それでは前回に引き続き素敵な自由研究の後編です。
前編ではおばちゃんのための自由研究でしたが、後編では2年生の弟のための自由研究をした小学5年生の女の子を紹介します。
この二人の姉弟はとても仲良しでした。
小さいころからケンカすることもありますが、よく二人で遊んでいます。
弟君もお姉ちゃんのことが大好きで、お姉ちゃんも弟君のことが大好きです。
ですがお姉ちゃんが高学年になり、塾に通うようになってからはあまり一緒に遊ぶ時間が取れなくなりました。お姉ちゃんが目指していたのは地域でも最難関の女子中学校で、5年生ともなると週3~4日は塾に通っています。
ある日、お母さんが弟君に言いました。
『お姉ちゃんと一緒の塾に行ってみる?』
お母さんとしては、大好きなお姉ちゃんとなら一緒に塾に通ってくれるのではないか。という淡い期待を抱いて聞きました。
弟君は答えます。
『絶対にイヤ!!!!!!!!!!!』
断固拒否!!(笑)
弟君は勉強が大嫌いだったのです。
そんな様子を見ていた、お姉ちゃんは弟が勉強を好きになってくれるようにある自由研究を思いつきました。
それは弟専用の問題集を作ることです。
その問題集には様々な工夫がこなされていました。
文字が小さいと弟が読むのを嫌がるので目一杯大きな文字で書いたり、弟の好きなキャラクターを書いたり、問題文に出てくるのはお姉ちゃんや弟君の名前だったり。
また足し算の文章問題では、実際に試してみようのコーナーと題して、お姉ちゃんと一緒に駄菓子屋さんに行ってみたりと思いつく限り弟君がワクワクするような仕組みを考えました。
結果、弟君はこの問題集を喜んで解いてくれました。
一日5分も勉強できなかった弟君がこの問題集を解いているときは嬉々として机に向かってくれます。
お姉ちゃんはこの弟が解き終わった後の問題集を夏休みの自由研究として提出しました。
題名は『喜んでもらうことの大変さ!』です。
提出に添える文章にこんなことを書いていました。
『今回の問題集を作成するのにかかった期間は17日でした。毎日30分と決めて作りました。作り始めたときは弟が本当に解いてくれるか心配でドキドキしていました。ですが、こう書いたら喜んでくれるんじゃないか、こう変えたほうが笑ってくるんじゃないかと工夫しているうちに、早く弟に見せたくてワクワクしていることに驚きました。もう一つ驚いたことがあります。17日かかって作ったこの問題集を弟が1日で終わらせてしまったことです。とても集中して解いてくれたので嬉しかったのですが、もう少しゆっくり解いてほしかったとも思いました。誰かに喜んでもらうことがこんなに大変だとは考えたこともありませんでした。毎日ご飯を作ってくれているお母さんや働いてくれているお父さんにも改めてありがとうと思いました。』
とても素敵だと思いませんか?
この二人のお子さんに共通することは『誰かのため』ということだと思います。
人間の意志はそれほど強くはありません。
中には強靭な意志をお持ちの方もいらっしゃいますが、多くの人はなかなかそうはいきません。
何かを頑張ろう、成し遂げようと思ったときに自分のためだけではなく、『誰かのため』と思えるほど強くなれることはないと思います。
小学生のうちにそのことを実感できたこの二人の人生が幸せにならないことなんて絶対にないと私は思います。
毎年暑くなると思い出す、二人の素敵な自由研究をご紹介させていただきました。