N視点

 

 別のことに意識を向けようと王宮の仕事に懸命に取り組むけど、どうしても浮かんできてしまう王様の顔。あの瞳に見つめられると俺は思考が停止してしまう。

 

 俺を呼び出して何をするっていうのか。奴隷だから、やっぱりそうゆうこと?沈む気持ちに重くため息をついてから、再び手を動かし始めた。

 

 

 

 重い足取りで王様の部屋へ向かう。俺の前に歩く王様直属の騎士はジュンと名乗り、部屋の案内を任されたと言っていた。品定めするような目つきに身体を強張らせると、屈託のない笑みを浮かべて笑われた。

 

 「こーゆーのがタイプだったとはね」

 「……え?」

 「なんでもないよ」

 

 

 

 「おーさま、連れてきたよ。開けるよ?」

 

 ジュンがドアノブに手をかけようとした瞬間、扉が内側から大きく開く。そこには慌てた様子の王様がいた。

 

 「和」

 「おい。連れてきた俺は無視かよ?」

 「あ……、ありがとう。じゃ、部屋に戻っていいよ」

 「俺への扱い適当だなー。まぁいいけど。……無理させんなよ」

 

 

 ジュンが王様に対して慣れ慣れしいのにも驚いたけど、それを何とも思っていなそうな王様。二人はかなり仲がいいのかな。ジュンは去り際に鋭い視線を向けていたけど、王様は軽く頷くだけで早く俺を部屋に入れたいようだった。

 

 「和、早くおいで」

 

 強く腕をひかれ、腰を抱えこまれる。俺は未知なる恐怖と不安で王様の部屋へと入った。