約2年に渡って苦しめられ続けてきた「社会人の責務」ってヤツ(?)が、やっと終わりました…。これでようやく、散々書き散らしておきながら取り纏めきれなかった分をブログ化できますね。
という訳で、復帰手始めのリハビリがてら今回サクッと取り上げるのは、HG Ξ(クスィー)ガンダム以来久々の「新作ガンプラ」。
「機動戦士ガンダムSEED」(以降 SEED)シリーズと言えば2002年に放映開始され「平成のファーストガンダム」として大ヒットを記録。
2004年にはその続編となる「機動戦士ガンダムSEED DESTINY(以降 DESTINY)も放映され、一大コンテンツとして名を轟かせる事となりました。
尤も当時の自分は、既に(一応)同じ業界に就いていた事もあり、完全に仕事目線のみでしか見る事が出来ませんでした。まだ「個人」と「仕事」別々の見方が同時に出来る程の経験も余裕も無かった時期だったからです。
それでも「仕事」面として見た「SEED」も、リアルタイムに体験出来るキャラクターコンテンツとして大変魅力的なモノだった事は間違いありませんでした。
そんな矢先の2006年。ついに「劇場版」の制作を発表。「SEED」に比べ何かとお騒がせだった「DESTINY」がああだったのは、コレを見越しての事だったのか(※)…と思い早幾年。何時の間にかこのお話は「業界内最大のタブー案件」として取り扱われる樣になってしまいます。
※…実際は現場スタッフへの確認も無いまま、上層部の独断で発表された事を後日知り「全然関係無かったじゃん…」と自身の無見解に自信喪失。
そんな劇場版が、2024年01月26日ついに「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」(以降 本作)として公開!
何しろ約20年前(※)に発表されながら今日に至るまで発表されなかった訳ですから、何かと疑心暗鬼が先に立ってしまうのは致し方無。
※これまた「業界内最大のタブー案件」になりかけていた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」(2007~21)が丸ごと収まっちゃう位なんスから。
それでも、本作をきっかけに久々に「最新の」ガンプラを作ってみたかった事。
何より「口元にヘの字型スリット無」「簡易変型機構を備えたプレイバリュー」「HGCEが元々持つ差替機能」という自分好みなデザイン。
そしてどうも色々鑑みるに「主人公乗換前提機」らしい?じゃあこれって「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(1988)で言う処の「リ・ガズィ」枠って事じゃん!
もちろん主役機たるνガンダムも大好きなのですが、Zの簡易量産型たる「リ・ガズィ」みたいな「本物になり切れない代換機」を脳内妄想チューニングし「青は藍より出でて藍より青し」するのが大好きな自分としては、避けては通れないロマン機体!(※)
という訳で、公開初日まだ観劇してないにも関わらず、お勤め帰りに購入してきました。
と言う訳で、製作方法は本ブログお馴染みな、何時もの「パチ組・ガンプラマーカー」&艶消しクリアフィニッシュによるお気楽極楽対応で、一気に完成させようと思います。
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…ふう。さて、現時点では全く観ていない本作についてなのですが(ここを書き始めたのは公開1週間前)。間違いなく「ロボット物として」面白いモノになっていると信じています。
というのも、これまでの「SEED」シリーズを作成したきたスタッフの中心コンビ「福田 己津央 監督」&「重田 智 メカ作画監督」、特に重田氏に対し「もっと評価されるべき」との感があるからです。
そこで本キット製作中の合間に「SEEDのSの字も知らない」令和キッズ達に向け、
なぜ「ロボット物」として「福田 己津央 監督」&「重田 智 メカ作画監督」コンビ(以降、コンビ)が要注目なのか?
を個人的備忘録として書き綴ってみようと思います。
それは何故かと問われるならば「本作を知らない令和な小・中・高・大生」にこそ観てほしいから!
純粋なキットレビューのみをご所望な皆様には誠に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、こんな有様ですのでブラウザバック推奨。このまま読み続けるにしても「ーーー」まで飛ばして頂けますとこれ幸い。備忘録だから仕方ないね。
いつもの裏付無・特定個人&団体への非難の欠片も無い、愛故のお気楽極楽与太話。それでも知ってもらう事で見方が変わり、「SEED」を知らなくても「飛び込みで本作を観てみよう!」という気になる…かもかも?だといいな。
という訳で、何卒お時間のある方は寛容にお付き合い下さい…それでは、どうぞ!
