栗を煮る。のおはなし。 | おはなし。

栗を煮る。のおはなし。


パリは曇りのち雨。
このあいだお店みかけた素敵なグレーのアンゴラセーターみたいな曇り空。



おはなし。



そんな日はうちで猫と一緒に栗の渋皮煮でもつくるのがいちばんよいすごしかた。





私のうちは、大通りに面しています。

夏の夜なんかは酔っぱらいのけんかや歌声やら、ほんとにうるさくて辟易してしまいますし、
夕方の渋滞時などは意味もなくならされるクラクションの音に血圧もぐぐっとあがります。

けれども気に入っているところがあって、
それは
その大通りを境に、古き良き巴里の下町と、無国籍な下町に分かれているところ。

なので、食材に関しては、どこの国のものでも手に入る、と言った感じで、とても楽しいですし、
少しあるけば巴里風下町なのでここでもおいしいフランスの食材はおおかた手に入るという、幸せロケーション。ありがたい事です(`・ω・´)ゞ

パリっこ下町風の方にある、お店の食材は
どこかで英才教育をうけてきたんじゃないのか、とおもうほど、みんな立派。
お行儀よくならんでいて、
いかにも職人風のお店の無口な親父達は、無国籍下町で毎週3回くりひろげられる、南国の陽気なノリの1kg1€のたたきうりのおやじ達とは雰囲気も違う。いみもなく怖い。そのくせ優しい。ふ、ら、ん、す人!って感じなのですよ。よくも悪くも。

まあ、
その界隈はそんなお店がとてもおおくて、
お肉屋さんも、お惣菜屋さんも、チーズ屋さんも、ワイン屋さんも、魚屋さんetcと、軒を連ねているので、
私も買い出しのたびに、ちょくちょく気になる物を買ってしまいます。

無国籍下町にくらべればお値段もぐっといい感じまであがってしまいますが、
古くからの職人気質の店主達のお目にかなった食材達のお味はびっくりするほどおいしいのです。

角の八百屋の前を通り過ぎるとき、
ふと、目が合ってしまいました...オレンジ色の光の下に積み上げられた栗達と..

そのうえ、
頭上で点滅するノエルのイルミネーションを、つやっつやの皮に反射させ
点滅のリズムにあわせて
ふくふくに育った栗達が、わたしにむかって
「し、し、渋皮煮にして、もんぶらんけーーーーき!」
と、歌っているではありませんか!

その上、すっかり栗達のとりこになっているわたしを
横目で察知した八百屋のおやっさんは
無言で裏からさらにつややか取れたて栗を麻袋いっぱいに持ってきて
使い込まれたナイフをぽっけからとりだし、なれた手つきで麻袋をさっくり切って
私の前ににこりともせずに、お披露目します。
無造作にきられた麻袋の口から
身の詰まったいい音を着た、さらなるふくふくの栗達がころころ袋から躍り出ます。


うぬぬ。通常の倍以上する..それでもあきたらず、オーガニック食材のお店の栗より高いけど...

でも、気がついたら「1kg、しるぶぷれ.....」と、言ってしまいましたよ...


私はそのとき、おやっさんの小鼻がふくらみ、得意げに口角があがったのをみのがしませんでした。

そしておつりと一緒に最後に一言。
「2011年度、最高品質の栗だとおもうよ。」と。すごい得意げなおやっさん。

買ってから言うあたり、おやっさんの八百屋魂を感じました。





と、いう、なりゆきで先日手に入れた栗を、ことこと、ことこと渋皮煮にいたしました。




灰色のアンゴラセーターの雲の日は
猫とふたりでおうちでことこと
栗の渋皮煮。

やっぱりあのセーター、かっちゃおうかなあ。。。


おはなし。





一つ、早速いだだきました。

お、おやっさん、あんたの目には狂いはなかったよ。
2011年最高品質は嘘じゃなかった...

と、おやっさんを心底尊敬いたしました。そうな。





おしまい。