今回当ブログが取り上げるのは、先の 「イングラム&ブルドッグ」「ヘルダイバー」「零式(ゼロ)」レビューに引き続き、またしてもモデロイド版「機動警察パトレイバー」シリーズより、

出渕裕 氏真骨頂のライバルメカ「TYPE-J9 グリフォン」のキットレビューと相成ります。

「MODEROID」シリーズと言えば、一律「全身図」なパッケ絵な訳ですが、ご覧の通り挑発的なキャラクター性を全面に推し出したナイスポージング。

カラーリングもパープルを基本としたマジョーラ風味で、創作意欲を存分に駆り立てるモノとなっています。

今回はグッスマオンラインを活用し「フライト&アクアユニット」セットを購入したのですが、MODEROIDセット定番の2色刷りも相も変わらぬハイセンスぶりで嬉しい限り。
何より丁寧な事前出荷予告&定時到着によって十二分な余裕を持って制作出来るので、感謝の気持ちを忘れる事無く、今回もより全力を以て( ・ω・)⊃しつくしたいと思います。

早速何時もの作業の段取りを兼ねたパーツ確認から参りましょう。
箱を開けて真っ先に目に飛び込んできたのが、MODEROIDお馴染みの着彩パーツ。気にしない人は全く拘らないであろう僅かな小逆三角形赤マーキングに、開発担当者の執念にも似た熱い拘りを感じずにはいられません。

仕上がりが綺麗になる代わりに行程が倍加するアンダーゲート処理。大概は設計側が面倒になるのか不必要な所にも着いてたりするのですが、本キットは本当に必要な最低限のみ採用されているのが好印象。

左右パーツ二枚兼用で1セットな「Dランナー」の真ん中に不自然な空きがあるのですが、コレが「アクアニユニット」の大きさにピッタリ。
これ絶対ギリギリまで、一般販売でフライト&アクアニユニットのコンパチキットとして検討していたんだろーなー…と言った「ユーザー視点での開発」が為されていた事を随所で感じさせてくれます。

多少パーツの欠けがあった物の、ガレージキットや海外プラモに比べれば可愛いモノで、チャッチャとヤスって馴染ませ準備万端。お陰様で全パーツの存在も確認出来ました。

さて、モデロイド版「パトレイバー」シリーズを作る際にすっかりルーチンワークと化したヘビロテ用映像&BGMセッティング。

今回は戸部敦夫氏・佐野浩敏氏・松尾慎氏らメカに定評のあるスタッフ陣が艶っぽく描く「破壊されるレイバー」と、メカニックデザイナー出渕 裕 氏自らがコンテを切り前田明寿氏によって描かれた「キレッキレなグリフォン」で勢いをつけたかったので、
TV版30話「グリフォン参上!」35話「グリフォン墜つ!」新OVA版1話「グリフォン復活」を迷わずチョイス。

「黒い破壊者~GRIFFON」が代表的BGMとして有名ですが、個人的には「グリフォン登場!」の方が好みなので、こっちを口ずさみながら気分を昂らせ、ターゲット・ロック・オン!

早速「パチ組・ガンプラマーカー」&今回はシーリング部のみ艶消しクリアフィニッシュという何時ものお気楽極楽対応で、サクッと作成していく事にします。
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さて。この「グリフォン」なのですが、個人的にはマイナーだった「パトレイバー」を一気にメジャーに引き上げた立役者として、一際敬意を払ってるレイバーだったりします。

そこでグリフォン作成の合間に、パトレイバーがマイナーからメジャーな存在へと踊り出た80年代後半の状況・事情を、当時 ただの一高校生オタクだった自分の素直な視点による「極めて個人的な備忘録」として書き綴ってみようと思います。

純粋なキットレビューのみをご所望な皆様には誠に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、こんな有様ですのでブラウザバック推奨。このまま読み続けるにしても「ーーー」まで飛ばして頂けますとこれ幸い。備忘録だから仕方ないね。

