約2年に渡って苦しめられ続けてきた「社会人の責務」ってヤツ(?)が、やっと終わりました…。これでようやく、散々書き散らしておきながら取り纏めきれなかった分をブログ化できますね。

という訳で、復帰手始めのリハビリがてら今回サクッと取り上げるのは、HG Ξ(クスィー)ガンダム以来久々の「新作ガンプラ」。

「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」シリーズの第一作目、バンダイ HGCE 1/144「STTS-909 ライジングフリーダムガンダム」(以降 本キット)と相成ります。

「機動戦士ガンダムSEED」(以降 SEED)シリーズと言えば2002年に放映開始され「平成のファーストガンダム」として大ヒットを記録。
2004年にはその続編となる「機動戦士ガンダムSEED DESTINY(以降 DESTINY)も放映され、一大コンテンツとして名を轟かせる事となりました。

尤も当時の自分は、既に(一応)同じ業界に就いていた事もあり、完全に仕事目線のみでしか見る事が出来ませんでした。まだ「個人」と「仕事」別々の見方が同時に出来る程の経験も余裕も無かった時期だったからです。

それでも「仕事」面として見た「SEED」も、リアルタイムに体験出来るキャラクターコンテンツとして大変魅力的なモノだった事は間違いありませんでした。

そんな矢先の2006年。ついに「劇場版」の制作を発表。「SEED」に比べ何かとお騒がせだった「DESTINY」がああだったのは、コレを見越しての事だったのか(※)…と思い早幾年。何時の間にかこのお話は「業界内最大のタブー案件」として取り扱われる樣になってしまいます。

※…実際は現場スタッフへの確認も無いまま、上層部の独断で発表された事を後日知り「全然関係無かったじゃん…」と自身の無見解に自信喪失。

そんな劇場版が、2024年01月26日ついに「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」(以降 本作)として公開!


何しろ約20年前(※)に発表されながら今日に至るまで発表されなかった訳ですから、何かと疑心暗鬼が先に立ってしまうのは致し方無。

※これまた「業界内最大のタブー案件」になりかけていた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」(2007~21)が丸ごと収まっちゃう位なんスから。

それでも、本作をきっかけに久々に「最新の」ガンプラを作ってみたかった事。

何より「口元にヘの字型スリット無」「簡易変型機構を備えたプレイバリュー」「HGCEが元々持つ差替機能」という自分好みなデザイン。

 

そしてどうも色々鑑みるに「主人公乗換前提機」らしい?じゃあこれって「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(1988)で言う処の「リ・ガズィ」枠って事じゃん!

もちろん主役機たるνガンダムも大好きなのですが、Zの簡易量産型たる「リ・ガズィ」みたいな「本物になり切れない代換機」を脳内妄想チューニングし「青は藍より出でて藍より青し」するのが大好きな自分としては、避けては通れないロマン機体!(※)

※…コミック「機動戦士ガンダムUC 星月の欠片」第二巻に掲載されている「エンデのジムⅡ」なんかもう大好き!


という訳で、公開初日まだ観劇してないにも関わらず、お勤め帰りに購入してきました。

ガンプラパッケ絵の第一人者、森下 直親 氏による相も変わらずイケてるイラスト。
早速中を確認してみると…うん、シールが多い。さすが劇場版新規機体だけあって、相当細かい色分けが為されていますね。


と言う訳で、製作方法は本ブログお馴染みな、何時もの「パチ組・ガンプラマーカー」&艶消しクリアフィニッシュによるお気楽極楽対応で、一気に完成させようと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

…ふう。さて、現時点では全く観ていない本作についてなのですが(ここを書き始めたのは公開1週間前)。間違いなく「ロボット物として」面白いモノになっていると信じています。


というのも、これまでの「SEED」シリーズを作成したきたスタッフの中心コンビ「福田 己津央 監督」&「重田 智 メカ作画監督」、特に重田氏に対し「もっと評価されるべき」との感があるからです。

 

そこで本キット製作中の合間に「SEEDのSの字も知らない」令和キッズ達に向け、


なぜ「ロボット物」として「福田 己津央 監督」&「重田 智 メカ作画監督」コンビ(以降、コンビ)が要注目なのか?

 

を個人的備忘録として書き綴ってみようと思います。

それは何故かと問われるならば「本作を知らない令和な小・中・高・大生」にこそ観てほしいから!

特に「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(2022。以降 水星)でガンダムに興味が出てきた人たち、
「グリッドマン ユニバース」(2023。以降 グリッドマン)そして現在超話題沸騰中「勇気爆発バーンブレイバーン」(2024。以降 ブレイバーン)が好きな人たちには!!