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■【ネタバレ未満!】何故「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」を勧めるのか?【福田氏&重田氏コンビ編】
●チャプター1:コンビのあらまし
さて、今から時は1980~90年代にまで遡ります。
福田氏は、80年代のサンライズ作品にまずは設定制作で参加。リアルロボット物「機甲戦記ドラグナー」(1987)で初演出デビューを果たし、数作を経て「勇者エクスカイザー」(1990)の演出チーフとして参加。
令和現在のスーパーロボット物の原点としてよく名の上がる「勇者」シリーズの原点にして第一作目において、重要な役割を果たしています。
その後、氏の代表作かつ初監督作品「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」(以降 サイバー。1991)がスタート。その「燃える」演出構成と「萌える」キャラ設定により、男女問わずの人気作となりました。
片や重田氏と言えば、サンライズ作品としては「機動戦士Zガンダム」(1985)から原画として参加。その後も「エヴァンゲリオン」「マクロスプラス」「パトレイバー」等、着々とリアルロボット物で実績を積み重ねていきます。その特徴と言えば…
①ロボットアレンジ・ディフォルメのカッコ良さ
1970~80年代にかけ、大胆なディフォルメ&パース&エフェクト作画を以て「アニメーター」に脚光を浴びせ一世を風靡した「金田 伊巧」氏。
「機動戦士ガンダムAGE」(2011)他、様々なガンダム作品に関わっています。
通称「ロボ描き屋」と呼ばれた「佐野 浩敏」氏、その特徴は「流麗グラマラス」(左下)。
「機動戦士ガンダム0083」(1991)、「機動武闘伝Gガンダム」(1994。以降、Gガン)等、これまた様々なガンダム作品に関わっています。
そして「重田 智」氏といえばもちろん「機動戦士ガンダムSEED」(1994)シリーズ、その特徴は「キレッキレ細マッチョ」(右側)。
本作に関連した公式立体化商品「METAL BUILD」シリーズや「ガンプラ_MG」シリーズ等の監修も精力的に行われています。
②多彩なエフェクトの美しさ
重田氏の魅力として、煙・水しぶき・そして火花といった、美しく多彩なエフェクト表現力も忘れてはなりません。
●チャプター2:コンビの出会い
「福田 己津央 監督」&「重田 智 メカ作画監督」が初タッグを結成(以降、コンビ)したのが、オリジナルビデオアニメ(以降 OVA)「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA/SIN」(1996〜2000)(※)。
※…一原画マンとしては「~11」(1992)から参加。なお「SEED」の脚本:両澤 千晶氏、音楽:佐橋 俊彦氏も本作より参加していますが、語られる機会が多いので今回は割愛します。
TVシリーズより一本当たりの制作費は増えるとは言え、劇場版程の潤沢な資金が使える訳でもないOVA作品。そんな中、このコンビは以下の2策で品質向上を図ります。
①各マシンの「通常シーン」のバンク化
②それを少数精鋭作画で実現する事
90年代当時の「F1ブーム」に乗る形で企画実現を果たしたサイバーですが、当初は「オン/オフロード」併用によるコース設定が為され、「明確な悪役」が存在していました。
というのも、人型の「ロボット」に対し車はしょせん「箱」。可動部もあまり無く、演出面でどうしても「見栄えが地味」になってしまいます。
何しろ「車」に興味の無い人にレースを勧めても「ただの箱が同じ所をグルグル回ってるだけじゃん。何が楽しいの?」とか言われちゃう訳ですから(実話)。
なので「オン/オフロード」併用にする事でコース背景に変化をつけ、勝つためなら反則妨害行為をも厭わない「明確な悪役」を用意していたのです(※)。
※…往年の「スーパーカーブーム」の頃(1970年代後半)、キャラクターコンテンツにおける「レース物」が多数出ましたが、いずれもこの範疇を大きく超えられませんでした。
例えが古いですが「チキチキマシン猛レース」(1968)の頃から、キャラクターコンテンツにおける「レース物」は見せ方が変わっていなかった証左とも言えます。
処が各キャラの魅力で人気が出た事で、サイバー後半では「オンロード」のみ。悪役も「実は良い人≒1レーサー」として設定が改められる事になりました。
さり気にこれまでの「レース物」の常識を覆していたりするのですが、話数の短いOVAで毎度毎度コースのレイアウト&ギミック設定を用意するカロリーもバカにはならないという一面もあったのでしょう。
でもこのままだと、必殺技に該当する「変形/ブースト」設定があるにせよ、この特殊バンクだけでは使用箇所に限りがあり、あまり間が持ちません。ではどうするか?
