5月2日から、博多座で上演中の、柴田侑宏さんの名作『星影の人』。沖田総司の青春を描いた この作品は、1976年に汀夏子さん主演で初演され、2007年に水夏希さん主演で再演、今回の早霧せいなさん主演版が再々演である。3演とも、雪組。

 

私は、初演のイメージが強烈で、再演の際は、嬉しいような悲しいような、複雑な気持ちだった。再々演が発表された時は、さらに複雑…。初演当時は、汀夏子さんと高宮沙千さんのコンビに合わせた脚本だったから、ヒロインが、姉さん女房的な、艶やかな芸妓だったわけで。今回の博多座公演の、早霧せいなさんと咲妃みゆさんのコンビにふさわしい演目とは思えなかった。

 

1976年当時、もしも、汀さんの相手役が麗美花(うらら・みか。1967年入団、月組・雪組で活躍した娘役スター。1986年入団の麗美花さんは、れい・みか と読む)さんだったら、沖田総司と早苗(医者の娘)の恋物語になっていただろうし、汀さんの相手役が東千晃さんだったら(次の作品から相手役さんになったけど)、沖田総司と おみよ(新選組隊士の世話をする女中)の恋物語になっていただろう。その組の布陣に合ったホンを書き、演出をするのが、座付き作家というもの…って考え方は、今の世(?)では通用しないらしいが。まず、作品を決めて、あとから、何組で演るかを決める…みたいだね。

 

初演当時、私は小学6年生だったのだが、歌詞や台詞をこと細かく覚えている自分にビックリする。脳ミソが柔らかかったのと、自分が非常に興味がある、ハマっているモノに向けるエネルギーが凄いのと…。ああ、10代の脳ミソって、10代の感性って、すばらしい…。