何しろとうの昔に完結した本作ですので、ネタバレ前提・当時のライブ感を直接お届けすべく敢えていつもの裏付無・特定個人&団体への非難の欠片も無い、愛故のお気楽極楽与太話。

それでも知ってもらう事で見方が変わり、より「楽しく(カッコ良く)見る」事が出来るかも?…だといいな。

という訳で、何卒お時間のある方は寛容にお付き合い下さい…それでは、どうぞ!
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「パトレイバー」と言うコンテンツが「マイナー」から「メジャー」な存在に踊り出るにあたり、個人的には以下3つの大きな段階を経た体感がありました。

①1988年4月~OVAシリーズ展開開始&それに先立ち漫画版連載スタート

②1988年11月~漫画版にてライバル兼ラスボス機「グリフォン」登場& OVA「二課の一番長い日」リリース

③1989年7月~劇場版公開&TV版制作決定&漫画版「グリフォン編」第一部決着

所謂メジャー化への①ホップ②ステップ③ジャンプ!といった具合なのですが、その過程の②③において「グリフォン」が果たした業績を省みるに、その登場当初から絶大な潜在価値を秘めていたのだと改めて思い至らされます。

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その動きは、「究極超人あ~る」(1985~)絶賛連載中のゆうきまさみ氏自身によって既に明らかにされておりました。

月刊ニュータイプ誌上コラム「ゆうきまさみのはてしない物語」において、その企画進行状況が随時報告されていたからです。

「マジンガーZ」(1972)以来、手法を変えながら20年近く男子たちの心を捉えてきたモノの「機動戦士ガンダム~逆襲のシャア」(1988)を以て遂に終焉を迎えつつあった「ロボット物」。

そこに一筋の光明を差し示した「究極のプロジェクト」こそ、当時10000円近くしたOVAにブロックバスター価格4800円という「革命」を以て殴り込みをかけた「機動警察パトレイバー」(1988年~)となります(※)。
現在は「アーリーデイズ」「旧OVA」とか呼ばれている本シリーズ。その評と言えば、専ら「バラエティに富んだ面白さ」と証される事しばし。

でもちょっと待って下さい…確かにその通りなんです。でもこの評は、既に「TV版」「劇場版」更には「新OVA版」が存在するあくまで「現在」の、それも「比較」した上でのモノである事を忘れてはなりません。

この当時はまだCD・レコードレンタルのYou&Iが幅を利かせていた時期で、ビデオレンタル屋は個人経営の怪しげな裏稼業的存在でしかありません(※)。

※…ビデオレンタルが一般に普及したのは1990年頃。PPTシステムにより店側と製作側のギブ&テイクが成立し、利益が還元されるようになってからとなります。

だからこそ「ブロックバスター価格」が大きな効用を発揮した訳ですが…実際に①~②へ至る「当時」の本シリーズ1~4巻しか無かった時のファン心理・評を正直に書くと…失意、否「失望」。その一言に尽きます。
今思えばその空気感は、1巻の段階で既に現れていました。最も画面映えすであろうトドメシーンが、何故かお寺の鐘seのみで全く描かれていなかったからです。

まあそうは言うてもまだ1巻目だし、どうやら大ヒットのお陰で以降の巻も一律4800円というブロックバスター価格継続との事。またこの告知チラシの裏側には今後の簡単な内容も書かれてて、これまたファンの期待を煽りまくります。ちなみにその内容は確かこんな感じ。

2巻:都庁爆破予告。赤と青、遊馬の選択は?!
3巻:謎の巨大生物出現。その時、特車隊は?!
4巻:合宿先で怪事件発生。お風呂もあるよ!
5・6巻:初の前後編で描くクーデター巨編!

