アクトタウン加盟店 Replay↓↓↓↓
超微細振動 トリノックスホームページ
http://trinox-t.com
四人が沈黙しこれから起きる出来事をお互いに予感している場面からの続き…
永遠に続くかと思われた沈黙は呆気なく破られた…
公園の入口付近に野太い排気音を響かせながら一台の車が停車している…
すでにみんなも来訪者が誰か予期していたようだ…
野獣が敢えて存在をアピールするが如く狂ったようにアクセルを吹かしエンジンを切る…
『来たようやなぁ…』…
スポーツカー特有の低い車体から這い出るように降りた黒い影がこちらを窺っている…
『ナオさん…こんな時になんやけど…俺はてっきりアンタとアイツがデキてると思うてたんやが…
それがサブさんやったとわなぁ…』…
『ケ…ケンちゃん何言うとんや…アホなことを…
アイツとサブさんがポーラと…て…ア…アイツ?…
アイツて誰よ?』…
一人はまだ来訪者が誰か気づいていないようだ…
『ワ…ワシらなんでもない…なんでもないんや…』…
真っ赤になって否定しているサブさんを尻目にポーラは来訪者に冷たく醒めた視線を送り続けていた…
獲物を見定めたように黒い影がゆっくりと我々に近寄って来る…
影は二体に別れ四方を見回すと黒い影が同じ間隔でじわりじわりと迫って来ていた…
『あはは…囲まれてるで…』…
黒い影がすっかり姿をさらけ出し喋りはじめる…
『こりゃこりゃ皆さんお揃いで…
なんやコイツらまで…
助っ人にでも雇ったつもりかよ?』…
『もぅ…ほっといてよ…
なんでワタシたちの邪魔ばかりしなきゃなんないの?…』…
『邪魔なんてする気ねぇよ…
お前こそあんなにしつこかったのになんで急に手のひら返すような態度なワケ?…』…
『どうしてそんなに自分勝手なの…
いいかげんにしてよ…
ワタシだって県外の行きたかった学校受かってたけどアンタが地元に居てくれって言うからこっちの大学選んだんじゃない…』…
『う…うるさい…だから帰って来たんだろうが…
お前のためによ』…
『よ…よく言うわよ…
大学受かって東京行くとき連絡先も教えてくれなかったじゃない…
帰って来たのだってなんかトラブルでも起こして手に負えなくなったから尻尾巻いて逃げ帰って来たんでしょ…
ワタシたちバンドの練習があるんだからもう帰るわよ…
サブさん行こう』…
『な…なに~バンド~…
そのバンドだって元々俺が作ったんじゃねぇか…
勝手なことばかりしやがって~クソッタレが~
バンドで飽きたらず女まで乗っ取りやがって~
この恩知らずの泥棒野郎~』…
チーフは大声で叫びながらサブさんの傍らに置いてあった黒い塊を持ち上げ地面に叩きつけた…
《《《グワッシャ》》》…
『な…なにするんや~』…
そう叫ぶと同時にサブさんがチーフの胸ぐらを掴み押し倒していた…
黒い影が一斉に集まりサブさんに襲いかかろうとする…
『待て…みんな手出すな…あはは…ほらなぁ…
ナオ見てみろや…これがコイツの本性だぜ…
コイツがなんでウチの店に来ることになったか教えてやっただろぅが…
こうやって世話になってた先輩を大怪我させてカタワにしちまったんだよなぁ…なぁサブちゃん…
あははは~コワイコワイコワイよ~あははは~』…
サブさんがうなだれながらチーフから離れた…
まるで地獄を覗いたような顔をしたサブさんがボソボソと喋り出す…
『ナオちゃんは…ナオちゃんは…アンタの…ことが好きで…
アンタの…アンタの…
アンタの赤ちゃ…』…
『やめて~』…そう叫んでポーラが泣き崩れる…
『うるせぇ~んだよ…
それだって誰のガキだかなぁ…この尻軽…』…
《《《グワッシャ》》》…
勝手にカラダが動いていた…
『おい二人~ナオさん守れや』…