純粋なキットレビューのみをご所望な皆様には誠に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、こんな有様ですのでブラウザバック推奨。このまま読み続けるにしても「ーーー」まで飛ばして頂けますとこれ幸い。備忘録だから仕方ないね。

いつもの裏付無・特定個人&団体への非難の欠片も無い、愛故のお気楽極楽与太話。それでも知ってもらう事で見方が変わり、「SEED」を知らなくても「飛び込みで本作を観てみよう!」という気になる…かもかも?だといいな。

という訳で、何卒お時間のある方は寛容にお付き合い下さい…それでは、どうぞ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■【ネタバレ未満!】何故「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」を勧めるのか?【福田氏&重田氏コンビ編】

●チャプター1:コンビのあらまし

さて、今から時は1980~90年代にまで遡ります。

福田氏は、80年代のサンライズ作品にまずは設定制作で参加。リアルロボット物「機甲戦記ドラグナー」(1987)で初演出デビューを果たし、数作を経て「勇者エクスカイザー」(1990)の演出チーフとして参加。

 

令和現在のスーパーロボット物の原点としてよく名の上がる「勇者」シリーズの原点にして第一作目において、重要な役割を果たしています。


その後、氏の代表作かつ初監督作品「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」(以降 サイバー。1991)がスタート。その「燃える」演出構成と「萌える」キャラ設定により、男女問わずの人気作となりました。

片や重田氏と言えば、サンライズ作品としては「機動戦士Zガンダム」(1985)から原画として参加。その後も「エヴァンゲリオン」「マクロスプラス」「パトレイバー」等、着々とリアルロボット物で実績を積み重ねていきます。その特徴と言えば…

①ロボットアレンジ・ディフォルメのカッコ良さ

1970~80年代にかけ、大胆なディフォルメ&パース&エフェクト作画を以て「アニメーター」に脚光を浴びせ一世を風靡した「金田 伊巧」氏。

 
80年代にそのフォロワーが多数生まれ、独自のアレンジ・ディフォルメを追求する流れが起き、以降のアニメ業界に多大な影響を及ぼしました。
中でも特に脚光を浴びたのが「バリってる」でお馴染みの「大張 正己」氏で、その特徴は「メリハリマッシブ」(左上)。

「機動戦士ガンダムAGE」(2011)他、様々なガンダム作品に関わっています。

通称「ロボ描き屋」と呼ばれた「佐野 浩敏」氏、その特徴は「流麗グラマラス」(左下)。
「機動戦士ガンダム0083」(1991)、「機動武闘伝Gガンダム」(1994。以降、Gガン)等、これまた様々なガンダム作品に関わっています。

そして「重田 智」氏といえばもちろん「機動戦士ガンダムSEED」(1994)シリーズ、その特徴は「キレッキレ細マッチョ」(右側)。
本作に関連した公式立体化商品「METAL BUILD」シリーズや「ガンプラ_MG」シリーズ等の監修も精力的に行われています。

②多彩なエフェクトの美しさ

重田氏の魅力として、煙・水しぶき・そして火花といった、美しく多彩なエフェクト表現力も忘れてはなりません。

特にレースシーンで見る事が出来る鮮やかな火花は、一部で「重田火花」と呼ばれていた…らしい、とか?まあその技術をふんだんに用い「アオシマ_C.F.シリーズ」ではほぼ全てのパッケージイラストを手掛けています。


●チャプター2:コンビの出会い

「福田 己津央 監督」&「重田 智 メカ作画監督」が初タッグを結成(以降、コンビ)したのが、オリジナルビデオアニメ(以降 OVA)「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA/SIN」(1996〜2000)(※)。

※…一原画マンとしては「~11」(1992)から参加。なお「SEED」の脚本:両澤 千晶氏、音楽:佐橋 俊彦氏も本作より参加していますが、語られる機会が多いので今回は割愛します。

TVシリーズより一本当たりの制作費は増えるとは言え、劇場版程の潤沢な資金が使える訳でもないOVA作品。そんな中、このコンビは以下の2策で品質向上を図ります。

①各マシンの「通常シーン」のバンク化
②それを少数精鋭作画で実現する事


90年代当時の「F1ブーム」に乗る形で企画実現を果たしたサイバーですが、当初は「オン/オフロード」併用によるコース設定が為され、「明確な悪役」が存在していました。


というのも、人型の「ロボット」に対し車はしょせん「箱」。可動部もあまり無く、演出面でどうしても「見栄えが地味」になってしまいます。


何しろ「車」に興味の無い人にレースを勧めても「ただの箱が同じ所をグルグル回ってるだけじゃん。何が楽しいの?」とか言われちゃう訳ですから(実話)。


なので「オン/オフロード」併用にする事でコース背景に変化をつけ、勝つためなら反則妨害行為をも厭わない「明確な悪役」を用意していたのです(※)。

※…往年の「スーパーカーブーム」の頃(1970年代後半)、キャラクターコンテンツにおける「レース物」が多数出ましたが、いずれもこの範疇を大きく超えられませんでした。


例えが古いですが「チキチキマシン猛レース」(1968)の頃から、キャラクターコンテンツにおける「レース物」は見せ方が変わっていなかった証左とも言えます。
  
処が各キャラの魅力で人気が出た事で、サイバー後半では「オンロード」のみ。悪役も「実は良い人≒1レーサー」として設定が改められる事になりました。


さり気にこれまでの「レース物」の常識を覆していたりするのですが、話数の短いOVAで毎度毎度コースのレイアウト&ギミック設定を用意するカロリーもバカにはならないという一面もあったのでしょう。


でもこのままだと、必殺技に該当する「変形/ブースト」設定があるにせよ、この特殊バンクだけでは使用箇所に限りがあり、あまり間が持ちません。ではどうするか?