これねえ…この時代を知る方々なら絶対共感してもらえると思うんですが「太陽にほえろ」(1976)・「西部警察」(1979)・「あぶない刑事」(1986)等の所謂当時の「刑事ドラマ(一部 特撮)」において必ず盛り上がる定番中の鉄板ネタオンパレードなんすよ。

そりゃあ期待するなって方が無理。乗るしかない、このビッグウェーブに!って事で、馴染みのレコード屋のおっちゃんに向かって即決!全巻購入予約注文

しかもこのバカ、沢山もらったチラシを調子こいてバラまいちゃったもんだからさあ大変。そのムーブメントは同校の友達や他校のワンフェス仲間にも飛び火し、後の悲喜交々を生む土壌を育む事となります。

じゃあ一体「何でファンの心(と状況)が限界に達しちゃったのよ?」って事なのですが…皆さんが何の前情報も無く「ロボット物」を見た時、以下のような内容が続いたらどう思われますでしょうか。

1:ロボ(レイバー)の敵がロボじゃない(というか、そもそも戦わないし動かない)
2:主人公&パートナー(野明&遊馬)が活躍しない
3:娯楽の王道から敢えて外してくスタイル
   更に追加して、
4:OVAだけどTVアニメ品質
5:お小遣い的には充分高額な値段設定

当たり前ですが当時どこにもこんな事は書かれていません。これが明確化したのは、後日「劇場版」製作発表時にスタッフ自身より公表された「劇場版パトレイバー3つの誓い」からとなります(※)

※…これにはもちろん大歓喜した訳ですが、内心「…あ、自覚してたんだ。」とショックを受けた事はナイショ。

更には本シリーズ最大の売りとなる「ブロックバスター価格」自体にも問題がありました。

この綿密なマーケティング調査の裏付に基づく、(他OVAと比べれば遥かに格安だけど)約二月おきに発生する狡猾もとい絶妙かつ巧妙な価格設定でのシリーズへのお布施。

「俺の懐の方がブロックバスターだよ」(๑• ̀д•́ )✧+°ドヤァッ…

こんな鉄板ギャグが浸透してしまう程、隔月4800円という出費は主購買層の学生達に相当な負担を与える結果となっていたのです(※)。

※…「そんなにもらってねーよ」と悪態ついてたので良く覚えているんですが、当時の高校生の1ヶ月毎のお小遣い平均額は約5200円程。足らない分は学校に黙って行くバイト料で賄うのがデフォでした。

では何故そうなってしまったのか?これまた後の関係者インタビュー等から、その要因が明らかとなっています。

件の「ブロックバスター価格」実現のため(そこらのTVアニメよりも低いかもしれない)グロス発注超ダンピング価格による、相当無茶を通した制作だったとの事…とどのつまり予算不足が原因だったらしいのです。

処が、そこは数多のTVアニメを作ってきた押井監督をはじめとしたヘッドギアの面々及び現場の優秀な制作陣。キッチリと予算内かつ余裕のある納期内にまとめあげてしまいます…コストのかかる王道(刑事ドラマ)を狙わず「バラエティに富んだ面白さ(警察ドラマ)」にする事で、です。

処が、営業陣は反対に「王道を期待させるような売り文句」と「今買い支えないと後が無いよ感」満載のマーケティング戦略で、とかく購買層を煽りまくってた訳です(※)。

※…ええ。確かに、勝手に勘違いしたコッチ(ファン)が全て悪いんですよ?どこにも嘘が書かれていないお手本のような宣伝文章だし。

「大人な」視点で今見直すと、玩具メーカーがスポンサーに付かない不利の中、素直に「スゲーなあ」とは思います。でもやっぱ「当時は何とかなったけど、今なら絶対炎上案件だよなあ」とも思うのです。

何しろ何時まで経っても主流のお話にならない。誤解して欲しくないので何度でも書きますが、決して面白くない訳じゃ無いんです…実際、友人内での上映会ではすこぶる好評でしたし。

ただこの場合、別方向で充分面白いが故に腹ただしさが倍増すると言うか(見た友人からは案の定「んで、いつイングラム活躍すんの?」とか言われるし)。

「王道外しのバラエティ」はあくまで「異質な面白さ」であって「主流」ではありません。主流も見れてないのに傍流ばかり見せられても…(※)。

※…「REBOOT」予告編(約1分)見る度に思うんですが、これって当時この位のボリュームなアクションプロモがあっただけでも、大分印象が違ってたんじゃないかとか考えちゃう訳です。