クソ野郎は壊れたギターケースの一撃で鼻っ柱がへし折れダラダラと鼻血をタレ流している…
取り巻き連中が気色ばむ…
『動くな~オドレらぁ~クソガキの目ん玉くり抜くぞぅ…
シャバゾウがぁ~ホンマのケンカ教えたらぁ』…
鼻血で息が出来ず開けている口にギターの残骸を突っ込みブーツの底で踏みつけた…
《《《グゲェッガ》》》…
クソ野郎の悲鳴に取り巻き連中が青ざめる…
『テメェらがドコの誰ベェかなんぞ調べりゃすぐやでぇ~…
どうせこのボンクラにくっついて来ただけだろぅが…
な~ら許したるから早いとこ帰れや…
気の変わらんうちにのぅ…』…
『……………………』…
『帰れっちゅうとんじゃボケ~』…
取り巻き連中は蜘蛛の子を散らすようにアッと言う間にいなくなった…
『さぁてとチーフさんよ…
お楽しみはこれからやで…
覚悟せんか~い…ん!?』…
目の前にポーラがいた…
チーフを庇うように座り込みこっちに向かって手を合わせている…
赦してやってくれと懇願するように…
サブさんも傍らで一緒に手を…
『お互い痛みわけやのぅ…
なんもなかったことにしようや…アンタは事故でそうなった…
俺らももう少し店やめるワケにイカンのや…
それで収めるならこれ以上はなんもせぇへん…
ええなぁ?…』…
三人が頷いている…
『おぃ…帰るで…』…
公園をあとにし二人でまた歩きだしたがお互い何も喋らない…
別れ道にさしかかると情報屋が意を決したように話しはじめた…
『ケ…ケンちゃん…ゴメン…お…俺…最初から知ってたんや…
ポーラが…あの店で働いてたん知っててケンちゃん誘うたんや…
一目惚れいうやつかのぅ…
無い知恵しぼって今回の絵図描いて…
一人で行く勇気のうてケンちゃん巻き込んでしもうたんや…
ホンマに…ホンマに…』…
ポロポロと涙を流している…
『わかった…ホンマに好きやったんやなぁ…
いっしょに仕事してて益々好きになったってとこか?…』…
『うっ…うっ………』…
『あないなことになったら顔合わすのもツライわなぁ…
すまなんだのぅ…
よっしゃ…お前明日から行かんでええわ…
そのかわりに…』…
『…………………』…
次の日出勤すると約束通りの状況になっていて少しホッとした…
三人がどうなってゆくのかについては知りたいとも思わなかった…
無事に三日ほど過ぎ仕事帰りにオケラハウスに立ち寄ると嫌な連中に顔を合わせた…
『やぁケンちゃんまだ頑張ってるんやってなぁ…
相棒はもうとっくにケツ割っとんのに…
なんかゴタゴタしたらしいけど大丈夫かいな?』…
『まぁなぁ…ところでお前ら俺のこと賭けとるらしぃのぅ…
光栄やで…
自分が馬でも乗れるんなら一口乗りたいんじゃがどうや?…
当然今月いっぱいは辞めんてほうになぁ…』…
『か…賭け!?…あぁ…そうらしいなぁ…
でも俺ら胴とちゃうで…
話しは繋げれるけどよ…』…
『ほうかぁ…まぁ賭けれるならどっちゃでもええわ…
辞めんほうに今月の給料全部や…
どうやウケるか?』…
『きゅ…給料全部て!?…
アレの話しじゃ…あっいやいや…』…
『ビビっとるんなら無理せんでええんで…
学生さんイジメてもしゃ~ないしのぅ…』…
『べ…別にビビってへんけどよ…
やっぱケンちゃんさすがに人気者やなぁ…
辞めんほうがエライ多くてよぅ…
ま~たまたそっちが増えるとなりゃ賭けにならんがのぅ…
う~んしゃあない…
よっしゃ…ウケた…
いますぐ発行するわ』…
《ふん…逆だろうが…
吐いたツバ呑むなよ》…
奴らは意気揚々と引き揚げて行く…
その最後尾の男が店を出る瞬間振り向き…
小さなウインクをして立ち去った…
口笛を吹きながら…
あの曲は確か…
あの子と同じ名前…
明日に向かって前へ前へ
【完】