映像を消去した人物も組織の人間だ。
きっと映像を切るように上から指示を出され従うしかなかったのではないだろうか。
オンボードカメラの映像には克明に映し出されていたはずだ。
時速300キロオーバーでレコードラインを外れコンクリートウォールに激突するまでの一部始終が。
コンクリートウォールに激突した瞬間、まるで爆発物が爆発したかのようにフロントウィングや右フロントタイヤが弾けた様子を。
そしてアイルトン・セナのヘルメットがコンクリートウォールとモノコックに挟まれるような格好になるまでを。
その瞬間すぐにオンボードカメラもダメージを受けて映像は終了していたはずだ。
テープ回収後、この組織の一部の人間とアイルトン・セナが在籍していたチームの一部の人間が集まり、一度は検証されたのであろう。
検察より先に事故原因を見つけるために。
ただ、あまりに激しい映像に、その場にいる者達が沈黙してしまった様子を想像するのは容易い。