2本目のWildwood Spec Les Paulです。

今度のも尋常じゃないカッコ良さです。
日々のギターパトロールで国内の売り物をチェックしていますが、匹敵する杢を見掛ける事は有りません。
私の撮影では半分も良さが伝えられないのが残念です。
これが楽器屋に並んでいたら他を圧倒する事は間違い無いです。
所謂“リボンカール”と呼ばれる杢です。
このタイプの杢が一番好きです。

太くてリボンを捩じった様な表情がたまりません。
奥行き感のある3D杢なので角度で表情を大きく変えます。
人工的(人為的)とは言え、人の手が作った模様?とは違うウェザーチェックです。
有る意味、本当のウェザーチェックなのでMurphy Lab以前の刃物で切り刻んだ物とは全く違います。
標準のLight Agedとは違い、より複雑で自然なチェックが良い感じです。

まさかこのチェックを見て美しいと感じる日が来るとは思いませんでした。
ホンのちょっと前まではAged否定派だったのが信じられません。
有る時からこれは職人の技を楽しむ物だと感じ始めてからは考え方が変わりました。
Agedですが、かつての刃物時代もマーフィーさんの仕事は別次元でした。
でも、Murphy Labを開設するに至っては、新手法に由り本人がやらなくても別次元の施工が誰でも出来る様になりました。
そして仕上がりは完全な単品物になり、個体差が楽しめます。
先のR9とは違う表情が楽しめます。
杢とウェザーチェックの2本立てで違う絵面が楽しめるのは嬉しいです。
黒々として、しかも滑な表面の指板です。
Wildwood Spec以外では決して見る事のない物です。
何でこんなに上質なインディアンローズウッドを在庫していたのでしょうか?
他で見ない理由は何でしょうか?
分かりません。

何時もの弦高にセットしたブリッジです。
サムナットの位置がとても低いです。

ここは目で見える個体差です。
とても低いので浅いネック仕込角が分かります。
浅い仕込角が好きなので嬉しいです。
弦とPUリングの位置関係からもそれが分かります。
Gibson USAブランドの廉価シリーズは不良品の発生率を下げる(低い組み込み精度)為に強い仕込角です。
故に、ここの位置関係がとんでもない事になっています。
あんなレスポールがちゃんと鳴る訳が有りません。
材がどうのこうのと言う以前の問題です。
楽器屋の店頭で初心者のお客から「カスタムショップとの価格差の理由は?」と聞かれたらこれを指摘出来る店員がどれ位居るのでしょうか?
私は外れ個体を買った時に気付きました。
少なくとも70年代までのレスポールは浅い仕込角でした。
その点では70年代までのレスポール方が組み込みは良かったかも知れません。
サスティーンに与える影響が大きいので非常に大切な要素です。
仕込角が浅い程長いサスティーンが得られますが、音の張りが弱くなる傾向が有ります。
ブランコテールピース時代は1度の仕込角なので最も長いサスティーンが得られたと言われています。
2本以上のレスポールをお持ちの方は比較が出来るので気が付いていると思います。
店頭での見分けは難しいので、ある意味運任せの要素なのが残念です。
経験ではここが高いレスポールに良い個体を見つけるのは難しいです。
そして店頭買いをする際に此処を注視する人がどれ位居るでしょうか?
此処を見ずに“ギターは現物確認をしないと買えない”と言われる方は如何でしょうか?
店頭での現物確認でも大きく外れた個体は確認出来ます。
某有名楽器店で「此処を気にする人は居ますか」と聞いたら「居ませんねぇ~、大切なのに知らないんですね」との返答でした。
そして店員から設営する事は無いとの事です。
売り難くなる以外の理由は有りません。
外れの個体でもGibson USAモデルよりは遥かに浅いのでマシでは有ります。
そもそも目標設定値が違います。
この要素だけでは無いので例外も有ります。
でも、音の傾向はハッキリと違います。
私は現在20本以上のレスポールを所有していますが、違う意見をお持ちの方はお聞かせ下さい。
そして色々な人のブログを見ますが、この要素を取り上げている人が略皆無なのが気になっています。
少ないサンプル数でレスポールを語るのは危険です。
私も本数を経験する事により見解が変わる事が有ります。
53年のコンバージョンを筆頭に30本以上のレスポールを買って来ました。
数を重ねる事に貴重な経験を得ました。
Murphy Labを経験する迄はTHが最良のレスポールだと思いました。
それがまたアップデートされ、このWildwood Specは更に上を行きます。
しかもこの差はとても大きく、驚いています。
こんなに良いレスポールが作れるならもっと早く作って欲しいです。
進化するのは嬉しいですが、これは正常進化と言うよりも隠しネタだと思います。
特定のディーラー専用のスペックをGibsonが公表する事無く供給しています。
「こんなに高いけど良かったら買って下さい」と販売するべきです。
Gibson Japanが且て販売した限定物のMurphyモデルがこれに近いです。
一見同じ様に見えるMurphyモデルですが、Murphyは一つのブランドです。
Gibsonはその冠を付ける時は別物の仕様にします。
”TM印”の付くモデルは特別です。
因みに普通のMurphy Agedは本体は同じ仕様でAgedだけがMurphyです。
COAの差で見分ける事が出来ます。
でも、Murphy Lab以降には特別なMurphyモデルは存在しません。
それを買えない日本のユーザーは残念です。
まだTM印の付いたモデルを経験されていない方は是非とも経験して下さい。
絶対に後悔しません。
投資に見合った物が手に入ります。
買わないと勿体ないです。
130万円位から買えるので是非とも検討して下さい。
宜しくお願いします。