何と「ただの箱が同じ所をグルグル回ってるだけ」を逆手にとり「ただ走ってるシーン自体をバンク」にする事で品質向上を図ったのです。では、その実例を見てみましょう。

例えば主役メカ「アスラーダ」が「ただ」の直線コースを走っているだけのシーンがあるとします。普通ならば止め絵スライドで正面or横からマシンを写し、流し背景で充分とされる処。

処がこのコンビは、メカのみならず道路も込みでメッチャ「近づく」そして「遠ざかる」事で、速度感のある迫力の「バンク」シーンにしてしまったのです…しかも、本来「必殺技」だったはずの「変形/ブースト」を、只の「通常技」扱いにして!
CGでも無い手描きで描かれるアップはほとんど「背景動画」、しかも描き込みが凄まじく派手なエフェクトまで付いてくる。でも奥の背景のみ差し替えれば、何とどんなコースの直線シーンにも使えます。


恐るべきはこの「通常バンク」とも言えるシーンを「各マシン」更には「カーブ」毎に用意する事で、毎話ただ「通常バンク」を積み重ねるだけで「迫力のレース」を演出できるようにして見せたのです(※)。

 

※…肝心要の「必殺技」はどうすんだって?新たに「2ndブースト」&「必殺ターン」追加っスよ?!


無論誰しもがこんなバンクシーンを演出・描ける訳が無く、そもそも大人数を雇える予算もありません。よって少数精鋭作画でコツコツ積み重ねる事で、この品質向上という名の難題を力技で捻り倒したのです。


●チャプター3:コンビ、ロボット物への挑戦

そしてついに、このコンビが「ロボット物」に挑む時がやって来ます…その名も「GEAR戦士 電童」(2000)。


スーパーロボットたる「勇者」シリーズで名を馳せた福田監督&数多のリアルロボットを手掛けてきた重田氏作画は、ここでも冴えに冴えた相性の良さを見せます。

玩具の売上不振からか残念ながら商品展開が止まり放映期間も縮小されてしまった物の、お構い無しに物語は怒涛の展開を見せ、ついにはどこかで見た武装満載のフルアーマー化(そしてパージ!)まで果たす始末。

この「男の子心解ってる感」な展開が素晴らしく(※)、気持ちの良い物語の終わり方で、きっちりとキャラクターコンテンツとしての「電童」にしっかりケジメをつけて見せたのでした。

 

※…この頃の男の子たちを性癖面で大いに揺さぶったであろうベガさんについても大いに語りたいのですが、今回は割愛します。

 

そんなコンビが「電童」を経て次に手掛けた作品こそ「機動戦士ガンダムSEED」(2002)シリーズ。放映開始前と言えば、正直さほど世間の話題に昇る事は無かった記憶があります。


先に放映されていた「ターンエーガンダム」(1999)の商業的失敗は素人から見ても明らかでしたし、何より当時の監督評はこれまでの流れから「スーパーロボット」向きとされていたからです。


ではそもそも「リアルロボット」物と「スーパーロボット」物の違いとは何なのでしょうか。

これまた数多の質疑が為され様々な解釈が為された永遠の命題となりますが、そもそも「リアルロボット」物は「スーパーロボット物のお約束を否定する」処から端を発しています。


ですので今回は「演出面のみ」に注視して「リアルロボット」物から否定・除外された「スーパーロボット」物の演出要素を抜き出してみます。

まず「リアルロボット」物は、「スーパーロボット」物には必ず存在する「必殺技」を否定しています。「リアルな世の中にはそんな便利なモノなど無い」って至極真っ当な理由からです。


無論「名乗り/決めポーズ」なんか以ての他。そもそも「歌舞伎」の「見得切」からヒントを得たとされていますが「実際にやってたら、その隙にやられる」っていうこれまた納得な理由から。


更に「合体/変形」についても(基本的には)否定されていて、曰く「強度面・運用面から見ても現実的では無い」という理由から(採用してるタイトルも有ります)。
 

なら「出撃」はOKでしょ?となりそうですが、これまた「リアルな戦場において毎回同じ状況なはずがない」という理由から、あまり多用できません。

つまりは「リアルロボット」物の存在価値の邪魔になると言う理由から「スーパーロボット」物では定番とされるあらゆる「バンク」シーンが否定されてしまったのです。


こうなると毎回違う状況下を設定で用意・演出・作画をしていかないといけない訳ですが…そうでなくても作画負担が大きい「ロボット物」においてこれは致命的。


結果、作画乱れを防ぐために舞台が「足元が隠せる森林」か「何も無い宇宙」ばかり。ロボットを映すにも「アクションシーン=遠距離ロング」「アップ時は止め絵」で単調で印象に残らない場面が続くという、本末転倒な結果にもなりかねません。


これでは「ロボット」に興味の無い人に視聴を勧めても「遠くから銃撃ってるか、剣使ってる時も辛気臭い話してるだけじゃん。何が楽しいの?」とか言われてしまう顛末(実話)。

処が、このコンビはよりにもよって「リアルロボット」物の雄たるガンダムに対し、「スーパーロボット」物の以下2手法を以て立ち向かう事になります。

①各MSの「通常シーン」のバンク化
②それを少数精鋭作画で実現する事


何と「遠くから銃撃ってるか、剣使ってる時も辛気臭い話してるだけ」を逆手にとり「遠くから銃を撃ってる/剣使ってるシーン自体をバンク」にする事で品質向上を図ったのです。では、その実例を見てみましょう。

まず「スーパーロボット」的手法の事例から。「勇者」シリーズ第2作目「太陽の勇者ファイバード」(1991)の主役メカ「武装ファイバード」が剣(フレイムソード)を使いますが。

大体そのシーンは「必殺技」となるため、最後は必ず「決め」ポーズ。嫌が応にもテンポ・流れは止まってしまいます(※)。なので、このままでは「リアルロボット」物の戦闘シーンに(当然ながら)組み込む事は出来ません。

