はじめての週末を迎え俺なりの理由で一番キツイ死角ブロックを担当した場面よりの続き…
昼過ぎまでは俺たちの実力でもなんとかこなせる客数だったが午後2時を境に家族連れや若い女の子グループにカップルたちがドッと押し寄せてきた…
情報屋を見ると顔が青ざめ完全にビビっている…
『いらっしゃいませ~♪』…
高校生くらいの女の子四人組みがキャッキャとはしゃぎながら入ってきた…
カウンターとその前のブロックは満席でメインブロックは少し空きがあったが彼女たちはそのまま死角ブロックに向けて歩いてゆく…
《来やがったなぁ…》…
四人がテーブルにつくのを見計らい注文を取りにゆく…
『いらっしゃいませ…
ご注文はお決まりでしょうか?…』…
『ワタシどれにしよっかな~と…え~とねぇ…』…
『あっミユキこれにする~これこれ~』…
『どちらでしょう?』…
『じゃあミワこれにしよっかなぁ~これってカワイイも~ん』…
《コ…コイツら~肉饅が潰れたみてぇなツラしやがってぇな~にがカワイイ~じゃボケ~サッサと決めやがれ》…
『ウォホン…どちらでしょう?』…
『このパイナップル&マンゴー&キウィのココナッツミルクトロピカルパフェね~』…
『じゃあワタシ~プリン&コーヒーゼリー&シュークリームのミントアイスサンデーねぇ』…
『うわぁ…ごめんねぇ…
売り切れちゃったんだよねぇ…人気あっから…』…
『え~じゃあコレは?…
え~コレも~え~…
だったらどれがあるの~』…
『オリジナルって頭に書いてるチョコレートパフェとフルーツパフェとサンデーしか残ってないんだよねぇ~ホントごめんねぇ~…
もう少し早かったらなぁ…
あとジュースはみんな大丈夫だよ…
フードはサンドイッチがすっげぇオススメね♪』…
『じゃあチョコレートパフェを二つとフルーツパフェにクリームソーダにミックスサンド二つね~』…
『はいは~いありがとうございま~す♪…
少々お待ち下さ~い』…
( ̄∀ ̄)クックックッ…
《作戦成功じゃ~い》…
終業時間近くまで状況を見ながら死角ブロックならではの【売りきれ作戦】を駆使し乗り切った…
『バカじゃねぇ~の』…
夜の部を前に少し客足の落ちつく時間帯に入りホッとしているとチーフの怒鳴り声が聞こえた…
『何度言ったら解るわけ~ぁあ~?…
だからお前の書き方じゃオーダー通らねぇって言ってんだろうがよ…
サブさんもいい加減な伝票で通すのやめて欲しいんだよなぁ…
みんなに示しがつかないんだからさ』…
情報屋が今にも飛びかかりそうな勢いでコブシを握っている…
ポーラが目配せしてくる…
すんでのところで情報屋の腕を掴み更衣室に押し込んだ…
『チーフ…今日はじめての土曜なんだからしょうがないわよ…
よく頑張ったと思うよこの子たち…』…
『ふん…庇うってか?…
まぁコイツらのことはさて置きサブさんのやり方は店を任されてる俺の立場としてはガマンならんワケよ…
お前だって解るだろうが…』…
サブさんとは厨房を任されている厨房長のことだ…
チーフは二十歳前後だろうから明らかにサブさんのほうが年上なのだが頭ごなしに叱責され悲しそうに俯いている…
チーフの憎々しげな態度を見ていると俺までムカついてきた…
不穏な空気を察知してポーラが俺たちに促す…
『もうお客さんもいないし今日は上がっていいわよ』…
いつになく強い口調に押され情報屋を連れ大人しく店を引きあげた…
取り敢えずオケラハウスまでバイクを飛ばす…
店内に入るとちょうど学生グループが数名で帰るところだった…
『おっケンちゃん久しぶり~…
なんやバイト始めたんやってなぁ…
え~らいウワサになってるで飲食やて?…
いつまで続くか賭けてるヤツらもおるらしいでぇ…
オレらもこれからバイトやから…まぁ頑張って稼ぎや…じゃあ』…
『ふん…クソガキらが…
ケンカじゃ屁の突っ張りにもなりゃ~せんが口だけは達者やのぅ…
どうせオドレらが賭けの胴元やり腐っとんじゃろ』…
『……………………』…
なぜかケンカっ早い情報屋が黙ってうつむいている・・・
『お前…辞めたいっちゅうて言うつもりやったんやろぅ?…
アホかぁ…アイツらの思うツボやぞ…
それにこのまんまならあのクソチーフに尻尾巻いて逃げることになるだろぅが…
愛しのポーラちゃんが泣くで…どないする?』
『そ…そやなぁ…あのクソチーフもギャフンと言わさなイカンが…
やっぱポーラちゃんとは運命感じるんじゃ…
ワシャ辞めんで…
辞めるもんか~い』…
『よっしゃ決まりや…
その心意気に免じて明日のために俺の作戦を授けたるわ…よう聞けや…』…
『…というわけや…死角ブロックでしか使うたらアカンで…
回り見ながら多用し過ぎんようになぁ…
なんでオススメがサンドイッチかやて?…
そりゃ食いやすいやないかい…
死角ブロックなら客の残したサンド食い放題やで…』…
(゜∇゜)…
そんなこんなで翌日の日曜日もなんとかクリアし新たな週へ…
チーフはまた俺たちのことを空気扱いし無視しているから逆に楽だった…
しかしサブさんはいつも暗い顔をして厨房で一人でいて誰とも話さない…
ポーラは学校が始まり夜の数時間と日曜日しか入れず会う機会が減ってしまった…
そんな状況の中でバイトを始めて二回目の週末を前に嬉しい知らせをうけた…
まったく予期せぬ知らせだった…
それは…次回にて…
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