簡単においしく料理を作りたい。共働き世帯や高齢者が増えるなか、冷凍食品の需要が伸びている。
イオントップバリュのデイリー商品部の開発担当者、稲垣伸基さん(44)は夕食の食卓を彩る「主食作り」に力を注ぐ。
イオンは9月中旬、クッキットシリーズの冷凍タイプから親子煮や魚料理など6品を出した。今回は4月に続く第2弾で、10月の増税後外食を控え自宅で調理する消費者が増えることも踏まえた。開発上、稲垣さんの過去の経験が生きている。
転職組の稲垣さん。一生懸命作っても自社の商品はなぜ売れないのかに関してバイヤーとの打合せ念入りにしても解せない点少なくなかった中、食品メーカーというつくり手から、売り手(イオン)へ念願の配属替え3カ月(2008年)。つかの間の再度の異動による何も知らない分野(冷凍食品)で、まず始めたのが市場調査。自社や他社をとわず、とにかく自分で使って食べてみる。一日に何度も冷凍食品を食し、味や品質、使い勝手を学んだ。そこで感じたのが、「冷凍食品は簡便性があって今後伸びる市場。ただ、おいしくない商品も多い」ということだった。
社内で議論しながら具材や味付け、作り方などを工夫。国内で冷凍食品の人気が高まるなかで、稲垣さんも少しずつヒット商品を生み出していった。17年からは夕食メインの開発に着手、たどり着いたのが自分で一から作るのは面倒だが、ひと手間かかる冷凍食品の開発。
同シリーズの反応は好評だが課題もあり、一つは税別798円の価格。距離を置く消費者がいるのも事実。それでも稲垣さんは「価値を丁寧に訴求していく」とあせりはない。品ぞろえを充実させつつ、数年単位で顧客の心を解きほぐす構えだ。
…との事。