当時の「買い支えていた」ファンがイメージし待ち望んでいたエンターテイメント性は悉く肩透かしされ、恐らくOVA版で見る事は叶わないだろう…。今思えば、それを肌で感じていたからこその「失望」だったのです。
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片や、OVA版にやや先んじて連載開始となっていた「ゆうきまさみ氏」による「漫画版」はどうだったのでしょうか。
これもまた失意…否「失望」、その一言に尽きます。ただしそのベクトルは全く逆でした。と言うのも、OVA版に感じていた先の不満を一掃する「娯楽の王道」その物だったからです。

では何に失望していたのか?それが「漫画版の先行きの無さ」となります。では、その件を「1988年4月6日号表紙」の煽り文で説明してみましょう。

まず「創刊30年突入記念3連発新連載攻勢第2弾」からなのですが、これは本来「十把一絡げな新人作家向け企画」であり「人気が無ければ即打ち切り」「元々長期連載を前提としていない」事を示唆しています。

また「Pプロジェクト、実働す!」「まんが+アニメ+音楽がサンデーに革命を起こす!」は、パトレイバー自体が「マルチメディアミックス」展開を標榜しており、あくまでも「そのタイアップ企画の一環でしか無い」事を示唆しています。
更には最大の障壁として、作者たる「ゆうきまさみ氏」自身の漫画家としての輝かしいキャリア・今後の展望と言う事案がありました。

1988年の週刊少年サンデーにおいて、アニパロで名を馳せたゆうき氏はもはや新人漫画家等では無く、超一線級のヒットメーカーとなっておりました。

前年となる1987年には「究極超人あ~る」においてレギュラーメンバーたるさんご達が卒業してどうなる事にと思いきや、その後も普通に光画部に入り浸る新フォーマットを提示し、ごく自然に次世代へバトンを引き継ぎました。

連載中断されていた「鉄腕バーディー」も復活の予兆を見せており、正に順風満帆と言った処だったのです。

そんな矢先、人気絶頂期だった「あ~る」が突然の連載終了。当時の出版事情など解らぬファンの立場から見れば、急遽次作(バーディー復活。実際はパトレイバー)のために連載を中断したのようにも見えました。

つまり「あ~る続編かバーディー再開」という、あくまで後続ルートが暗に示唆された上での「新連載」だったのです。
なおかつ何が失意…否「失望」したかって、ゆうき氏によるあまりにも素晴らし過ぎる「終わりを前提とした物語構成」です。

週刊連載1話16pの掲載分×約10話で単行本1巻分となる訳ですが、一月4週と考えると約2.5ヶ月分でそのノルマに達します。

漫画版は4月に連載スタートしたため、当面の各巻の〆は(多少発生する誤差を修正して)各々「6月中旬」「9月初旬」「11月中旬」…つまり「OVA版」との連動を前提とした場合「最大で1~3巻」の「短期集中連載」となります。

ここで「最大で1~3巻」と書いたのにも理由があります。アニメ誌「ニュータイプ」で連載していた「ファイブスター物語」(1986~ 以降、FSS表記)」は別枠として…
黒岩よしひろ氏「魔神竜バリオン(1987) 」や鷹城 冴貴氏「カルナザル戦記ガーディアン(1988) 」等、当時の「ロボット物」漫画は軒並み短命で終わっており、ジャンルその物がタブー視されていた時代だったのです(※)。

※…1巻分で連載終了となる可能性大。2・3巻分を連載したとしても、単行本化されるのは1巻だけと言う事も大いに有り得る状況です。

そんな中で「漫画版」は毎回の面白さを確実に維持しつつ、何と最初から単行本1巻分で1エピソードがまとまるよう掲載ボリュームのコントロールが行われておりました。

これは連載開始からファイリングしてたので良く覚えているのですが、週刊連載時の扉絵もエピソードが途切れないよう最初から単行本化を前提とした大コマ処理が行われており、どうしても途切れてしまう場合は、単行本化時に自然に繋がるようにわざわざ描き足しが為されておりました。

