『這い上がり』第1章 炎上
http://ameblo.jp/f440440/entry-11434452316.html
『這い上がり』★VOL9 第2章 生き地獄の始まり★
リハビリ地獄
4人部屋に移ってすぐ、手のリハビリが始まった。最初はダメージの少ない左手だけだったが、ダメージの大きい右手のリハビリもするようになった。
リハビリの意味は、手の関節を動かさないままにしておくと軟骨が固まってしまうため、無理矢理にでも動かすというもの。
看護婦さんがぐいぐいとあらゆる関節を押し曲げてくれるのだが、現段階では動く可能性のないところを無理に動かすのだから正直たまったもんじゃない。指は外側にそっくりかえり、じくじくと浸出液が包帯からにじみ出ている箇所もある。動かせばその傷もジンジンとうずいてくる。ccmから移るときに看護婦さんから云われた「これからは厳しいから頑張って」の言葉通り、容赦なくやってくれる。
「やめてくれ!」
叫んでもやめてくれない。口の中にタオルを入れて、とにかく耐えた。
皮肉なことに、リハビリをすればするほど、自分の体が思うように動かないことが分かってきて、それもつらかった。
「この手は動くようになるのだろうか・・・・・」そんな不安と恐怖の中で、「リハビリ地獄」は毎日続く。
人の手を借りず、自分一人でやりたいという思いが強くなってきた俺は、スプーンを使って食事をしてみようと考えた。
まず、ダメージの少ない左手の親指と人差し指にスプーンを挟んでみる。
でも、力が出なくてすぐ落としてしまう。
もともと右利きなのもあり、左手で扱うのは難しい。
主食のお粥はすくえても、おかずはちっとも拾えない。
おまけに肘が拘縮しているので、腕の曲げ伸ばしも思うようにいかず、口元に持ってくるのも大変なのだ。
拘縮というのは移植した皮膚やケロイドになった部分が時間の経過によって大きく縮む事だ。
頻繁に曲げることの多い関節は、特に皮膚が拘縮しやすい。
起きている間は意識的に肘も膝も曲げないようにできるが、寝ている間に曲げてしまうと、
そのまま皮膚が縮み、関節も伸びなくなってしまう。
そうなると腕も足も運動機能を果たさない。
自分の思うように曲げ伸ばしが出来ないのだから、何をするのも時間がかかる。
それでも時間さえかければ、何とか自分で食べることが出来る。数段の進歩だ。
当然なことなのに、自分で食べられる事が嬉しかった。
~~
続く