 

※…「Gガン」でもバンクは使われていますが、どちらかというとこっちの「スーパーロボット」的手法となります。

では「SEED」はどう対処したのか?例として主役メカ「デスティニー」が「ただ」剣(アロンダイト ビームソード)を使うだけのシーンを挙げてみます。従来ならば抜刀→ただ振り下ろして終わりとされる訳ですが…

 

処がこのコンビは、メカのめっちゃアップからカットをスタートさせそのまま「遠ざかる」途中で抜刀。

引き切った処で瞬間的に「決め」ポーズを行わせた後、今度はメカ自らがカメラにメッチャ「近づく」事で迫りながら切り込んでくる。

 

つまりは「サイバー」手法の合間に「決め」を挟む事で、リアルロボット物の戦闘シーンへテンポを崩す事の無く、印象的な「通常技のバンク化」を成功させて見せたのです。


恐るべきはこの「通常技バンク」とも言えるシーンを「各MS」更には「技(ライフル・サーベル・特殊武器等)」毎に用意する事で、毎話ただ「通常バンクの積み重ね」るだけで「迫力の戦闘」を演出できるようにしてしまいました。


ここで注目すべきは、福田監督の抜群なバランス感。つまりは「リアルロボット」物で許容され得る「スーパーロボット」物要素のギリギリな取り込み具合が絶妙だった事です。


ガチな「リアルロボット」物ファンから見れば「毎回抜刀するのはおかしい」等、オカシイ点満載なバンク。当然クレームもありましたが、それはホンの少数。大概の「リアルロボット」物ファンはおろか新規層までも取り込めた事は、何よりガンプラの販売数実績が雄弁に物語っています。

それどころか「見てない(作画されてない)処で鞘に戻したんだろ?」等の好意的な見方を「リアルロボット」ファン自らが(ネタ的に)フォローしてくれる有様。

 

なお、この「通常バンク」の概念は「リアルロボット」物における「一種の発明」みたいなモノで、以降のガンダム作品においても多用されるようになります。

 

つまり「リアルロボット」物の禁じ手とされていた「見栄切」演出が(多少なら)黙認されるようになったのです(※)。

 

※…以降のガンダム作品において何故か大張氏の参戦率が上がった事実からも、この事は無関係では無いはずです。

 

あと「バンク」シーンに漏れなく付いてくるバフ効果「印象付け」も忘れてはなりません。

 

ただ全話ダラダラ出るだけより、ビシッとした明快な活躍シーンを1つ出す方が、放映日翌日のガンプラ棚が空になる事を私達は何度も目撃しています。ならば、それを「バンク」として毎回見せられたら…?


そしてバンク以外のシーンでは他大人数のスタッフの力を存分に投入し、要所要所では必ず「男の子好きな見せ場」を用意。ここぞとばかりに抜群の「殺陣」を披露してくれます…勢いで「名乗り/出撃/合体/変形/決め」までモリモリに!

「SEED」第35話「舞い降りる剣」&第50話「終わらない明日へ」、そして「DESTINY」第34話「悪夢」等は、今でも語り草となっている程です。
 

かつて「カワイイは正義!」という正論が囁かれた時期がありましたが、「ロボット物」に関して言えば「リアル/スーパー」関係無く、これぞ正に「カッコ良いは正義!」を証明してくれる形となりました。


そんな「SEED」シリーズは、かつて伝説を作った「機動戦士ガンダム」(1979。以降 ファースト)に並び「平成のファーストガンダム」としてその人気を不動のモノとしていきます。

尤も、その後の顛末は皆さんの知っての通り。以降約20年に渡り、本作の行方は誰にも解らない状態となってしまうのです。



●チャプター4:潜伏期間中のコンビ

そんな約20年もの潜伏期間の間にも、着々とこのコンビは牙を研ぎ続けていました。

まず福田氏は長年の沈黙から突如、クリエイティブプロデューサーとして新作「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」(2014)を発表します。

これまでの「子供向けアニメ」という枠から大きく逸脱した「深夜アニメ」しかもアバンギャルドなその内容から「汚いニチアサ」という異名と共に(良くも悪くも)そのシーズン中の話題をかっさらい、相も変わらずのそのキレッ…否、健在っぷりをアピールします。


また重田氏に関して言えば、クロスアンジュ含む様々なアニメ作品の原画をこなしつつ、「激闘!クラッシュギアTURBO」(2001)にて初の「3D作画監督」を経験しています。

 

恐らく日本の毎週放映されるTVアニメで初めて「CG&セルアニメの融合」に成功しで話題となった「ZOIDS」(1999)に触発され、2000年前半は様々なアニメ会社がCG導入を始めたであろう時期。

 まだ共通言語もままならないであろう異業種同士の新たな環境下において相当のご苦労があったかと思うのですが、最終的には劇場版「~カイザバーンの挑戦」まで持ち込み、一玩具販促アニメとしては驚異的なスマッシュヒットの原動力ともなったのです。


更に新境地への挑戦はまだまだ続きます。PS2サイバーでモデリング&メーター監修後、今度は「あの」ガンプラMGシリーズ監修を行う事となりました。

続々と次ver.が出続ける「SEED」ガンプラにおいて、今や「古典」となりつつある初期「SEED」MGシリーズ。

 