かように1巻から3巻までは各巻毎のエピソードがキッチリ入っており、末尾に「俺たちの戦いはこれからだっ!」頁さえ加えれば何時だって〆る事が出来る「終わりを前提」としたような構成だったのです。

そんなこんなで①~②に至る1988年秋頃。「OVA版」「漫画版」共にファンの心(と懐事情)は既に失望の限界値「絶望」に達しており、一気にファン離れが加速→そのままシリーズ終了となってもおかしくない程に、極めて危うい空気感だったのでした…。

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そしてついに「漫画版」第3巻の〆となるであろう回の掲載号。案の定、やはり今号で「3機のブロッケン編」にきっちりケリが付けられています。

タメ息をついて「思いきり趣味に走ってみたんです」のコマで手を止め、この後頁に来るであろう「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドを思い浮かべ、心備えをします。


内海「フッフッフッ…ボクの用意した新型レイバーに勝てるかなー?」
バド「お姉ちゃんなんか、ボクのレイバーの敵や無いでぇっ?!」
シルエットな謎レイバー「マ"ッ"!」ギッチョンッ

冴子さん「ウフフ…私のはいきぶつ13号は最凶よーっ!」
13号「アンギャーッ!」
栗栖博士「むうっ、一刻も早く時限爆弾を完成させるのだ。宮ノ森くん!」

遊馬「ようしっ、オレ達の戦いはこれからだっ!行くぞ、野明っ!!」
野明「そーだね、遊馬っ!!」

あ~る「やあ。次回からは究極超人あ~る2が始まりますよ?」
バーディー「あら?鉄腕バーディーの連載再開だってば!」


…まあ、ありかな?あ~るもバーディーも大好きだし、本当に残念だけどこればっかりは仕方ない…そう覚悟を決めてページをめくったその先に
パトレイバーの前に敢然と立ちはだかる事となるまごう事無きライバル兼ラスボス。SEJ土浦研究所謹製、タイプJ9「グリフォン」がその姿を現したのです。

…そりゃもうね?大歓喜ですよ!

これぞ「ロボット物」の王道中の王道!何より、これで少なくともOVA終了後も漫画版は続く事が確定したんですから(※)。

※…後にゆうき氏自ら発した「40年ほどやってまいりましたが、編集部から『連載継続の約束』などされたことは一度もない」との言葉にショックを受けたのもナイショ。
しかもこれなら、今後間違いなく名作と評される事になるであろう年末発売予定のOVA版5・6巻「二課の一番長い日」まで確実にファンを繋ぎ留める事が出来る!(何様だよお前 ※ )

※…主旨と異なるため詳細は省きますが、全巻予約&アンケート発送のお陰で一足お先に夏休み先行試写のお誘いが。つまりこの時点で6巻全て完成していた事にまずビックリ(※※)。

※※…内容如何によっては4巻以降返金無全キャンセルの悲壮な覚悟でしたが…結果はご存知の通り「極上のエンターテイメント作品」となっておりました。「3万近くお布施して、ホントに良かった報われた!」この時の素直な心境です(※※※)。

※※※…てか、貧乏学生の友「掛け蕎麦」をこんなにカッコ良く掻っ込む敵ボスなんざ見た事無ぇ!
更に、今(80年代後半当時)をときめくメカニックデザイナー「出渕 裕 氏」による「完全新規」な「ライバル機」デザイン!そりゃカッコ良くならない是非も無しっ!!

