8月14日・両国国技館。




会場入りした時の、独特の空気。


G1クライマックスの決勝戦は、いつもこの、例えようのない空間に支配されている。


入場ゲートの豪華な造りや雰囲気全てが“スペシャル”を感じさせてくれる。




試合前の練習を済ませ、会場に来る途中のコンビニで購入したシュークリームとコーヒー牛乳で、ホッと一息ついた。




コスチュームに着替えると、もうすでに試合開始の時間だった。


リングアナの尾崎さんが、対戦カードを読み上げる。






「第8試合!Bブロック公式リーグ戦!!天山広吉vs小島聡!!!」


この時、大歓声が控室まで届いてきた。


こんなに嬉しい事はない。


ますます気合いが入った。






第一試合が始まり、他の選手の試合をモニターで観戦する。


全ての選手の顔に、気合いが漲っていた。


スペシャルな空間を、身体中で感じているのが分かる。






そして、いよいよ自分の出番がきた。


先に入場した自分。


「コジマ」コールが身体中に突き刺さり、感激する。


続いて、テンザンの曲が流れてきた。




この曲を聴く度に、胸が熱くなる。


味方の時も、敵の時も、いつだってこの曲に胸を熱くしてきた。




真っ赤なロングホーンを頭に装着したテンザンが、目の前にやってきた。






「ツイニキタナ」






お互いの気持ちは、多分同じだったと思う。




ゴングが鳴る。


とにかくテンザンの表情は、凄かった。




その表情を見て、あの2005年2月20日のダブルタイトルマッチの事を思い出した。






オレ達は、いつも、大切な時にこうして戦ってきた…。


そう思いながら、技を繰り出し続けた。




G1最終日だったからではないけど、何となく、「この試合でどうなってしまってもいい」という変な覚悟のようなモノが芽生えていたのかもしれない。


それは、テンザンからも感じた。




いつもの技に、いつもと違う魂が入り、いつもより多くのダメージをお互いに負ったと思う。






中盤からはずっと、“命懸け”だった。


技を掛ける方も、受ける方も、命懸け。




そして、【異変】に気付いた。


顔の右半分に激痛が走る。


目まいと吐き気が、同時に襲ってきた。


でも、ヤメル訳にはいかなかった。




意識があって、身体が動くなら、絶対にヤメル訳にはいかなかった。


それが、テンザンに対しての…テンコジ対決を観に来てくれた人に対しての、自分の覚悟だったから。






でも、テンザンの方の覚悟が、結果的に上回っていたのかな。


それは、自分に対する嫉妬心だったかもしれないし、二年間欠場した悔しさだったかもしれないし、お客さんに対しての感謝だったかもしれないし…。








とにかく最後は、これ以上ない脳天への一撃で、ノックアウトされてしまった。


首の神経もバリバリッって音を立てて鳴ったし、顔面の右側の感覚は無いし…




壮絶に散りました。






テンザンは、本当に強かった。


『同い年の一年先輩』という関係を続けて、はや20年。


いつも、大事な時に、目の前にいたテンザン。




これからも、ずっと、そういう関係でいられたらいいなと思いました。










最後に…


復帰したら、またタタカオウ!