・・・・・・・・・
・・・・・
!
「・・・・待って・・くれ・・・?」
目を覚ました壱哉の視界には薄汚れた天井が広がっているだけだった。
?
「ここは・・・そうか・・おれはまたこの世界に戻ってしまったんだな。くそっ」
!黒崎壱哉は【悪夢】を見たことで、S・G残高が大幅に減少した!
(-5,000,000)
悪夢にうなされ大幅に寝過ごしたかに思えたが、腕時計を見るとまだ10時を少し過ぎたところだった。とりあえずシャツを羽織った壱哉は、スーツのジャケットから携帯を取出しコールした。
「・・吉岡がでない。・・どうしたんだ・・?」
しかし携帯は呼び出し音がなるだけでいっこうにつながる様子もなかった。
「くそっ・・まさか俺にバレたことに勘付いたネピリムの奴が邪魔をしているんじゃないだろうな?」
この世界のカラクリはおよそ把握できたと言っても、依然としてネピリムの方が有利だった。
そのくせ、アレ以降いっこうにネピリムはその姿を見せることはなかった。
苛立ちを抑えながら携帯の電源を切った壱哉は気になっていることを整理することにした。
(もしかすると、誰か俺の知っている奴に化けて紛れ込んでるんじゃないだろうな?)
―――だが、断じて新ではない!!
何故なら壱哉が新に全身全霊で愛を捧げているからだ。
『真実の愛』を何よりも嫌悪する捻くれ者の悪魔がそれに耐えられるはずはなかった。
出会ってからの不自然な差異の理由はおそらくだが、ネピリムのせいではなかった。
それでも説明のつかないことはやはりあった。
――なぜ、新は『夢』を失ったんだ?
最初は気のせいだと思っていた。
突然自分が転がり込んだことで、余分な時間を浪費してしまいたまたま『勉強』をしなかったのだろう・・と。
しかしその次の日も、新は食後に勉強するそぶりすら見せずに、さっさと寝てしまったのだ。
バイトの空き時間や、自宅でも時間を惜しむように大学に進むために勉強していた新がだ。
『俺、将来は弁護士になりたいんだ』
しっかりと未来を見据えて、希望に満ち溢れていた新の姿とこの世界にいる新とはまるで重ならなかった。
――なぜ?
焦燥にかられながら、まるで新の夢の片鱗を探すかのように壱哉は室内を見渡した。
――ない!!
しかし目につくところに壱哉の求めているものは見当たらなかった。
――くそっ!・・・どこだっ!!
壱哉はとりえず目についた小型のチェストの引き出しを開けて中を漁った。しかし新の数少ない私服が入っているだけだった。荒い息をついた壱哉は、膝立ちのまま布団の海を進みそのまま真後ろに位置する押し入れの扉を開いた。