昨日は、後楽園大会。ニュージャパンカップの開幕戦。




皆さんご存知の通り、私は一回戦で石井智宏選手と対戦し、敗れました。


石井選手との出会いは、実は、かなり昔に遡ります。


確か90年代の後半。


当時、自分は新日本所属で、ヨーロッパでの海外遠征を終えて数年経った状態。


石井選手は当時、天龍さんが創った【WAR】という団体の新人でした。


その頃、天龍さんが新日本に参戦していて、その付き人として会場に顔を出していた石井選手。


なので、会場でしか会わなかったし、挨拶といっても会釈する位だったかな。


でも、巡業中の試合前の合同練習に参加していたのをよく覚えていて…多分、天龍さんに言われたんだと思うけど、とにかく一生懸命やっていた。




それからは、全日本時代…自分が他団体に参戦した時にちょくちょく会う感じ。


新日本に再び戻ってからも、過去二回シングルで試合したかな。


プライベートでは接点がないけど、試合会場では良く会う不思議な関係だった。




石井選手の試合スタイルは、とにかく小細工なしのバチバチスタイル。


エルボーとチョップをこれでもかと使い、小柄なのに力技も難なくこなす。


そして、特筆すべきはスタミナ。


攻め続けても疲れた姿を見せないし、やられていても、相手が疲れるまで耐えるようなスタイル。




そして迎えた昨日の対戦。


コメントでも言ったけど、「すべてを吐き出せた」ような気がしてます。




今年に入って抱えていた、モヤモヤしたモノ。


具体的に、何がどうモヤモヤしていたかは自分にも分からないんだけど、今後の自分の在り方だったり、テンコジのこれからの在り方だったりで、悩んでいたのは事実。




それを、昨日の一試合でスッキリさせる事ができた。


「負けてしまったのに?」


自分でも正直、理解不能。


ただ、昨日の石井選手との熱い戦いと、ファンの方からの熱い声援で、「まだまだ俺はやれる」と思えた。






よく言われる“プロレスは勝ち負けだけじゃない”というフレーズ。


自分も、若い頃からずっと思ってきた。


でも、全日本に移籍したあたり(2002年)からは、少しずつ考えが変わった。


そして実際に、三冠ベルトを巻いた時やIWGPベルトを巻いた時に、結果を伴う事の素晴らしさも体感した。




だからこそ、今回の負けは悔しい。トーナメントだから、余計に悔しい。




ただ、本当に不思議だけど、昨日の試合は、悔しいだけじゃない気持ちがあった。


もちろん嬉しいとも違う。


けど、気持ちがスカッとした。




まわりから“石井選手の金星”という声も聞かれたけど、それは石井選手に対して失礼。


あれだけガッチリやりあって勝利したんだから、単純に石井選手が強かったというだけ。






そして、試合翌日の現在、自分は日常生活を送っている。


もちろん身体はボロボロ。首にもダメージがあり冷やしてるけど、普通に生きている。




奇しくも昨日は、二年前に東日本大震災が遭った日。


あの日、生きたくても命を落としてしまった方々が大勢いる。


命が助かっても、多くの財産を失ってしまった方々が大勢いる。


親族や友人を亡くしてしまった方々が大勢いる。




そういう方々の無念さを考えたら、生きて元気にプロレスができている事を、心から感謝しなければいけない。




たしかに、このキャリアでの敗戦は大きい事だけど、自分のプロレスを見て少しでも何かを感じてくれる方々がいるなら、まだまだ頑張りたいし、頑張らなければいけない。


震災に遭われた方で、プロレスファンの方がいるのなら、余計に頑張らなければいけない。




そう思えた、2013年3月11日でした。






また、今日からも頑張ります。