猫町的現象。のおはなし。 | おはなし。

猫町的現象。のおはなし。

特に予定のない散歩が好きです。
街中だろうが、田舎だろうが、森だろうが、観光地だろうが、住宅街だろうが。

方向感覚を忘れるまで散歩するのが好きです。(あとで大概困りますが。)
頭の中でも街の中でも迷子になって
自分が今何処にいるのか全くわからない時に出逢う
もう一度探すと見つからないお店とか、場所とか、情景に
ふらりと入り込むのが好きです。
萩原朔太郎の「猫町」的現象と、でももうしましょうか。

前回、モンペリエに行った時も
そんなお散歩をしました。



日も落ちかけて
ほんのりうすぐらくなった裏路地。

おはなし。
もうずいぶんとぐるぐる廻っています。


こっちにいってみようか、
あっちにいってみようか。

気の向くままに足を運びます。

石畳のつややかな反射も
灯り始めた街灯の優しいオレンジも手伝って
ますます自分が今何処にいるのかわからなくなります。

妙に静かなすれちがう人々。
ひっそりとしたカフェの奥から暖かい珈琲の薫りが鼻をくすぐります。

薫りにつられて曲がった小道の先には
ほのぐらく光るショーウインドー。

小虫のようにふらふらと近づく私たち。
小さな窓の中は


古い、とっても古いおもちゃ屋さんでございました。

おはなし。


懐古的なその世界に胸の高揚を押さえる事等出来ない私は
節操なく子供のように目を輝かせて
ちいさな自動人形の上下する様を
食い入るように魅入ってしまいました。

おはなし。







窓から窓へと繰り広げられるそのファンタジアな世界は
19世紀末のフランスへの郷愁をそのままに。


おはなし。


ここまできたらMélièsが店主でも驚かない自信があります。
だってこの猿のボードは計算機。
それぞれの足の数字をあわせると指先に示される数字は足の数字を掛け合わせた答え。

店の看板は壁に施された金色のポニーのモザイク。

おはなし。

店内の撮影は控えたので私の記憶に。
その時の気持ちを貧困なわたしの文章力では下種なものいいではありますが、
「うっかり時空を超えてしてしまったにちがいない。」と、いう気持ちが一番つよかったです。

セトモノの人形。
精巧なドールハウス。
不可視インクにガラスペン。
カレイドスコープ、
ブリキのおもちゃ。
木箱にお行儀よくおさまったさまざまなビー玉。
セルロイドの天使。
タロットカードにトランプ。
赤いぽっちのついたむき出しのオルゴール。
なんだかよくわからない仕掛けの隠された玩具に
天井からぶら下がるさまざまなかざり。
レジ横に積み上げられたガラス瓶には
いろとりどりの飴玉やチョコレート。



所狭しと魅力的なものがあふれかえっていました。

丸眼鏡の店主にすすめられるまま
美術品に魅入られるように店内全てをくまなく眺め
なぜだか
私は昔の小学校でつかわれていたものとおなじという、
壁にかけるフランス語の動詞の活用表を買いました。(素敵なものが多すぎて結局実用的なものを選んでしまった..決断力飽和状態..)


きつねにつままれたような気持ちで店をでて
やたら大きな動詞の活用表を抱え
既に真っ暗になった世界を歩きます。



クリスマスは終わったけれど
まだmarchés de Noëlは健在で(12月末日のおはなし。)
おはなし。

ふらりとまた立ち寄ります。

焼き栗
チュロス
Vin chaud
ヌッテラたっぷりのクレープに
粉砂糖で真っ白なゴーフル。
みんなそれぞれを片手に持ちながら
ちいさな小屋の中にはさまざまな小物達をながめます。

おはなし。


私達もVin chaud片手にきょろきょろ。







marchés de Noëlって結局、日本のお正月の出店みたいなものなのかもね、
と、夫と話していたら

おはなし。

たこ焼き屋がありました...アラブ系の方々が売っていました..。
おはなし。

初めて見たよ..marchés de Noëlでたこ焼き..






それにしてもこのたこちゃんのビニール人形。
これもまた時空を超える一品。






おしまい。












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