状を見逃すはずはなかっただろうことは壱哉にもわかった。



(・・・本当に新のことを案じている良い大家なんだろう・・・そのことに俺は感謝しなければな)(+500,000)



出会うまでの二年間、新がどんな思いで過ごしてきたのか察することしかできなかったが、それでもこうして気にかけてくれる者の存在があったことが重要なことであったのだと思い、壱哉は心の中で深く頭を下げた。



大家の話では階下の住人は帰省中で数日は戻れないとのことで、修繕に関しては大家に委任したとのことだった。



大家と別れ気を取り直した壱哉は今度こそ【樋口生花店】へと向かった。





※実在する店名とは関係ありません。またゲーム中にも登場しないこの作品だけの設定です