そんなグリフォンが登場した時、パトレイバーを覆っていた重く暗い空気が、一気に音を立てて刷新された事を体感しました。雌伏の時は当にここまで。以降は「ステップ」の瞬間、

②1988年11月~漫画版にてライバル兼ラスボス機「グリフォン」登場& OVA「二課の一番長い日」リリース

時期を迎える訳ですが、恐らくその影響を最も受けたのは「小学舘」の「週刊少年サンデー」では無く、全く「別出版社」の「別月刊ジャンル雑誌」でした。

それまでも単独掲載はされておりましたが、この頃明確に毎号掲載として連載開始となった企画があります…それこそが「月刊ホビージャパン」速水仁司氏による「パトレイバー3Dショー」

二次創作物の新たなムーブメントとして俄に盛り上がっていた「ガレージキット」(以降ガレキ)のモチーフとして、「FSS」と並びグリフォンと言うライバル機を得た「パトレイバー」が本採用されたのです。

当時のその勢いたるや、今思えば正直「常軌を逸して」いました。ここからは敢えて、より裏付けを取らず当時の感覚ままに記していきますが…
例えば「漫画版」名探偵コナンに、まだキャラがまだ固まっていない、主か脇かも分からない新キャラクターが登場したとします。

それが2~3か月後には「フルスクラッチ作例」が掲載され、更にその2~3か月後には発売スケジュールが発表されます。これが何を意味するのか?

遅くとも半年後にはガレキの祭典「ワンダーフェスティバル」(以降ワンフェス)にて作例ままのガレキが発売されると言う、とんでもない状況となっていたのです(まず入手出来ませんけどね)。

「FSS」と「パトレイバー」。この二大キャラクターによるガレキムーブは、今日まで続く「ハイエンド向け商品モデル」の切っ掛けとなりました。これが③の「ジャンプ」に繋がります。

③1989年7月~劇場版公開&TV版制作決定&漫画版「グリフォン編」第一部決着

落ち目のロボット物がマイナーなガレキを足掛りとし、ついにはメジャーメーカーのバンダイからプラモを発売させ、かつてアニメ化を拒否したサンライズにTVアニメ化を促すと言う「ジャイアントキリング」を成し遂る事となるのです(※)。

※…この辺りの詳細は以下記事をご参照下さい。
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そんなグリフォンを完成させたのがこちら。流麗なスタイル&プロポーションに加え、ガンプラで言う処の「グロスインジェクション」が全身を被い、ほぼ黒一色と言う事もあり、ほとんど手を入れずに完成してしまいます。
作り心地は、先の零式同様に強度&安定性のあるしっかりしたモノ。

膝立ちその他のアクション可動範囲も文句無く、当然更に手を加える余地も残されており、作って楽しいモデラー向けなモデロイド特性は相も変わらず健在と言った処。

個人的には出渕氏特有の曲面ラインが美しいアクアユニットの方がお気に入り。ただ肩との接触が大きく、ポージングには多少気を使う必要があります。
昔のモデリングは漫画版を基としたマス感のあるガッシリしたモノでしたが、MODEROID版は「ムサシヤ1/48グリフォン」以降の猛禽類的メリハリを更に効かせた、精悍なプロポーションとなっています。

それでは早速、当ブログ恒例の「並べて見た」に参りましょう。

さすがに体数が増えてきて、1列に並べての撮影が困難になる程のシリーズ展開となってきました。
イングラムと並べると、イメージ優先で少しボリューム増しで造形されている事が分かります。
どちらも若干ボリューム増しで造形されてるヘルダイバーとの比較。これなら対等に持ち込めるかもしれない。
最後は零式との夢のライバル機同士の並び。漫画版では実現化してくれましたね。

さてお次は、前の零式でやってみた「パーツ差替による妄想レイバーバリエーション(以下LV)」を試してみましょう。
バド&グリフォンには唯一無二な存在で居てほしいため、単純に「試作型」とか「完全装備型」とは行きません。

そこで、かつての「フルアーマーガンダム」の設定「シミュレーション上の機体データにより評価試験が行なわれた」という「実在しない検証データ」をデッチ上げてみます。

グリフォンはイングラム&零式と同じ3mm系間接軸。首回りだけは緩いのでビニテ咬まして…
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【①:黒いレイバー・イミテイト(シミュレーションデータ)】

