コンサルタントの果たすべき大きな役割の一つとして、経営者の思いや発想を幹部や社員向けに“翻訳”し、伝えることがある。
企業、個人を問わず相変わらずニーズの高いコーチングでは、クライアントが発した言葉をコーチが要約したり言い換えたりすることで、クライアントの頭の中をスッキリさせることをする。これもまた、“翻訳”と言えるだろう。
いずれのケースも、言葉を扱うことの難しさを感じさせられる。
先月の日本経済新聞に、特にIT業界において、「営業に同行したりセミナーで講演したりして自社のサービスを分かりやすく説明する『エバンジェリスト』と呼ばれる担当者が活躍の場を広げている」という記事が掲載されていた。
「エバンジェリスト」とは、「伝道師」の意である。何やらドラクエのキャラクターのようだが?
日本語をそのまま直訳しても、まともな外国語にならない。文化的背景や発想が根本から違うことが多いからだ。従って、いったん、別の日本語に直してから翻訳する必要がある。
「商品やサービスの特徴を分かりやすく伝えることが販売拡大に重要」であることから、エバンジェリストの役割の大切が理解できる。興味深いのは、エバンジェリストが、専門スキルを持つ一つの職種として確立していることにある。考えてみれば、通訳・翻訳者も職業・職種として確立しているわけだから、それと同じことなのだろう。
一般的なビジネスになぞらえて考えると、エバンジェリストは情報の中間流通を担う存在と言えるだろう
実際にモノを作らないことから、士農工商の時代には軽んじられた存在だったが、経済システムの中では、流通業も重要な存在だ。流通業の“進化”の過程を振り返ると、メーカーの製品を消費者に流す役割だけでなく、消費者ニーズをメーカーに伝える役割をも担うようになってきている。
大手小売りチェーンがPB商品をメーカーに発注するのは、その典型的な例だろう。
そう考えると、売り手から買い手へ説明する存在としてのエバンジェリストがいるのなら、買い手の要望を的確に売り手へと伝えるエバンジェリストがいてもよさそうなものだ。実際には、さまざまなマーケット調査等により、ユーザニーズを吸い上げることなどはされてきているが、一つの専門職種として確立するくらいの扱いでもよいのではないだろうか。
いずれの方向であっても、“翻訳者”による仲介があると、物事はスムーズに進み、それは価値をもたらすのだ。
記事は、エバンジェリストが必要なのは「ITに限ったことではない」「ほかの業界でも同じような役割が求められる可能性が高まっている」と指摘している。適切な“翻訳者”がいないことでビジネスが不利になっていないか、チェックし、対策を打つことを考えるべきではないだろうか。
考えてみると家庭生活の中にも「翻訳者」は存在している。夫婦間には子供、親子間には片方の親か祖父祖母が必ず翻訳者となり、争いを未然に防ぐ役割を果たしている。
あなたの企業と顧客の間には、適切な“翻訳者”がいるだろうか。“翻訳者”がいないことにより、商品やサービスの価値が顧客にうまく伝わらなかったり、またその逆も起こる。専門技能を持つ職種として“翻訳者”を置くことも考えてみようではないか。
今日はこのへんにしとうございます。





