山口
「
・・と、ところで
あれだけの料理を君と吉岡さんの二人だけで用意するのは大変だっただろう?」(上手く誤魔化せてたらいいけど。それにしてもあの煮もの・・本当に美味しかったなあ。・・まさにお袋の味ってやつだね。作ったのは清水くんかな、やっぱり)
吉岡
(む、話題が変わったようですね。ホッ)
樋口
「黒崎にも手伝わせれば良かったのに」(黒崎のエプロン姿想像したらなんか笑える)![]()
新
「あれ、樋口さん知らないんですかあ?・・黒崎さんってなんでもできる人だけど料理はちょっと苦手みたいで」(す~ぐ一緒に作りたがるけど・・・さすがに今回は構う暇が・・・今度時間ある時にでもまた一緒に練習するか
)
山口
「・・・・・・」(ははは
前にうちで卵
させたからなあ・・・あれはすごかった)
吉岡
「
・・・苦手なものは誰にでもありますから」(すみませんっ壱哉様・・さすがにフォローできませんっ)![]()
樋口
「そうだったんだ。意外だよなあ黒崎って料理オンチなんだ・・そういえばあいつ、君の作った卵焼き嬉しそうに一人占めしてたね」(黒崎でもあんな顔するんだなあ・・ちょっと新鮮だった。あいつ・・いっつも真っ黒だから)
彩り豪華な料理が並ぶ中、小皿に盛られた素朴な出汁巻き卵を目敏く見つけた壱哉が嬉嬉として皿ごと独占する様を思い出した一同が笑いをこらえながら顔を見合わせる中、新だけは照れたように笑みをもらした。
新
「・・・・・へへ
」(あれ、黒崎さんに食べて欲しくて作ったんだ)
山口
「・・・無理もないよ。どの料理も手が込んでてとても美味しかったからね。一也もすっごく美味しいって喜んでたよ」(清水くん以外大人ばかりだったけどあんなに楽しそうな一也の笑顔見たの・・何年ぶりだろう)
新
「ありがとうございます。俺、大人数で飯食うのなんか久々だったから・・楽しかったです。あ、・・それに吉岡さんのローストビーフ、楽しみにしてたんですけどすっげー美味しかったです。焼き加減が絶妙で・・」(みんなに誕生日祝ってもらえたし、吉岡さんにも料理のコツ色々教えてもらえたし・・勉強になったな
)
吉岡
「いえ、清水さんが手伝ってくださったおかげですよ」(あなたは飲みこみが早くて本当に助かります。久し振りに腕を振るってみたのですが・・私も楽しかったですよ・・清水さん。) ![]()
樋口
「・・・どれも美味しかった。一足早く
が来た気分だよ」(あ、この二人・・なんかお姑さんとお嫁さんみたいだなあ)
和気あいあいと料理について皆が盛り上がっている間、廊下に佇み肩身の狭い思いをしている壱哉の姿があった。
壱哉
「
・・・料理オンチで悪かったな。これでも少しは上達したんだ。新だって褒めてくれたし」![]()
新につきっきりで教えてもらい、目玉焼きに挑戦したことを思い返す壱哉の脳裏に、身近で感じた新の体温が愛しくよみがえった。できることなら今すぐ新を抱きしめたかったが、さすがに今居間に乱入するのはばつが悪かったので壱哉はさらに様子を伺うことにしたのだった。
新
「あ・・そだ。吉岡さん、この手袋ありがとうございます・・バイク乗る時、丁度いいなあって」(最近、あんま乗ってねぇけど・・吉岡さんの運転する車に黒崎さんと乗っけてもらう方が多いもんな)
吉岡
「・・・いえ、よくお似合いですよ。ですがバイクに乗る際はくれぐれもお気をつけくださいね、清水さん」(あなたに何かあれば壱哉様が悲しみますから)
樋口
「・・・なんか手袋ってのが微妙な気が・・・」(あれって・・叩きつけたら決闘するんだっけ・・?昔の人って短気だなあ)
山口
「・・・そうなのかい?」(手袋か・・今度、一也の分編んであげようかな・・
ふっけの腹巻とおそろいで)
話しが一段落つたのを機に気付いたように山口が言った。
山口
「それはそうと・・・黒崎君の姿がさっきから見えないようだけど・・・・」(吉岡さんはここにいるし・・黒崎君、どうしたんだろう
)
新
「・・・そーいえば。黒崎さ~ん?」(楽しくって黒崎さんいないことに気付かなかったなんて・・俺、なにやってんだろ
)
きょろきょろと辺りを見まわし自分を探す新に応じるために居間に入ろうとした丁度その時、壱哉の携帯が振動した。電話は例の友人からだった。首尾よくいったか報告する約束になっていたのを思い出した壱哉は新の姿を愛でた後、携帯を手に洗面所へと向かったのだった。