突如出現した"黒いレイバー"は、レイバー業界に強烈なインパクトを与えた。
物証とされる残骸解析時は名立たるメーカーがこぞって捜査協力に名乗りを上げたが、中でも特に因縁深い"AVシリーズ"生みの親「篠原重工 八王子工場」の熱意は高く、実証のためだけの専門チームが組まれたとされる。
写真は、主に強度・出力面でダミーパーツ(偽装)と判明した箇所を視覚化すべく、同部署のAVシリーズに置き換えたシミュレーション用検証モデルの1つ。
残存率4割ながら、そこから想定されうる高性能予想はメーカーを震撼させ、後に"第4世代レイバー革命"とも言われる急速な進化を促す切っ掛けとなった。
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さてお次のLV。先の「ヘルダイバー」製作時に「旧キット同士は互換性が無い」と書いていたのですが、実は一例だけ実現出来る組合せが存在します…軸ビニテ巻き必須ですが。

それが旧キット「TYPE-R13X ファントム」&「TYPE-J9 グリフォン」です。
登場当初は「無人」「レーザー」「ECM」と内海の美学にことごとく相反するファントムがとにかく嫌いだったのですが、「F-35」のアビオニクス用「テストベッド機」"CATバード"の存在を知った時、ハタと思い至る処がありました。
「TV版で出てきたファントムは本来の仕様じゃなく、大柄な巨体を活かしたグリフォン用テストベッドだったんじゃね?」

そうとなれば話が変わって来ますし、何より実証せずにはいられません。勢いに任せファントムとの差替モデルとして作成したのが以下となります(何分数年前の代物ですので、お見苦しくてすいません…)。
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【②:TYPE-R13J9Ⅲ ファントム(TYPE-J9試験用ver.Ⅲ)】

「ASHURA」システムを実証機するにあたり、そのテストベッド機として企画七課が用意した試験用レイバー。
成人男性による「ASHURA」試験運用を想定し、そのサイズはかなり大型な物となっている。
写真は「ASHURA」及びいかなる状況下からもパイロットを生還させる「フライトユニット」試験用の「ver.3」。
後にシャフト他部門との連係のため、バーターとして「無人システム」「レーザー砲」「ECMシステム」を搭載した「TYPE-R13X」に改装され実戦投入。データ収集後、爆破処理された。
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ECMパーツを改造して成人男性サイズの「ASHURA」システムを再現。
「漫画版」初期のカラーリング及びデザインを踏まえ、顔内は白・バックパックのデザインを変更してあります。
ちなみに脳内パイロット設定としては、大胆にもあの内海の腹心「黒崎」を想定しています。

と言うのも、元々この黒崎と言う男。組織の一員としても、ボディーガードとしても、裏世界との折衝面でも内海の代理人を務める超有能キャラ。

これだけでも充分チートなのに、あの虎の子「グリフォン」を用いて13号前に「探索」という「離れ業」までやってのけてるんです。

あの「愉快犯 内海」の薫陶行き届く、一筋縄ではいかない反発者ばかりの「企画七課」。その誰もがそれが当たり前のように振る舞っている。

となると、何かしら「企画七課」でレイバー絡みのミッションを黒崎がこなしてないと説得力が無い。そこでこういう妄想を抱いた次第。
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【バドが10代前半、12才と仮定】