何と「ただの箱が同じ所をグルグル回ってるだけ」を逆手にとり「ただ走ってるシーン自体をバンク」にする事で品質向上を図ったのです。では、その実例を見てみましょう。
例えば主役メカ「アスラーダ」が「ただ」の直線コースを走っているだけのシーンがあるとします。普通ならば止め絵スライドで正面or横からマシンを写し、流し背景で充分とされる処。
恐るべきはこの「通常バンク」とも言えるシーンを「各マシン」更には「カーブ」毎に用意する事で、毎話ただ「通常バンク」を積み重ねるだけで「迫力のレース」を演出できるようにして見せたのです(※)。
※…肝心要の「必殺技」はどうすんだって?新たに「2ndブースト」&「必殺ターン」追加っスよ?!
無論誰しもがこんなバンクシーンを演出・描ける訳が無く、そもそも大人数を雇える予算もありません。よって少数精鋭作画でコツコツ積み重ねる事で、この品質向上という名の難題を力技で捻り倒したのです。
●チャプター3:コンビ、ロボット物への挑戦
そしてついに、このコンビが「ロボット物」に挑む時がやって来ます…その名も「GEAR戦士 電童」(2000)。
スーパーロボットたる「勇者」シリーズで名を馳せた福田監督&数多のリアルロボットを手掛けてきた重田氏作画は、ここでも冴えに冴えた相性の良さを見せます。
玩具の売上不振からか残念ながら商品展開が止まり放映期間も縮小されてしまった物の、お構い無しに物語は怒涛の展開を見せ、ついにはどこかで見た武装満載のフルアーマー化(そしてパージ!)まで果たす始末。
※…この頃の男の子たちを性癖面で大いに揺さぶったであろうベガさんについても大いに語りたいのですが、今回は割愛します。
そんなコンビが「電童」を経て次に手掛けた作品こそ「機動戦士ガンダムSEED」(2002)シリーズ。放映開始前と言えば、正直さほど世間の話題に昇る事は無かった記憶があります。
先に放映されていた「ターンエーガンダム」(1999)の商業的失敗は素人から見ても明らかでしたし、何より当時の監督評はこれまでの流れから「スーパーロボット」向きとされていたからです。
ではそもそも「リアルロボット」物と「スーパーロボット」物の違いとは何なのでしょうか。
これまた数多の質疑が為され様々な解釈が為された永遠の命題となりますが、そもそも「リアルロボット」物は「スーパーロボット物のお約束を否定する」処から端を発しています。
ですので今回は「演出面のみ」に注視して「リアルロボット」物から否定・除外された「スーパーロボット」物の演出要素を抜き出してみます。
まず「リアルロボット」物は、「スーパーロボット」物には必ず存在する「必殺技」を否定しています。「リアルな世の中にはそんな便利なモノなど無い」って至極真っ当な理由からです。
無論「名乗り/決めポーズ」なんか以ての他。そもそも「歌舞伎」の「見得切」からヒントを得たとされていますが「実際にやってたら、その隙にやられる」っていうこれまた納得な理由から。
更に「合体/変形」についても(基本的には)否定されていて、曰く「強度面・運用面から見ても現実的では無い」という理由から(採用してるタイトルも有ります)。
なら「出撃」はOKでしょ?となりそうですが、これまた「リアルな戦場において毎回同じ状況なはずがない」という理由から、あまり多用できません。
つまりは「リアルロボット」物の存在価値の邪魔になると言う理由から「スーパーロボット」物では定番とされるあらゆる「バンク」シーンが否定されてしまったのです。
こうなると毎回違う状況下を設定で用意・演出・作画をしていかないといけない訳ですが…そうでなくても作画負担が大きい「ロボット物」においてこれは致命的。