ですが、重田氏監修の「MGストライクフリーダム」(2006)、「MGデスティニー」(2007)、そして「MGインパルス&インフィニットジャスティス」(2008)は、今現在の目で見ても「異色作」その物です。


「実在する機械(MS)の縮小モデル」として最適解の立体解釈模索を続けているのが「ガンプラ」、その最たるシリーズブランドが「マスターグレード」(以下 MG)だとしたら。


発売当時の目で見ても明らかに「ディティール・パネルライン」が少なく、一言で言えば「MG≒メカらしい」物では無いため他と比べパッと見の見劣り感が否めなかったからです。

処が実際に完成させ触って見ると、その考えが間違いだった事に気が付かさされます…と言うのも、これまでの「MG」の立体解釈「ディティール・パネルライン」追及に反し「体の線・面構成の曲面変化」を重要視して立体化を目指していた事が指先から伝わってくるからです。

特に白眉なのが「インパルス」で、他3体と違和感無く並べられますがよくよく見ると頭身が異なっており、「DESTINY」初期の「少年」だった頃の「シン」をイメージして立体化されてる事に気が付かされます。


つまり、これまで「ガンプラのスケールモデル化」を目指していた「MG」の中で、初めて「劇中イメージ再現」・「ガンプラのキャラクターフィギュア化」を目指したのが、重田氏監修の「MG」なのです(※)。

※…このコンセプトで有名な名MG「RX-78-2ガンダムver.2.0」発売が2008年、つまり重田氏監修作の方が先んじていたりします。近年では「Zガンダム ver.Ka」(2023)が話題となりました(※※)。

 

※※…ちなみに同コンセプトの基、初めて公式完成品玩具として発売されたのが「可動戦士ガンダム」(1999)。「ガンプラ」を見慣れた目には極めて「異形」に見えた物ですが、別視点からの立体解釈物として「目からウロコ」的な存在感を今なお放っています。

確かに「MG」デザイナーズブランドとして「カトキハジメ氏」による「ver.ka」(2002〜)が在りますが、これは氏のスタイル(立体解釈)が極めて「MG」のコンセプトに近いため。あくまで「MG」の先鋭ブランドとして捉えた方が良さそうです。

 
しかも重田氏監修作には、もれなくあの「ガンプラ」パッケージイラスト第一人者「森下 直親」氏との渾身のコラボイラストが付いてきます。
重田氏コンテ・森下氏着彩によるパッケージは、今の目で見ても一際目を引くカッコ良さがある…と思うのですが、皆様はどう思われますか?


その後、プラモデルに続いて完成品玩具「ROBOT魂」「METAL BUILD」等の監修を行い、「劇中イメージ再現」の立体化レベルを着々と高めていきます。

重力下の物理的制限の中で、実際に手で動かしながら目の当たりに出来る「劇中イメージ再現」モデリング&可動の実現化。
 
これを実現化しているという事は、それを踏まえた上での「CGモデリング&アニメーション化が可能」という事でもあり、
本作のメカ作画が今の流れで仮に全面CG化となったとしても、違和感無く、むしろ表現力向上に繋がるかもしれない…という、新たな可能性すら感じさせるのです。

 

 

●チャプター5:何故「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」を勧めるのか?

 

とまあツラツラと書き連ねてきましたが、これらをまとめたお勧めポイントを挙げると…

 

①優れた「殺陣」&ロボ「アレンジ・ディフォルメ」によるカッコ良さ

②「男の子魂」が解ってる構成&演出

③必ず最高の形で〆てくれる実績

④CG作画への確かなノウハウ蓄積

 

そして何よりも、

 

⑤「バンク」という枷を初めて外した「完全劇場オリジナル作品」

 

だと言う事。

 

そんな「リミッター解除」したコンビによる、ロボット物として「最高のエンターテイメント作品」が本作で見れるのではないか?という期待が、とうしても拭い切れないのです。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

…という訳でようやく、バンダイ HGCE 1/144「STTS-909 ライジングフリーダムガンダム」完成と相成りました。それでは、早速ご覧いただきましょう…って、

そ、そうだった…軒並み「バックパック」のボリューム大&ギミック多なのが「HGCE」の特徴だった事をすっかり忘れてた…_| ̄|○ 
 
しかも、例のシール地獄の約8割がこの羽に集約していて、殆ど1MS本体分位のカロリーがかかります。νガンダムのフィン・ファンネル×6個別に作るのと、どっちが大変なんだろう…
でも共通規格でパーツの差替がし易く、カスタム化がしやすい処も「HGCE」の特徴。試しに、近くに飾ってあったORIGIN版ガンダムにも、何の改造も無しでしっくりと嵌まります。

背面中央部白色パーツは、内部スペース的にかなり余裕があるため、ウイングガンダム形式で頭部を後に向かせるだけで…
何ちゃってMA形態に変形可能。いや、このプレイバリューはちょっとバカには出来ませんよ?そんじょそこらのリ・ガズィやGパーツよりも気軽かも(暴言)。
なので、こんな小芝居もすぐに出来てしまいます。
「んー…フッフッフッ。まだまだアムロの坊主とも一線に立てるかのぉ?なぁ、お若いの?!」
 