▪️1988:「多足歩行の制御」研究の第一人者、城南工大 古柳教授による「ASURA」提唱
(メンバーに磯口、森川、帆場)
※「多足歩行の制御」研究を機に、通産省主導による作業用ロボット開発プロジェクト始動
▪️1992:初のレイバー「レイバー90」ロールアウト
▪️1993:バド6才、パレットカタログ登録
(一旦は買い手が付いたモノの、リチャード王の予約によりキャンセル。よってこの頃からASURA搭載レイバー開発がスタート?)
▪️1994:古柳教授、城南工大辞職
▪️1995:レイバーの大幅普及、一代産業に成長
▪️1997:バド10才。リチャード王(内海)が香港から離脱
(香港時代を知る黒崎が既に同行?)
▪️1998:特車二課AV98受領
(ブロッケン/ファントムによる実戦データ収集)
▪️1999:バド12才。グリフォン初出撃
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尤も、あくまで「ファントム」止まりで決して「グリフォン」パイロットでは無い。それは「漫画版」の企画七課の動きから読み取れます。「G(グリフォン)計画」は当初から「バド」ありきの「企画」なのです(※)。

※…「TV版」グリフォン初出撃前に、内海が「ファントムはグリフォンの肥やし」と言うシーンがあるのですが、「漫画版」ラスト付近にて黒崎が「らしくない」対応をバドにするのと併せて見ると、ちょっとエモい気分になります。
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さて、ここからは有り物を使ってアクション確認がてら存分にグリフォンを( ・ω・)⊃していきましょう。

「イングラム」入手時に試したストラクチャー込み「特撮ごっこ」です。
「漫画版」ではレイバー初御披露目の後、必ず設定画代りの「全身図」を何かしら掲載してくれてたんですよね。これを基にモデラーがフルスクラッチしてたんです。
今回この機会に「グリフォン駐機シーン」だけはどうしても再現したかったのですが、あの「トイズキャビン」がまたもやってくれました。
それが「ガレージツールコレクション2」の整備員と「駐車場コレクション」。

そこに100円ショップ Seria(セリア)の「貨物コンテナボックス」全6種類とPLUMの各種情景プラスチックキット「ASHIBA(足場)」を加え、早速「特撮ごっこ」に取り掛かります。
整備員をシャフトカラーに塗り配置したモノ。何となく整然とした感じ。
全く同じストラクチャーにも関わらず、特車二課の整備員カラーにすると、何故だかお間抜けになっちゃうのは何故なんだぜ?

今度は外に持ち出して、オープンセットでの「屋外撮影」による特撮ごっこでシーン再現を試みてみます…原作同様の曇天でラッキー。
新日リング上で初代タイガーマスクの洗礼を受け、そのままシュートボクシング→総合格闘技への発展を見届け中だった自分らにとって「ハイキックの高さ」は「強さ」を示す絶対的判断基準の1つ。

故にグリフォンの「人間らしい動き」と「圧倒的な格闘戦力」をたったヒトコマで表したこのシーンには大いにシビれる事となりました(…しまった。肩とか手前が遊馬とか色々ミスあるな…)。
グリフォンのパワーと悪役っぷりが映える一コマで、これも絶対再現して見たかったシーン。
リアルロボット物を見慣れていた立場としては「翼に見せながら、AMBAC的な運動性能向上のためのカウンターウェイトなんだろうなー…」と思っていた矢先に「ただ逃走するために飛ぶ」シーン。

思わず「って、本当にそのまま翼で飛ぶんかいっ?!」って突っ込んでしまった事を思い出します。
そして今回は夜間撮影にも挑戦。難しいけど、やはりグリフォンと言えば闇夜に紛れる姿が見てみたい。
劇場版では太田だったのに、漫画版では野明がライアットガンを使ってて、緊張感増すのに効果的に作用してたなあ…。
そして小さなコマなのですが(作画も大変だと思うのに)比較対照物との絡みを要所要所でブッ込んで来るゆうき氏の「特撮的遊び心」がもう大好き。
スケール違いで頑なに拒否してた「特撮ごっこ」に今興じてるのって、山田卓司氏や速水仁司氏がジオラマで炸裂させてた「特撮的遊び心」が多分羨ましかったからなんです。
今回のMODEROID版レイバーシリーズのお陰で、スケールが違うストラクチャーを意識的に組み合わせ、効果的な画面作りを行う楽しさが満喫出来ました。

と言う訳で大満足なMODEROID版グリフォンのレビューでした。