結果、作画乱れを防ぐために舞台が「足元が隠せる森林」か「何も無い宇宙」ばかり。ロボットを映すにも「アクションシーン=遠距離ロング」「アップ時は止め絵」で単調で印象に残らない場面が続くという、本末転倒な結果にもなりかねません。
これでは「ロボット」に興味の無い人に視聴を勧めても「遠くから銃撃ってるか、剣使ってる時も辛気臭い話してるだけじゃん。何が楽しいの?」とか言われてしまう顛末(実話)。
処が、このコンビはよりにもよって「リアルロボット」物の雄たるガンダムに対し、「スーパーロボット」物の以下2手法を以て立ち向かう事になります。
①各MSの「通常シーン」のバンク化
②それを少数精鋭作画で実現する事
何と「遠くから銃撃ってるか、剣使ってる時も辛気臭い話してるだけ」を逆手にとり「遠くから銃を撃ってる/剣使ってるシーン自体をバンク」にする事で品質向上を図ったのです。では、その実例を見てみましょう。
まず「スーパーロボット」的手法の事例から。「勇者」シリーズ第2作目「太陽の勇者ファイバード」(1991)の主役メカ「武装ファイバード」が剣(フレイムソード)を使いますが。
※…「Gガン」でもバンクは使われていますが、どちらかというとこっちの「スーパーロボット」的手法となります。
では「SEED」はどう対処したのか?例として主役メカ「デスティニー」が「ただ」剣(アロンダイト ビームソード)を使うだけのシーンを挙げてみます。従来ならば抜刀→ただ振り下ろして終わりとされる訳ですが…
処がこのコンビは、メカのめっちゃアップからカットをスタートさせそのまま「遠ざかる」途中で抜刀。
つまりは「サイバー」手法の合間に「決め」を挟む事で、リアルロボット物の戦闘シーンへテンポを崩す事の無く、印象的な「通常技のバンク化」を成功させて見せたのです。
恐るべきはこの「通常技バンク」とも言えるシーンを「各MS」更には「技(ライフル・サーベル・特殊武器等)」毎に用意する事で、毎話ただ「通常バンクの積み重ね」るだけで「迫力の戦闘」を演出できるようにしてしまいました。
ここで注目すべきは、福田監督の抜群なバランス感。つまりは「リアルロボット」物で許容され得る「スーパーロボット」物要素のギリギリな取り込み具合が絶妙だった事です。
ガチな「リアルロボット」物ファンから見れば「毎回抜刀するのはおかしい」等、オカシイ点満載なバンク。当然クレームもありましたが、それはホンの少数。大概の「リアルロボット」物ファンはおろか新規層までも取り込めた事は、何よりガンプラの販売数実績が雄弁に物語っています。
それどころか「見てない(作画されてない)処で鞘に戻したんだろ?」等の好意的な見方を「リアルロボット」ファン自らが(ネタ的に)フォローしてくれる有様。
なお、この「通常バンク」の概念は「リアルロボット」物における「一種の発明」みたいなモノで、以降のガンダム作品においても多用されるようになります。
つまり「リアルロボット」物の禁じ手とされていた「見栄切」演出が(多少なら)黙認されるようになったのです(※)。
※…以降のガンダム作品において何故か大張氏の参戦率が上がった事実からも、この事は無関係では無いはずです。
あと「バンク」シーンに漏れなく付いてくるバフ効果「印象付け」も忘れてはなりません。
そしてバンク以外のシーンでは他大人数のスタッフの力を存分に投入し、要所要所では必ず「男の子好きな見せ場」を用意。ここぞとばかりに抜群の「殺陣」を披露してくれます…勢いで「名乗り/出撃/合体/変形/決め」までモリモリに!
