昨夜は、光が丘のIMAホールで、ミュージカル座の新作ミュージカル『平和な星』初日を観劇。初日は、やっぱり、観る側もドキドキしますね。

 

脚本・作詞・演出・振付、ハマナカトオルさん。作曲・編曲・音楽監督、浅野五朗さん。

 

作品概要を初めて読んだ時から、どういう結末が用意されているんだろう…と、興味を持ったし、期待が(不安も)あった。

【ある星に、弱い国と強い国がありました。

弱い国では、美しい国を目指す弱い大統領が国を率いて、美しい国作りを行なっていました。

強い国では、領土を広げたい強い国王が、軍隊を増強していました。

ついに、強い国は、軍隊を率いて、弱い国を攻めてきました。

弱い国は、どうしたでしょうか?】

う~ん。弱い国は、どうしたのだろう…あれこれ考えますよね。

 

基本的にコメディタッチの作品なので、予想していたより、楽しく、要所要所でクスクス笑える感じで進行する。戦争を題材にした作品で徹頭徹尾シリアスなムードでは、直視できなくなってしまうので…肩の凝らない造りになっているのはありがたい。

 

まだ公演中で(6/9まで)、ネタバレしないほうがいいのだろうけど。武器を持たない国に、武器を持った軍隊が攻めてきた時の、究極の対処法は、おもてなし、であった。おいしい料理を用意して、笑顔で、客人(敵の軍隊)をもてなす。もてなす前に撃たれたり刺されたりしちゃうだろ、というツッコミは、野暮というもの。以前、観た舞台で、敵同士が1対1で出会った時、お前はどうして戦っているんだと聞かれて、え…何でだろう…と、答えに詰まる、という場面があった。兵士の一人一人は、なぜ、国のために戦っているのか、何のために、敵を殺したり、敵の領土を奪ったりするのか、明確な理由など解っていないのだろうなあと。

 

物語の語り部となる童話作家と、人気歌手メロリスの2役を演じるのは、浦壁多恵さん。琴線に触れる歌声は健在。

弱い国の大統領は、麻田キョウヤさん、大統領夫人は、伊藤鈴さん(ダブルキャスト)。強い国の国王は、荒田至法さん、国王夫人は、藤澤知佳さん(ダブルキャスト)。カリカチュアした演技だけれど(ビジュアルも斬新)、芯が しっかりしたお芝居には、惹きつけられる。

どの役者さんも歌が上手いのだが(ミュージカル座の舞台の強みですね)、強い国の宣伝大臣(すごい役職名)・藤林貴史さん(ダブルキャスト)の歌声が素敵過ぎて、驚く。この作品がミュージカルデビューですって?!

 

昨日、私が足を運んだ理由は、ミュージカル座所属の伊藤鈴さんが、小学4年生のお嬢さん・伊藤小夏さんと母娘共演を果たすと聞いて、ぜひ観たい!と思ったため。小夏さんは、弱い国の女の子、強い国の女の子、天使、の各役で登場。子役さんは数名出演されているが、顔立ちが似通っている子が居なかったので、見分けはついた(と思う)。ミュージカルデビュー、おめでとう!

 

この作品も、ミュージカル座のレパートリーとして、何度も再演されていくのだろう。誠実で丁寧な作品創りを続けるミュージカル座さん。改めて、すごいと感じます。