ある親子の会話。
「ママのお腹にいた時のこと、覚えてる?」
「うん、覚えてるよ。パパの声が聞こえたの、ママの声も聞こえてた」
「ママのお腹から出てきたとき、すごく明るくて寒かった」
英会話番組を見ていた子供に母親がこう言った。
「ヒロ君、英語上手だね」
「うん、ぼく、昔、アメリカに住んでいたから」
「アメリカに住んで、とっても楽しかったの。だから、もう一回、生きようと思ったの」
たかし君は母親との会話でこう話したという。
「生まれる前に、パパとママを選んだんだよ。ずっと待ってたんだよ」
横浜市金沢区の池川クリニックの池川院長が6歳までの子どもを持つ79人の母親に対して調査を行ったところ、「生まれてきたときの記憶がある」と答えた子供は41%で、「胎内にいた時の記憶がある」と答えた子供は53%にのぼったという。中には「どの親のところに生まれるかを知っていた」と答えた子どもさえいたそうだ。
「生きがいの創造」(飯田史彦著 PHP研究所刊)
この著書の冒頭にあったのが、先の親子の会話だった。これが「事実」であるということに驚きを隠せなかった。生まれてくる子供がどの親の子どもになるかを選択しているということ、胎内にいるときにも外の世界が聞こえているということ、そして何よりも、前世があるということに。
著者は宗教家でも霊能者もセラピストなんでもなく、本職は経営学を専門とする大学教授。だからバランスの取れた人物が書いているという信頼感がある。もちろん私もそんな宗教家でもなんでもない。詳しくは本書を読んでほしいし、読むには600ページを超える厚い本だが、読み切った時は、「体という物理的なモノとは別個に、魂(意識)はこの世に存在している」ということが理解できる。
私たちは体という物理的な死は許容できても、意識体がこの世から亡くなるということがなかなか頭で理解できない。死を恐怖と感じる理由はそこにある。しかし本書では、意識体はけっして物体と共に無くなるわけではなく、意識体として自分の体から離れ、自意識として確かにこの世に存在しているということに納得する。つまり死ぬということは、「体から離れて生きるということ」。死という現象はただの通過点に過ぎないということだ。
この文言を深く考えるにつれ、なんとなく死が怖くなくなった。体から脱皮し、意識体のみとなるだけで「生きている」のだから。
体から離れた意識体は、また別の体を求めていく。先の「昔、アメリカに住んでいた」という子どもの話のように、前世がから現世、そして未来世とその意識体は生き続けることになる。子は親を選んで生まれてくる、昔から言われていることだが、本当にその通りだと思う。そう考えるだけで、親は生まれた子供に、生まれてきたことそのものに感謝するのではないだろうか。そして亡くなった人の魂・意識も間違いなくこの世に存在する。私の会社の造成事業を支えてくれた私の父が今年、他界したが、いつも私の手が届くところにいて、陰に陽に力になってくれているのが肌で感じられるようになった。
また著者は、重い病気やハンディキャップを持ちながら生きる人はけっして運の悪い人ではなく、過去世で悪いことをした報いうぃ受けている人でもない、意識体としての自分が宿る肉体そのものに試練を与えながら生きるというのは、生きる上での困難な課題に挑戦しているということであり、勇気あるチャレンジャーだと書いている。実際に欧米では、このような勇気ある人々を病人や障がい者と呼ぶのを止めて、「チャレンジャー(挑戦者)」と呼ぶ習慣が広がっているそうだ。この言葉には「試練に果敢に挑戦している、素晴らしい人々」をいう尊敬の念が込められている。
最後に、著者は「死後の意識」についての考え方を示している。死後の意識についてには、「あるか、無いか」の二つしかない。死後にも意識があると考えたほうが実は論理的であるとしている。
肯定論者の場合は自分が死んだ後に意識があれば「やはり思っていた通りだ」と満足することになるし、意識など無かったとしても、意識自体が無いのだから、「死後には何も無かった」と知ってがっかりすることもない。仮に死後に何も残らなかったとしても、本人は最後まで死後の命を信じ、死を恐れることなくその日一日一日を精一杯生きるという充実した生活を送ることができたことになる。
逆に否定論者の場合は、主張の正しさが証明されても、その時には自分の意識も無いわけだから、「思った通り、意識は無かった」と納得できる術はない。死後に意識があった場合は、自分の誤りを知ってショックを受け、現世での自分の人生に後悔と反省を促されることになる。
本著を読んで、体は死んでも「意識は生き続けている」ということが論理的科学的に理解できる。その理解ができれば、今日一日今のこの時間を精一杯、後悔の無いように生きよう、そう思えるはずである。
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