かつて「カワイイは正義!」という正論が囁かれた時期がありましたが、「ロボット物」に関して言えば「リアル/スーパー」関係無く、これぞ正に「カッコ良いは正義!」を証明してくれる形となりました。
そんな「SEED」シリーズは、かつて伝説を作った「機動戦士ガンダム」(1979。以降 ファースト)に並び「平成のファーストガンダム」としてその人気を不動のモノとしていきます。
尤も、その後の顛末は皆さんの知っての通り。以降約20年に渡り、本作の行方は誰にも解らない状態となってしまうのです。
●チャプター4:潜伏期間中のコンビ
そんな約20年もの潜伏期間の間にも、着々とこのコンビは牙を研ぎ続けていました。
まず福田氏は長年の沈黙から突如、クリエイティブプロデューサーとして新作「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」(2014)を発表します。
また重田氏に関して言えば、クロスアンジュ含む様々なアニメ作品の原画をこなしつつ、「激闘!クラッシュギアTURBO」(2001)にて初の「3D作画監督」を経験しています。
恐らく日本の毎週放映されるTVアニメで初めて「CG&セルアニメの融合」に成功しで話題となった「ZOIDS」(1999)に触発され、2000年前半は様々なアニメ会社がCG導入を始めたであろう時期。
まだ共通言語もままならないであろう異業種同士の新たな環境下において相当のご苦労があったかと思うのですが、最終的には劇場版「~カイザバーンの挑戦」まで持ち込み、一玩具販促アニメとしては驚異的なスマッシュヒットの原動力ともなったのです。
更に新境地への挑戦はまだまだ続きます。PS2サイバーでモデリング&メーター監修後、今度は「あの」ガンプラMGシリーズ監修を行う事となりました。
続々と次ver.が出続ける「SEED」ガンプラにおいて、今や「古典」となりつつある初期「SEED」MGシリーズ。
ですが、重田氏監修の「MGストライクフリーダム」(2006)、「MGデスティニー」(2007)、そして「MGインパルス&インフィニットジャスティス」(2008)は、今現在の目で見ても「異色作」その物です。
「実在する機械(MS)の縮小モデル」として最適解の立体解釈模索を続けているのが「ガンプラ」、その最たるシリーズブランドが「マスターグレード」(以下 MG)だとしたら。
発売当時の目で見ても明らかに「ディティール・パネルライン」が少なく、一言で言えば「MG≒メカらしい」物では無いため他と比べパッと見の見劣り感が否めなかったからです。
処が実際に完成させ触って見ると、その考えが間違いだった事に気が付かさされます…と言うのも、これまでの「MG」の立体解釈「ディティール・パネルライン」追及に反し「体の線・面構成の曲面変化」を重要視して立体化を目指していた事が指先から伝わってくるからです。
つまり、これまで「ガンプラのスケールモデル化」を目指していた「MG」の中で、初めて「劇中イメージ再現」・「ガンプラのキャラクターフィギュア化」を目指したのが、重田氏監修の「MG」なのです(※)。
確かに「MG」デザイナーズブランドとして「カトキハジメ氏」による「ver.ka」(2002〜)が在りますが、これは氏のスタイル(立体解釈)が極めて「MG」のコンセプトに近いため。あくまで「MG」の先鋭ブランドとして捉えた方が良さそうです。
その後、プラモデルに続いて完成品玩具「ROBOT魂」「METAL BUILD」等の監修を行い、「劇中イメージ再現」の立体化レベルを着々と高めていきます。
●チャプター5:何故「機動戦士ガンダムSEED FREEDAM」を勧めるのか?
とまあツラツラと書き連ねてきましたが、これらをまとめたお勧めポイントを挙げると…
①優れた「殺陣」&ロボ「アレンジ・ディフォルメ」によるカッコ良さ
②「男の子魂」が解ってる構成&演出
③必ず最高の形で〆てくれる実績
④CG作画への確かなノウハウ蓄積
そして何よりも、
⑤「バンク」という枷を初めて外した「完全劇場オリジナル作品」
だと言う事。
そんな「リミッター解除」したコンビによる、ロボット物として「最高のエンターテイメント作品」が本作で見れるのではないか?という期待が、とうしても拭い切れないのです。
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…という訳でようやく、バンダイ HGCE 1/144「STTS-909 ライジングフリーダムガンダム」完成と相成りました。それでは、早速ご覧いただきましょう…って、
…さ、それでは本日公開2日目朝一の回で本作鑑賞と参りましょうか!それでは皆様、行ってまいります!!
