【2005.06.03】-Ⅱ-の続きです。





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モノレールは乗りなれた路線

沿線上にある自宅まであとは目を瞑っても

 

 

つけそうなぐらい。

 

 

座りなれた手すりを右手にした

出入り口傍のシート

 

 

肩を擡げ

片手で開いた小説の世界へと入り込んでいく・・・。

 

 

 

ここまでで幾つもの恋の物語があり

 

 

 

僕にもそんな物語があり

誰もに様々な物語がある。

 

 

小説の多くはフィクションで

実在する世界に架空の人物を動かしていく

 

 

それなのに何でこんなにも

立体的で人間臭いんだろう

 

 

 

皆隠し持った願望や素顔を文字に置き換えているからだろうか?

 

 

 

誰しもが今いる自身とは違う

本当の自分の幻想を描いているからだろうか?

 

 

 

読み終えて少しだけ

深く考えてみる

 

 

 

すると窓ガラスに雨粒のぶつかる音が聞こてくる。

 

 

 

 

「帰るまでもたなかったか、、、」

 

 

 

予想してたよりずっと激しい雨だ

 

 

巡らせた考えを雨音に散らされた頃

最寄り駅に着く。

 

 

 

降りてみると

車内から見るよりずっと強く

 

 

雨が降っていた―

 

 

 

 

改札の先の屋根の下で

たくさんの人が迎えを待っている

 

 

 

雨の中、走って帰る者もいる。

 

 

携帯で大きな声で外に迎えに来てるらしい家族と

話してる男もいる。

 

 

 

僕は一人だ。

 

 

 

急に淋しいような・・

とても哀しいような・・・

 

 

 

小説を読んだ所為かいつもよりずっと

センチメンタルになっていた僕のココロは

 

 

 

大粒の雨の降る外の世界が

とても怖くて

 

 

その先で手を差し伸べている

迎えに来る人たちと、構内で待っている人との出会いの様を

 

 

 

ベンチに座り込んで幾つも見送っていた。

 

 

 

きっと悪い癖だ

この世界にいながらその存在がどんどん虚ろになってく感じ・・・

 

 

 

暖かなふれあいを見る

僕の瞳の光が空色になっていく

 

 

 

雨を降らせ、雷を堕とす

ドス黒い雨雲に満ちた空の色に・・・。

 

 

 

そして僕はゆっくりと立ち上がる

すでに感情は閉じ込めた。

 

 

 

少しも怖くないし

僕の体はぶよぶよとしたもので包まれる感じ。

 

 

 

何者も受け付けない

何も感じない。

 

 

 

傘を手渡されるサラリーマンの横を通り過ぎ

水浸しの階段を

 

 

ゆっくりと降りる。

 

 

 

一段ずつ、均等な速さで・・

するとやがて手足の動きが視認するよりワンテンポ遅れ出す

 

 

 

少しずつ少しずつ

肉体を操りココロを浮かべる、、、

 

 

 

駅の出口に差し掛かり

細かな雫が足元に跳ね返ってきて

 

 

頭上からは

特大の雨粒が等間隔に地面を弾いてる

 

 

 

「―雨の中を歩くなんて

失恋して悲劇に酔うドラマシーンみたいだな」

 

 

そして僕はギリギリのところで

一度立ち止まりメガネを外した。

 

 

 

濡れて視界が悪くなるというのもあるけど

雨の中を歩くなら

 

 

素顔のままで歩こう、、

 

 

不意に思い浮んだワンシーン

其処にメガネは要らなかった―

 

 

 

けして、足早に歩いたりはしない

構内を歩いてた時と同じ速さで

 

 

いつもより姿勢に気をつけながらゆっくりと歩く

 

 

 

次々とくる雨粒のカーテンも

横を傘をさして通りすぎる自転車の人も

 

 

何もかも遠くに感じられた

 

 

現実にいる自身の存在も

過去の記憶も

 

 

まるで自分のものじゃないみたいに

遠のいていく、、、

 

 

 

何故哀しい時、雨に打たれたくなるのかわかった

 

 

 

雨の中では何もかも遠のいていき

痛みは一時的に鈍くなり

 

 

不規則に刻まれる雨粒の刺激で

考えを巡らせる事もなくなる。

 

 

何一つ解決なんてしやしないけれど

一時の平穏を与えてくれる雨は

 

 

 

やはりとても優しい。

 

 

 

駅から家までの677歩

想い出した哀しみはひとつ・・・。

 

 

 

 

 

「―君は雨が好きだったね。」

 

 

 

 

びしょ濡れた髪をかきあげて

姿勢に気をつけて歩く

 

 

 

俯いていては泣いてる背中が目立つから・・・。

 

 

   【-18:05-】

 

                   ―自宅扉前