お詫び・・カフェリンドの23及び25は掲載を控えさせていただきますのでご了承ください![]()
少年Aサイド
このまま寝てしまうのがもったいなくて、心地良い疲労感に抗いながら、うつ伏せに並んでベッドに寝そべったまま俺達は言葉を交わした。
俺の視線の先には机に乗った小さな写真たてがあった。この部屋に入った時、最初に目に付いたものだった。すぐに逸樹に抱きしめられてしまって、確かめることができなくなってしまったけれど・・・
―――まだ愛してるのかな
逸樹がかつて愛して・・忘れられない女性にまで嫉妬してしまう俺は心が狭いかもしれない。すると、逸樹が落ちついた声で俺の好奇心を満たしてくれた。
「・・・彼女は真由子・・僕の恋人だった人です」
俺は静かに頷くと、正直に打ち明けた。
「・・知ってる。・・・渡辺さんから聞いた。」
すると逸樹が身を強張らせたので、俺は不安を感じながら逸樹の言葉を待った。
「・・先ほど君が孝之さんとホテルから出てくるのを見ました」
―――!!
まさか見られていたとは思わなかった。でもその直後に逸樹が俺の前に姿を現したことから考えれば辻褄があった。
「・・・でもっ・・・それは・・」
逸樹の様子から、誤解が生じていることに気づいた俺は必死に言葉を募ったが、穏やかな逸樹の声がそれを遮った。
「・・・わかっています。君と隆之さんの間に何もなかったということは・・榛名、君が隆之さんと一緒にホテルから出てきた時、僕は君を疑いました。・・君を捨てた僕にそんな資格はないというのに・・・僕は隆之さんに笑顔を向ける君の姿に嫉妬しました。・・・でも君を抱いて・・君がまだ僕だけのものだとわかった時は・・・とても嬉しかった。」
そう言って、俺の唇にそっと口付けた逸樹に言いたいことは色々あった気がするけれど・・俺はただその唇を受けとめた。
俺が考えていた以上に、逸樹は臆病で嫉妬深いんだとわかったから・・・俺と同じなんだってわかったから・・
だけどこの際だからこれだけは言わせてもらった。
「・・・渡辺さんは酔っ払いの俺を介抱してくれただけだって。大体逸樹みたいな物好きがそうそういるわけないだろ?」
そう言ったら、逸樹が憮然とした面持ちになった。
「・・・なにを言ってるんです?そんな隙だらけだから隆之さんにホテルに連れこまれてしまうんですよ。酔った君を介抱だなんて。もう君は僕の恋人なんですから。これは一度釘を刺しておかないといけませんね。篠原君といい・・油断も隙もないですね。」
逸樹の口から篠原さんの名前が出て、俺は内心ドキリとした。
(・・・あ~~・・もしかして篠原さんが何か言ったのかな?)
世慣れた人だからきっと上手くはぐらかしたとは思うけど、何故か逸樹をからかって反応を楽しむ篠原さんの小悪魔っぽい微笑みが脳裏に自然と浮かんだ。
それはともかくどうやら逸樹の中では俺を狙う男が多数いる妄想が膨らんでいるみたいで・・その姿に呆れた俺だけど・・ふと酔った俺に篠原さんがしかけた悪戯を思いだした。
・・・ははは・・まさか・・ね?
俺は俺の平和のために、そんな物好きが他にもいるなんてありえないと結論付けたのだった。