※…またこんな有様ですので、純粋なキットレビューのみをご所望な皆様にはここでブラウザバック推奨。
このまま読み続けるにしても「ーーー」まで飛ばして頂けますとこれ幸いです。
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先に、当時の自分は既に(一応)同じ業界に就いていたと書きましたが、当時の先輩方から、まあ役に立ちそうだったり立たなそうだったり、誠しやかながら全く裏付の無い、怪しげな教えを乞うてきました。
そんな中「仕事」面から見た「SEED」に対し、特に印象に残っている「教え」が2つあります。それが、
『玩具・模型スポンサー主導の主役メカにおいて、正面設定画では必ず「脚部のどこよりも広い足底幅」かつ「バックパックは肩パーツ幅内」に描かれる』
そして、
『その常識を覆したのが「フリーダムガンダム」』
というモノ。これに関しては少し補足説明が必要かもしれません。「脚部のどこよりも広い足底幅」の詳細は以前アップした以下を見ていただくとして…
令和現在まで続くキャラクターコンテンツの中でも、「ロボット物」の原点かつ元祖として今なお健在な「マジンガーZ」(1972)。
その数々の「初」功績は様々な場所で語られているので詳細は省きますが、今回取り上げる「初」要素は
「ロボット物初の視覚的強化武装≒バックパックの採用」
言わずとしれた「ジェットスクランダー」の事ですが、玩具・模型業界において、ひっそりと1つの問題解決を迫られる事態になったと言うのです。それが、
「大型のバックパックを背負わせると倒れ易く、立たせて飾り辛い」
というモノ。確かにマジンガーZを祖とする「玩具・模型スポンサー主導の主役メカ」は、以降1990年代に至るまで「立たせて飾る」事を前提として商品化されています。
故に、自分たちファンが親の顔より見返した各種ロボット達の「正面設定画」を最初に見て「Go!」を出すのは、無論ファンでも無ければアニメーター・ましてやアニメ監督でもありません。
つまり、スポンサーたる「玩具・模型スポンサー」が「主役メカ」デザインに制約をかけてしまった結果、視覚的に少しでも小さく見せ採用率が上がる様「バックパックは肩パーツ幅内」という「正面設定画」が蔓延る事になってしまったらしいのです。
その視点で見直してみると、確かに「リアルロボット物」初の「視覚的強化武装≒バックパックの採用」作「銀河漂流バイファム」(1983)の「スリングパニアー(リフター)」は、羽を折り畳む事で、せいぜい拳1個分の肩幅オーバーで描かれています。
そしてその傾向は、80年代の「リアルロボット物」ほぼ全てに反映されています(※)。
※…お時間のある方はぜひ見直してみて下さい。あのウイングガンダムもそう。ちなみに唯一の例外が「重戦機エルガイム」(1984)のエルガイムMk.2で、何とこの当時で「踵のハイヒール化」まで行っています。メカデザイナーの「ロック」さがこんな処にまであらわれていますね(※※)。
※※…なお「新世紀エヴァンゲリオン」(1995)以降の製作委員会方式を採用したロボット物は、玩具・模型主導では無いため該当しません。「新機動戦記ガンダムW〜EndlessWalts」(1997)等の映像会社主体のロボット物も該当外となります。
ここで「玩具・模型スポンサー」からの2要求を、「SEED」の実績を以て初めて覆したのが「フリーダムガンダム」となる訳です(下図参照)。
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①HDリマスター版全48話をぎゅーっと凝縮!『機動戦士ガンダムSEED』スペシャルダイジェスト
②HDリマスター版全50話をぎゅーっと凝縮!『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』スペシャルダイジェスト
③『機動戦士ガンダムSEED FREEDAM』本編冒頭6分映像
の3本を見ておけば充分!では有るのですが、全部見ると1時間超え確実だしなぁ…よござんす!なら不詳私目が「これだけ押さえておけば充分!」なキャラ紹介をしてみましょう。
【世界平和監視機構コンパス】
「なぜ人は戦い続けるの?」という、これまでのキャラクターコンテンツ(ガンダム)で無限に繰り返されてきた永遠に答えの出ない命題に挑む1作目「SEED」の背負っちゃう系主人公。アスランって人の幼馴染。
ラクス(右上):
超カリスマ系ほんわか歌姫。2作目「DESTINY」で再登場した達観キャラ(と見せけて、実は人生にほとほと疲れきっちゃってる)キラを公私で支える。現在はコンパス総帥で、アスランって人の元婚約者。
シン(左下):
「これでもか!」という位に不幸な目に合う「DESTINY」の元主人公。どの位不幸かと言うと闇墜ちしてキラに主人公の座を奪われる位(でも最終回で和解)。ちなみに中の人がグリッドナイト兼ブレイバーン。アスランって人の元部下で、一方的に嫌ってて仲悪い。
ルナマリア(右下):
「DESTINY」における女性キャラ人気No.1。白兵戦もMS戦もこなすエリート軍人で、鉄板ネタは「射撃外し」。シンの姉さん風いい人だけど、アスランって人の元部下時、言い寄ったり裏切られたり誤解が解けたりしてる。
キラと双子の関係で、一応中立国オーブの愛され当主。一応「こんな事もあろうかと」&「お色気」パート担当だが、得てして本人には一切知らされない。アスランって人のいい人。
アレックス・ディノ(偽名。下段):
本人&MSどちらもレスバ&ステゴロ最強のゲームチェンジャー。が、いっつも何かしら迷ってて中々本領を発揮出来ない。両作に渡り混乱の約3割はこのアンチクショウが原因。
…とまあ、この6人だけ抑えておけば、後は否が応でも「ガンダム」特有の倫理感〇なストーリー&強敵が1から展開していく「完全オリジナルストーリー」。
あ。あと、出てくるロボット(MS:モビルスーツ)の中で「ガンダム顔」は一つを除いて(※)全員「味方」、これで万事OK!
