モータージャーナリスト・中村コージンのネタ帳

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モータージャーナリスト中村コージンが、日々乗ったクルマ、出会った人、趣味の世界を披露します。

Fと言えば…真っ先に浮かぶのはフェラーリだろう。次はフォードか?いっそのことフォードvsフェラーリにすればとも考えたが、やはり個人的にはこれ。ファセルヴェガだ。

当たり前だが、自分のクルマだからである。

このクルマが我が家にやってきたのは今から40年ほど前のことだ。当時から不調ですでにエンジンは3気筒だった。なので、おもいきってエンジンを直すためにイギリスに送った。で、空いたエンジンルームを眺めながら、せっかくだからフルレストアだ…と威勢よくスタートしてみたものの、考えてみたら資金ゼロ。すぐに放置状態になった。

そんなわけだから、1年後にエンジンが返ってきても、とりあえずは当時レースをやっていたミニのショップに預けた。これがいけなかった。数年後そのミニのショップはなくなり、以来エンジンレスで今も我が家で徐々に朽ち果てている。

ファセルヴェガというブランドはFACELとVEGAから成る。Forges et Ateliers de Construction d'Eure-et-Loir。英語表記だと forge and construction workshop of the department of Eure-et-Loirつまりは金属加工会社の頭文字である。これがFACEL。その会社が作り始めたクルマの名前がVEGAであった。創業者ジャン・ダニノという人。手始めに作られたのはベントレーであった。

このクルマのエンブレムが凄い。

生産したのはピニンファリーナだが、なんと珍しいファセルとのダブルネームのエンブレムだ。

ファセルが自らの自動車生産に乗り出すのは1954年のこと。最初のモデルはFV1といった。

この時すでに搭載されたエンジンはクライスラー製のV8である。そして発表当時フランス唯一のプレステージカーであった。

有名になるのはこれ

HK500と呼ばれたモデル。写真で傍らに立つのはランス・マクリン。あのルマンの悲劇的な事故で帰らぬ人となった人物。彼はファセルベガのエクスポートディビジョンで働いていた。でも、ネガな面でこのHKが有名になったのは

立ち木に激突したHK500だが、乗っていたのがアルベール・カミュだったことで有名になってしまった。そしてこのクルマは速い。1960年10月26日には、ベルギーロイヤルオートモビルクラブによって、HK500の速度記録237.154㎞/hが公認された。その時のドライバーはポール・フレール氏である。

こんな豪華な4ドア車も作った。これはエクセランスという名のモデル。背景からわかる通り、日本にあったクルマだ。これには乗った。

ファセル最後のモデルとなったのがこれ。

ファセルⅡという名前のモデル。自分のエンジンをイギリスに送った時、このクルマで駅まで送ってもらった。めちゃ速い。その性能はジャガーXK150やアストンマーチンDB4に匹敵したという。

ファセルのインテリアはとても魅力的。

こんな素敵なウッド調だが、なんとこれ、手描きの絵なのだ。鉄板にウッドの絵が描いてある。イギリスに行った時にインパネ治すのに手描きしてもらうといくら?と聞いたら時価と言われた。😅ファセルを話し出すと長くなるのでこれでやめる。