「・・・黒崎さん?」



「ああ・・すまない、大丈夫だ」



「?・・ならいいんだ。・・・はあ、それにしても今日も暑くなりそうだよなあ・・・こんな日は麻婆豆腐でも食いたいなあ・・そういや豆腐買ったかな」



後半は壱哉にというより、ひとりごちながら立ち上がった新は期待したような面持ちで冷蔵庫を覗きこんだが、すぐに残念そうに肩をすくめ席に戻った。



「・・・なかったのか?…豆腐」



あまりにも残念そうな様子が気にかかり尋ねると、新は力なく頷いた。



ひらめき電球



さて、なんて応えたものかな



★俺が買いに行ってやる(+100,000)



「新、今日はこの辺りを少し回ってみようと思うんだが・・もしよければだが、俺が豆腐を買いに行ってもいいか?」



すると申し出が意外だったのか、新は一瞬だけ迷うそぶりを見せたもののすぐに極上の笑みを浮かべた。



「ほんとに?・・なら黒崎さんにお願いしてもいい?・・・えっと、じゃあ・・これお金渡しとくからさ、無駄遣いしないでくれよな」



黒崎壱哉はアイテム【お駄賃】を入手した!

!黒崎壱哉はお使いを頼まれた!



「これ・・いいのか?・・金なら俺が」



なんとなく年下の少年から買い物費用を出してもらうことに抵抗を感じてしぶる壱哉に新が慌てたように言った。



「いいって!だってさ・・これぐらいさせてくれよ。言っただろ?俺がメシ代は出すからって・・だからいいんだ」



新のせめてもの矜持なのかもしれないな、と思い直した壱哉はためらいがちに頷きかえすと、預かった小銭を大切そうに懐に仕舞い込んだのだった。(+100,000)



「あ、黒崎さん・・【商店街】の場所わかる?」



心配そうに尋ねる新に壱哉は笑顔で答えた。



「ああ、それなら心配ない。昨夜も言った通りここは一応(・・)地元だからな」



(一応って久しぶりの地元だからって意味か?)



壱哉の微妙な言い回しが気になったのか、新が不思議そうな面持ちで首を傾げたが、バイトの時間が差し迫っていたのか、速攻で食器を片づけ身支度すると、元気よく出かけていたのだった。



!行先に【商店街】が追加された



三日目/昼



新が用意した昼食を平らげた後、壱哉は自説を確かめるべくアパートを出た。

無論、新が信頼して預けてくれた合鍵で戸締りすることも忘れなかった。



昨日確かめた時は確かに四方を囲むように障壁があった。今尚周囲は霧で閉ざされてはいたが、一方だけ霧がすっきりと晴れた場所があった。



壱哉は覚悟を決めると、ゆっくりと霧に囲われたアーチを潜り抜けた。






やがて薄らとたなびく靄の先へと足を踏み入れた壱哉は、いつの間にか商店街のど真ん中に佇んでいた。周囲の様子を伺ったが、寂れた商店街には人っ子一人の姿もなかった。



「・・・どうやら無事【商店街】に辿りつけたようだな。・・・ここは以前訪れたこともあるし、新と遭遇したこともあったからいけるんじゃないかと思ったんだが・・思った通りだったな」



無事辿りつけたことに安堵した壱哉はここに来た本来の目的を思い出した。





「ありがとうございました~」



商店街を歩き回り、やっとのことで見つけた小さな豆腐屋で無事買い物を済ませた壱哉が、親切な店員に見送られ豆腐の入った袋を手に外に出ると往来には先ほどはなかった活気が戻っていた。



壱哉は初めて買った木綿豆腐をまじまじと見ながら、新から頼まれたお使いが無事果たせたことに心から安堵していた。

(+100,000)



「・・・あとはこれを無事に持って帰るだけだな。・・・新の作る麻婆か・・楽しみだ。・・・まだ時間はあるし、せっかくここまで来たんだからもう少しこの辺りの店を冷かしていくか」



きっちりと隙なく黒スーツを着た長身の二枚目が豆腐を手に立つ様は、寂れた商店街の中で一際異彩を放っていたが、壱哉は気にした風でもなく、歩き出そうとした矢先のことだった。