「か、勘弁して下さい!ガンダムの伯父貴!!」
 
…とまあ、それはさておき。ライジングフリーダム(以降、ライフリ)の背面にバックパックを戻して。
設定的にはストフリの量産型?かもしれませんが、最新の劇場版キットともあって、造形とパーツ数の多さは歴代のHGCEでも最高クラスだと思います。
バックパックが重いので、アクションベース無の素立ちポージングはちょっと苦手。
今回はシールを貼りましたが、貼らなくてもそれはそれで「シブい」色合いになるため、貼らずにイモータルジャスティス(以下、イモジャ)作って並べた方が、制作テンションの維持がし易いかも。
「SEED ACTION SYSTEM」による、シンプルながらよく練られた関節のお陰で、時間さえ掛ければ(膝立ち込で)良い感じのポージングが可能です。
そして「SEED」と言えば、ビーム・サーベル連結による両刃ポーズ!保持力も充分で、左手の平手が嬉しい処。もちろん両手に持たせる事も出来ます。
先程ほとんどネタばれ状態で先にお見せしてしまった「MA形態」。ライフリの場合はもっと簡単に1アクション変形が可能です。
MSでよく見る「空中移動」ポーズを取らせたまま、背面中央部白色パーツをパッと前に倒すだけで、何ちゃって1アクション変形!ついつい意味もなく何回も繰り返しちゃいます。
で、ちゃんと変形させてみたのがこちら。元の形が全く解らないパズル的構造変形も良いですが、玩具・模型本体にあまり負担を掛けず変形が楽しめる「寝そべり変形」もたまには良きかな?
意外と分厚いのが気にならないんですよ、何か「武骨」な存在感があって。
 これはこれで「飛行機」では無く、エイ型の「MA」らしさがあるからでしょうか。
シールドブーメランは単体で飛行(?)形態に変形可能。ビーム・シールドも付属していますが、二刀流のキラが使用している印象が無かったので今回は外してます。

 …さ、それでは本日公開2日目朝一の回で本作鑑賞と参りましょうか!それでは皆様、行ってまいります!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…しかし、こうやって(世代違いモデルとは言え)昭和&平成のファーストガンダムを並べて見ると、SEED放映当時の事を思い出します(※)。

 

※…またこんな有様ですので、純粋なキットレビューのみをご所望な皆様にはここでブラウザバック推奨。

このまま読み続けるにしても「ーーー」まで飛ばして頂けますとこれ幸いです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


先に、当時の自分は既に(一応)同じ業界に就いていたと書きましたが、当時の先輩方から、まあ役に立ちそうだったり立たなそうだったり、誠しやかながら全く裏付の無い、怪しげな教えを乞うてきました。

 

そんな中「仕事」面から見た「SEED」に対し、特に印象に残っている「教え」が2つあります。それが、

 

『玩具・模型スポンサー主導の主役メカにおいて、正面設定画では必ず「脚部のどこよりも広い足底幅」かつ「バックパックは肩パーツ幅内」に描かれる』

 

そして、

 

『その常識を覆したのが「フリーダムガンダム」』

 

というモノ。これに関しては少し補足説明が必要かもしれません。「脚部のどこよりも広い足底幅」の詳細は以前アップした以下を見ていただくとして…

 

 

令和現在まで続くキャラクターコンテンツの中でも、「ロボット物」の原点かつ元祖として今なお健在な「マジンガーZ」(1972)。

 

その数々の「初」功績は様々な場所で語られているので詳細は省きますが、今回取り上げる「初」要素は

 

「ロボット物初の視覚的強化武装≒バックパックの採用」

 

言わずとしれた「ジェットスクランダー」の事ですが、玩具・模型業界において、ひっそりと1つの問題解決を迫られる事態になったと言うのです。それが、

 

「大型のバックパックを背負わせると倒れ易く、立たせて飾り辛い」

 

というモノ。確かにマジンガーZを祖とする「玩具・模型スポンサー主導の主役メカ」は、以降1990年代に至るまで「立たせて飾る」事を前提として商品化されています。

 

故に、自分たちファンが親の顔より見返した各種ロボット達の「正面設定画」を最初に見て「Go!」を出すのは、無論ファンでも無ければアニメーター・ましてやアニメ監督でもありません。

 

つまり、スポンサーたる「玩具・模型スポンサー」が「主役メカ」デザインに制約をかけてしまった結果、視覚的に少しでも小さく見せ採用率が上がる様「バックパックは肩パーツ幅内」という「正面設定画」が蔓延る事になってしまったらしいのです。

 

その視点で見直してみると、確かに「リアルロボット物」初の「視覚的強化武装≒バックパックの採用」作「銀河漂流バイファム」(1983)の「スリングパニアー(リフター)」は、羽を折り畳む事で、せいぜい拳1個分の肩幅オーバーで描かれています。

 

そしてその傾向は、80年代の「リアルロボット物」ほぼ全てに反映されています(※)。

 

※…お時間のある方はぜひ見直してみて下さい。あのウイングガンダムもそう。ちなみに唯一の例外が「重戦機エルガイム」(1984)のエルガイムMk.2で、何とこの当時で「踵のハイヒール化」まで行っています。メカデザイナーの「ロック」さがこんな処にまであらわれていますね(※※)。

 

※※…なお「新世紀エヴァンゲリオン」(1995)以降の製作委員会方式を採用したロボット物は、玩具・模型主導では無いため該当しません。「新機動戦記ガンダムW〜EndlessWalts」(1997)等の映像会社主体のロボット物も該当外となります。

 

