特別展「東福寺」@京都国立博物館 | 寺社・お城巡りと野球・ラグビー・サッカー観戦録

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 京都国立博物館で行われている特別展「東福寺」へ行きました。





 紅葉の名所として知られる東福寺ですが、京都五山の第四位にランキングされている名刹です。なお「京都五山」というのは室町幕府によって定められたもので、臨済宗寺院の特に格式高い寺院を5つ選んでランク付けした感じです。
 その5つとは、天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・萬寿寺の5か寺。同時に鎌倉五山も制定され、更に両方の五山の上に南禅寺を持ってきて別格扱いにしております。但し制定にはかなり室町幕府の政治的意図があります(現に南朝と結び付きの強かった大徳寺が入っていない)。

 東福寺は鎌倉時代に九条道家という公家による発願で、円爾という僧を開山にして建てられました。名前には「奈良の東大寺と興福寺を足したぐらいの素晴らしい寺院に」という願いを込められて、両方の寺院から一文字ずつ取って「東福寺」と名付けられたそうです。しかし何度も火災に見舞われるなど、幾多の苦難を乗り越えつつも、何とか今でも大寺院としての地位を保っている感じです。

 火災や戦禍などに遭いながらも、たくさんの貴重な文化財を守り続けた東福寺。これだけ大規模な特別展を行うのは初めてだそうで、普段目にすることのない寺宝の数々を見ることができる、貴重な機会です。

 今回特別展最大の目玉は、修復が完了した五百羅漢図です。他の展示は途中大規模な展示替えがありますが、それとは別に4回に分けて展示替えをして、全てを公開する予定だそうです。それぞれにストーリー性があり、それを幾つかピックアップして漫画チックに解説しているのが面白いです。
 あと他にも様々な展示がありますが、開山である円爾の肖像画も何枚もあって、それぞれに特徴があるのが面白いです。晩年右目を失明した後の肖像画にも目が入ってるのもありましたが、「死後は両目でしっかり見たい」という意図がある点は、あの伊達政宗が自分の肖像画に失明したはずの右目を入れさせてるのに通じるものがあります。もしかすると伊達政宗は円爾が自分の肖像画に目を入れさせたエピソードを知っていて、それに倣ったのかもしれませんね。

 後期展示はちょうど紅葉時期と重なります。是非こちらを訪れた後に、久しぶりに東福寺の紅葉を楽しみたいですね。

(5年前紅葉時期に行った時の記事がこちら)