N視点
戸惑いながら、小さく名前を述べた。その瞬間王様と目が合う。
--あ、やばい。
何がと聞かれても、はっきりと答えられないけど、多分俺はその目に囚われた。
そして、あれやこれやといううちに王宮に雇われ、奴隷という身分でありながら王宮勤めという肩書をつけられ、一瞬で俺は有名になってしまった。
「大丈夫?にのちゃんいじめられてない?」
「……あーばさん」
朝食の時、隣に座ってきた相葉さんは俺より1つ先輩で、俺とほぼ同じ時期に王宮に雇われた平民出身。平民といってもそれなりに高い身分の人らしいけど。彼は、俺のことを色々と心配してくれるから……そばにいて安心する。
「大丈夫だよ。仕事も慣れてきたし、少しぐらい何かされても気にしなきゃいいし」
「またそんなこと言って!俺はにのちゃんに何かあったら」
「和」
王様が食堂の入り口に立って俺を見ていた。王様が食堂になんて姿を現したことがないから、周りはざわついていた。あーばさんも驚いて口が開いてるし。ゆっくりと近づいてくる王様に周りの視線が痛い。
「和、今夜俺の部屋においで。相葉ちゃんもいつも和のこと心配してくれてありがとうね」
「……へ?あ、いやいや!王様おはようございます!」
「ふふ、おはよう」
ふにゃりと笑った顔は優しさで溢れているのに、俺の掌を掴む指には強い力が籠っていた。