この作品はゲーム中に登場する『悪夢イベント』をイメージしたものです。
黒崎壱哉、清水新、山口幸雄の3人がメインで樋口崇文、吉岡啓一郎はちょびっと登場します・・あ、補足ですが・・悪夢中、カプはありません。目覚めた後、黒崎壱哉×清水新になりますのでご了承ください。結局『きのこドラマCD』は聞き損ねたし・・悪夢イベントも全部回収できなかったのですが・・『きのこ』で作品作りたいな~って思い、安直に『きのこ』の話になっちゃいました。
新に怒られ気落ちした俺に気を使ったのか、山口が取り成すように言った。
「さあさあ・・焼けたよ~まだまだ沢山あるからどんどん食べて」
吉岡と樋口が一緒に買出しに行ったと聞いていたからてっきり食材が足りないのだろうと思っていた俺の視線の先に大きめのレジ袋から溢れ出た大量のきのこの山が見えた。
「・・・食材が足りないんじゃなかったのかよ」
吉岡の不在に対する苛立ちもあり、納得がいかずにぼやいた俺を不思議そうに小首を傾げながら新が見た。
「・・・見ればわかるだろ?きのこならまだたくさんあるぜ?」
数分前のことを忘れたように新が言った。
「だってお前が言ったんだろ?二人は買出しだって!?」
おかしなことばかりでイラつく俺に新はケロリと言った。
「あれ・・そんなこと言ったかぁ・・?」
「・・・言っただろ」
若いのに健忘症ぎみの新にさらにつっこみを入れようとした俺に、山口がのほほんとした顔で言った。
「あ、それあれじゃないかな~?」
すると新も訳知り顔で相槌を打った。
「あ~そか、あれかぁ・・」
再び始まった「アレアレ」トークに軽い頭痛を感じながら、俺はつっこんだ。
「だからっアレってなんだよ!?」
ゼエゼエと荒い息をつく俺に、山口が親切顔で言った。
「あれと一緒だよ・・・お花を摘みにいきましょう・・・みたいな・・う~ん言わば符丁っていうのかな?」
(――はあ?オハナヲツミニイキマショウ??)
全く理解できなかった俺に、言葉が足りなかったことに気付いたのかさらに山口が説明を加えた。
「お花を摘みにいきましょうって言うのはね・・・トイレに行くって意味なんだよ」
「・・・はあ?花とトイレとどんな関係が・・ひょっとして芳香剤か・・?・・・まあそれはいい。で?買出しに行くってのはどういう意味なんだ?」
すると二人は意味深に顔を見合わせた。
「・・・言っちゃっていいのかなあ・・これ。僕が言ったってのは内緒にしてほしいんだけど・・」
(・・・なんだ?・・まさかあの二人になにかあるのか?)
樋口が昔の知り合いだったことを気にかけた様子だった吉岡の顔がちらつき、急に不安になった俺の脳裏に何故か強風のふきつける商店街で大根を構えた吉岡とカニを両手に握った樋口が緊迫した面持ちで睨み合い対峙する姿が過った。
「壱哉様・・・この吉岡漢見せます!!若造!!壱哉様が欲しいならこの私の屍を越えて行け!!」
「・・・・一撃で仕留める。この日のために磨いた俺の必殺技!比翼連打ラブマーックス!!いっけ~
太郎!
美~!!かじられた恨み思い知れ~~!!」
「うわ~~~」
交差する二つの影、互いに背を向けたまま相打ちになりゆっくりと倒れていく・・
(はっ!・・まさか・・俺の寵を競ってあいつら・・・って樋口は俺とタメだぞ・・若造はないだろ吉岡)
冷静につっこみを入れつつもすっかり悲劇のヒロイン気取りだった俺に山口が言いづらそうに言った。
「・・・つまりあれだよ・・大人の事情というか・・ね、わかるだろう?」
もってまわった言い方をされ一層首を傾げる俺に焦れたのか、新がバッサリと切って捨てた。
「にっぶいなあ黒崎さん、そんなのページの都合に決まってんだろ?」
「・・・・・・・・」
「・・・・聞かなかったことにする
」
ページの都合で削られてしまった吉岡と樋口を不憫に思いながらも俺はやっとのことでそう言ったのだった。