なにやら量子力学のようなタイトルだが、新しい実在論を提唱する独ボン大学マルクス・ガブリエル教授による哲学本である。

 

 

ギリシャ時代より哲学(厳密には西洋哲学)は自然科学と倫理が一体となって真理を探究する学問であったが、コペルニクスが地動説を唱えた中世以降は自然科学の発展によって哲学は倫理的な部分に特化されてきた。デカルトが以前の哲学のすべてを否定して一から見直すことにより、その後の多様な学派が生まれて来た。産業革命以降は人間と言うくくりではなく、個人の幸福にフォーカスされ、さらに戦後は近代化を否定するポストモダンなる思想も生まれた。(私の理解が誤っておればご容赦願いたい)

 

著者はポストモダン以降の新しい哲学を示すべく新しい実在論を提唱、従来の実在論は彼我が認識する事象のみを対象としていたが、新しい実在論では人間の認識から独立した唯一真正な本質を加えて理解する試みのようである。

 

さらに著者は、世界は存在しないと言うセンセーショナルなタイトルで従来の世界像を変えようとしている。これは世界に存在するモノや事象をすべて否定しているのではなく、何らかの像を結ぶ一つの世界が存在すると言う前提を否定しているのである。色々な事例も上げて説明されているが、残念ながら私の理解は到底及ばなかった。

 

う~ん、哲学は難解だ~~~