ここで「玩具・模型スポンサー」からの2要求を、「SEED」の実績を以て初めて覆したのが「フリーダムガンダム」となる訳です(下図参照)。

それに対応すべく発売されたのが「アクションベース」(2006)で、隠れた大ヒット作として広くユーザーに支持され現在に至ります。
 
この「アクションベース」≒「スタンド」のお陰で、以降のロボット物デザインは重力という名の「呪縛」から解き放たれるようになりました。
 
その恩恵で設計の自由度が増したからかどうかは解りませんが「実在する機械(MS)の縮小モデル」として「最適解の立体解釈」模索を続けていた「ガンプラ」も、「SEED」以降は一定水準以上のクオリティが保てるようになったと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

■【ネタバレ無】何故「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」を勧めるのか?【本編鑑賞直後編】

見てきました…何てのかな、まず先に書いた【ネタバレ未満!】の条件は、あっさりとクリアされてます。

てゆーか、歴代の「ロボット物」映画の中でも屈指の面白…否、「楽しい」作品です!

確かにシリーズ全部見直すには時間が無いかもしれませんから、Youtube「ガンダムチャンネル」で絶賛公開中の

①HDリマスター版全48話をぎゅーっと凝縮!『機動戦士ガンダムSEED』スペシャルダイジェスト
②HDリマスター版全50話をぎゅーっと凝縮!『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』スペシャルダイジェスト
③『機動戦士ガンダムSEED FREEDAM』本編冒頭6分映像

の3本を見ておけば充分!では有るのですが、全部見ると1時間超え確実だしなぁ…よござんす!なら不詳私目が「これだけ押さえておけば充分!」なキャラ紹介をしてみましょう。

【世界平和監視機構コンパス】
キラ(左上):
「なぜ人は戦い続けるの?」という、これまでのキャラクターコンテンツ(ガンダム)で無限に繰り返されてきた永遠に答えの出ない命題に挑む1作目「SEED」の背負っちゃう系主人公。アスランって人の幼馴染。

ラクス(右上):
超カリスマ系ほんわか歌姫。2作目「DESTINY」で再登場した達観キャラ(と見せけて、実は人生にほとほと疲れきっちゃってる)キラを公私で支える。現在はコンパス総帥で、アスランって人の元婚約者。

シン(左下):
「これでもか!」という位に不幸な目に合う「DESTINY」の元主人公。どの位不幸かと言うと闇墜ちしてキラに主人公の座を奪われる位(でも最終回で和解)。ちなみに中の人がグリッドナイト兼ブレイバーン。アスランって人の元部下で、一方的に嫌ってて仲悪い。

ルナマリア(右下):
「DESTINY」における女性キャラ人気No.1。白兵戦もMS戦もこなすエリート軍人で、鉄板ネタは「射撃外し」。シンの姉さん風いい人だけど、アスランって人の元部下時、言い寄ったり裏切られたり誤解が解けたりしてる。
 
【中立国オーブ/その他】
カガリ(上段):
キラと双子の関係で、一応中立国オーブの愛され当主。一応「こんな事もあろうかと」&「お色気」パート担当だが、得てして本人には一切知らされない。アスランって人のいい人。

アレックス・ディノ(偽名。下段):
本人&MSどちらもレスバ&ステゴロ最強のゲームチェンジャー。が、いっつも何かしら迷ってて中々本領を発揮出来ない。両作に渡り混乱の約3割はこのアンチクショウが原因。

…とまあ、この6人だけ抑えておけば、後は否が応でも「ガンダム」特有の倫理感〇なストーリー&強敵が1から展開していく「完全オリジナルストーリー」。

あ。あと、出てくるロボット(MS:モビルスーツ)の中で「ガンダム顔」は一つを除いて(※)全員「味方」、これで万事OK!
※…ご覧の通りデカくて黒いので「敵」だとすぐに分かります。

故に、初心者でも安心して2時間に渡る「リアルロボット物」の王道にして最高傑作な本作を楽しめるって寸法。もし仮に辛くなったとしても…

そう、1時間ほど頑張ってくれれば!壊せよセオリー交わせよシナジー、君を退屈から救いに来たんだ!

本作における「ブレイバーン」であり「グリッドマン」に相当するニクイ「アンチクショウ」が全てをひっくり返して(解決するとは言ってない)くれますから!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 
■【ネタバレ有】何故「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」を勧めるのか?【考察編】
 
ここからは完全に取止めもないネタばれ前提のお話となるので、見たくない人はブラウザバック願います。

…実は本ブログ用のネタとして、ライフリにするかイモジャにするか最後まで悩んでいました。

改めて本作を見ると、辿々しくも頑張って市民のために戦ってるシンの姿に(画面左下、市民を護るために「盾」を放棄してるのに注目!)、やっぱ重田ラインがより良く出てるイモジャも…という気分に。
 
ただライフリはライフリで、ストライクフリーダムには無い魅力的なシーンがありました。
冒頭の重厚な地上戦&高速な空中戦によるハイマットフルバーストな「殺陣」はもちろんなのですが、その戦闘後にさりげなく行わるアクションがこちら。

戦闘鎮圧後、燃えさかる町を背景に周辺の警戒を怠らないライフリ。と、おもむろに左腕を挙げ、何事かと見守っていると…
 ジャカッ!と上空から舞い戻ってくるシールドブーメラン。その後何事も無かったかのように警戒を続けるライフリが、めちゃくちゃカッコイイんスよ!

