目覚めた時すでに隣りに新の姿はなく、ふと寂しさを覚えた俺は新の姿を探しキッチンへと向かった。


階段を降り廊下を進むと、やがてキッチンの方から人の気配がして俺は安堵した。



俺の嫁、新は毎朝俺が目覚める前に起き、俺の為に朝飯を作ってくれる気立ての良いヤツだった。


キッチンから換気扇の音と共に俺の大好物のみそ汁の香りが漂ってきて、俺は急に空腹を感じた。



壱哉

「新・・・おはようラブラブ



キッチンに足を踏み入れ声をかけた瞬間、新は余程驚いたのか小さな肩をビクリと震わせると一瞬にして凍りついたように動きを止めた。



ビックリマークビックリマーク




「く、黒崎さんあせる!?」



壱哉

はてなマーク・・・新、すまない・・驚かせたか?・・どう・・」



したんだ・・という言葉を思わず飲みこんだ俺の視線が捉えたのは、俺のシャツを羽織りしどけない恰好をした新の姿ではなく・・・右手に湯気の立ったヤカン、そして左手に何か小さな袋を持った新の姿だった。



新がサッと隠した小袋に記載された文字を俺は灰色の脳細胞をフル活動させて呼び起した。



オレのみそ汁  おふくろの味



壱哉

(・・・・・・・・・・・なっ!?)



壱哉

「・・・・あ・・新・・・今何を隠したんだ?」



俺はきっと寝ぼけているのだろう。気立てが良く素直な俺の嫁、新が俺にインスタントの味噌汁を手作りと偽って飲ませるはずかない。




「・・・え、な・・なんでもね~よあせる



気まずそうな面持ちで心なしか上ずった声で歯切れ悪くそう言うと挙動不審のまま新はすっと目を逸らした。



ド~~~~ン



壱哉

「ま・・まさか・・お前!?」ガーン



衝撃に凍りつく俺をチラリとねめつけた新は嘆息すると肩を竦めながら開き直ったように言った。




「別にいいだろ?これ、美味いんだし。いつバレるかなあって思ってたけど黒崎さん気付かねぇんだもんな」



壱哉

「あ、新・・・」(・・・だ、だから早起きしてたのか・・・ヨロッ)




「そんな顔すんなよ。いいじゃんか、俺一人暮ししてたからさあ・・インスタントのみそ汁重宝したんだよあ・・へへ」



壱哉

「・・・・」(呆然)




「俺もこれ好きだし・・黒崎さんだって美味いって感激してくれたじゃん?・・だから、いいだろドキドキ?」



そう言って上目遣いで俺の顔を覗き込んだ新の笑顔は・・・・



とても愛らしかった



クソッ完敗だ!!



壱哉

「そ、そうだな。俺も・・その味が好きだドキドキ」(もちろんお前も好きだぞラブラブ!



すると新は満面の笑顔で嬉しそうに頷いてくれた。




「良かった。黒崎さんならきっとそう言ってくれると思ったぜ」



チュッラブラブ



俺の首に両腕を回し、伸びをして口付けてくれた新の笑顔に、俺も気付いたら笑顔になっていた。




「大好きだぜ?黒崎さんラブラブ



ドキドキ



それから俺達は並んでみそ汁をすすった。



ズズズッ・・・ホッ



ああっ・・俺は幸せ者だ。こうして愛する新と一緒に熱々のインスタントのみそ汁を飲めるのだから・・



俺は・・俺の嫁、愛すべき小悪魔・・新を愛してやまない








暗転