故に、初心者でも安心して2時間に渡る「リアルロボット物」の王道にして最高傑作な本作を楽しめるって寸法。もし仮に辛くなったとしても…
そう、1時間ほど頑張ってくれれば!壊せよセオリー交わせよシナジー、君を退屈から救いに来たんだ!
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あと本作って、恐らく福田監督&脚本の両澤氏により、たった2つの練りに練ったキーワードを基に物語構成を行ったんじゃないかな?って思ってます。その内の1つがこちら。
キーワード①:アスランのセリフ
「使えないな。」
「戦闘機版ガンダム」
といった内容。連載中はTVアニメ化が熱望されていた人気作品でもあったが故に(※)、新たな「ガンダム」を制作するにあたってのモチーフ先の1つとなる事は、充分あり得る話だったのです。
※…今改めて読み直して見ると「現実世界に近過ぎてTV化は不可」だった事が分かります。なおZガンダム放映時の1985年にOVA化をはたしています。
革新派と保守派の内戦状態にある独立国「アスラン」に、親友の裏切りから一傭兵として送り込まれる主人公「シン」。「一度は戦場から離脱」するも、武器商人達による世状「コントロール」により意図的に内戦状況に置かれている事・その組織プロジェクト4の主導者がかつての親友だった事を知り、決着をつけるべく「自らの意思で再び戦場に戻る」…というモノ。
とは言え「せいぜいネーミングの参考程度じゃ?」と思っていたのですが「やっぱり元モチーフの一つだったんだ」と思うに至ったのが本作以下のセリフ=キーワード。
「必要だから愛するのではありません。愛するからこそ必要なのです。」
エリパチでは「愛を理解できない親友」に「愛を説くヒロインが決定打」を突き付けます。そして最後は「新型機では無く、かつての愛機で出撃する主人公」が決着をつけるのです。
と想定していたが故に、友人(元職場の先輩)分のチケットも込みで購入した訳ですが。その辺りを語り合おうとしても、この友人はデスティニー大好きなので後半は身を乗り出してしまってもう大変。
鑑賞後は「ディスティニー、良いよねっ?!」しか言わないし…ってシン!この大バカヤロウっ!!
まあ先にチケットを渡しておいたら、まさかの前日(初日)朝イチで並んでパンフレット買っておいてくれたので文句も言えやしない(しかもちゃっかり限定プラモまで購入済だし)。
ホント「SEED」に関しては仕事の視点でしか見てなかったから、ガンプラも買ってはいたけど「あーカッコいいなぁ」レベル止まり。でも本作を見て正直デスティニー&シンが好きになりましたし、約20年に渡り推し続けてた友人をちょっと羨ましくも思いました。
でも何でこんなに響いたのかな…と思い返してみれば、セルフオマージュ「サイバー」の「凰呀」そっくりだからだ!どっちも怪しげな輩(cv:どっちもシャア)から受領した対主役マシンだし、「ゼロの領域=種割れ」だし、必殺技は分身だし。
リメイク作の「グレンダイザーU」(2024放映予)が同じ福田監督で、マジンガーZ登場確定じゃん?!コイツぁ期待大!!(重田氏参加しないかな…)
…そう。実は本ブログ、HGCEライフリレビューにかこつけた「SEED FREEDAM」及び「グレンダイザーU」のステマだったのでした。なので、皆で見よう「SEED FREEDAM」及び「グレンダイザーU」!
それでは皆様、また次の機会にお会いしましょう。