後半怒涛の盛り上がりでつい忘れがちなのですが(自分も友人から指摘されて思い出した)、これってマジンガーZのロケットパンチじゃん!?ここ迄でも本キット買って良かったって思いましたもん。

全編に渡りこの密度。しかも大分カットされてるらしいので、本作+脚本がある「フリーダム強奪事件」+新作カットで、ハサウェイみたいに1クールTV放映されそう…。

あと本作って、恐らく福田監督&脚本の両澤氏により、たった2つの練りに練ったキーワードを基に物語構成を行ったんじゃないかな?って思ってます。その内の1つがこちら。


キーワード①:アスランのセリフ

「使えないな。」

 本作はこれまでのサンライズ作品オマージュが満載なのですが、これ迄散々主人公側を苦しめてきた「精神感応」攻撃に対し、ニクイ「アンチクショウ」が抜群の反撃を見せてくれます。

ってゆーか、その方法が「エ◯妄想」ってFREEDAM過ぎんだろアスラン?!それ以前にズゴックで出てきた瞬間で吹き出しそうになったわ!!

最近同じような感覚あったな…とか思ってたけど、コレ「呪術廻戦」242話前後だ!高羽=監督で、羂索が視聴者!

…でもそうだよね?人は解り合えないよね…特に性癖なんかは同じ組合せでも「キラアス」と「アスキラ」は絶対相容れないものなあ。
 
さて、「SEED」が放映開始となった頃から、誠しやかに噂された事があります。それは「エリア88」(1979。以降、エリパチ)がオマージュ元の一つなのでは?というモノです。
このエリパチ。「80年代の現実世界における世界情勢」を舞台とし「小国の自立」迄のお話を「1傭兵」の視線から描くという、言わば、

「戦闘機版ガンダム」

といった内容。連載中はTVアニメ化が熱望されていた人気作品でもあったが故に(※)、新たな「ガンダム」を制作するにあたってのモチーフ先の1つとなる事は、充分あり得る話だったのです。


※…今改めて読み直して見ると「現実世界に近過ぎてTV化は不可」だった事が分かります。なおZガンダム放映時の1985年にOVA化をはたしています。

 

「エリパチ」も「ファースト」も同じ1979年の作品なため、どちらが先か後かなんて話はそもそも無い話なので、敢えて理解りやすいけど誤解を招くような言い方で概要を説明すると…

 

革新派と保守派の内戦状態にある独立国「アスラン」に、親友の裏切りから一傭兵として送り込まれる主人公「シン」。「一度は戦場から離脱」するも、武器商人達による世状「コントロール」により意図的に内戦状況に置かれている事・その組織プロジェクト4の主導者がかつての親友だった事を知り、決着をつけるべく「自らの意思で再び戦場に戻る」…というモノ。

 

とは言え「せいぜいネーミングの参考程度じゃ?」と思っていたのですが「やっぱり元モチーフの一つだったんだ」と思うに至ったのが本作以下のセリフ=キーワード。

キーワード②:ラクスのセリフ

「必要だから愛するのではありません。愛するからこそ必要なのです。」


エリパチでは「愛を理解できない親友」に「愛を説くヒロインが決定打」を突き付けます。そして最後は「新型機では無く、かつての愛機で出撃する主人公」が決着をつけるのです。

…とまあ、内容が凝縮され過ぎて、語りたい事が山程ある本作をたった1人で鑑賞するには荷が重過ぎる!

 

と想定していたが故に、友人(元職場の先輩)分のチケットも込みで購入した訳ですが。その辺りを語り合おうとしても、この友人はデスティニー大好きなので後半は身を乗り出してしまってもう大変。


鑑賞後は「ディスティニー、良いよねっ?!」しか言わないし…ってシン!この大バカヤロウっ!!

 

まあ先にチケットを渡しておいたら、まさかの前日(初日)朝イチで並んでパンフレット買っておいてくれたので文句も言えやしない(しかもちゃっかり限定プラモまで購入済だし)。


ホント「SEED」に関しては仕事の視点でしか見てなかったから、ガンプラも買ってはいたけど「あーカッコいいなぁ」レベル止まり。でも本作を見て正直デスティニー&シンが好きになりましたし、約20年に渡り推し続けてた友人をちょっと羨ましくも思いました。

でも何でこんなに響いたのかな…と思い返してみれば、セルフオマージュ「サイバー」の「凰呀」そっくりだからだ!どっちも怪しげな輩(cv:どっちもシャア)から受領した対主役マシンだし、「ゼロの領域=種割れ」だし、必殺技は分身だし。

てゆーか、ロボット物の中でも中々無いですよね?凄く期待してたのに思ったような活躍シーンが無くてガッカリして、忘れた頃に「コレが見たかったんだよ!」ってなるデスティニーみたいな機体…あ。
何時活躍するんだろと思って見続けて、結局劇場版でもグレートマジンガーしか活躍しなかった「UFOロボ グレンダイザー」(1977)のマジンガーZがあったわ…そして!
 

リメイク作の「グレンダイザーU」(2024放映予)が同じ福田監督で、マジンガーZ登場確定じゃん?!コイツぁ期待大!!(重田氏参加しないかな…)

…そう。実は本ブログ、HGCEライフリレビューにかこつけた「SEED FREEDAM」及び「グレンダイザーU」のステマだったのでした。なので、皆で見よう「SEED FREEDAM」及び「グレンダイザーU」!

という訳で、本編もプラモも大満足な「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」&「HGCEライジングフリーダムガンダム」レビューでした。

それでは皆様、また次の機会にお会いしましょう。