たとえ話でよく使われるパラドックスがある。ある村の床屋は自分で髭を剃らない村人全員の髭だけを剃ることになっているが、ではその床屋自身の髭は誰が剃るのかという「床屋のパラドックス」。例外のない規則はないという規則に例外はあるのかという「例外のパラドックス」。有名なのは「ワニのパラドックス」で、子ども食べようとしているワニが母親に「自分がこれからすることを言い当てたら子どもは助けてあげるが、外れたら食べる」と言ったら母親は「あなたはその子を食べるでしょう」と答える。すると、どちらにしてもこのワニは食べることが出来ず矛盾に陥るというたとえ話だ。この世の中にはたくさんの矛盾・パラドックスが存在する。
日本国憲法。憲法を真っ先に遵守しなければならないのは誰だろう。当然法と政治に携わる政府であり、政治家であり、公務員である。日本政府という国家は何を於いてもこの憲法を順守するのは当たり前である。
しかし同時に国家は憲法の前に「国民」を守る義務がある。そもそも憲法というのは日本国民が平和で安全に生活できることを担保させるために作られているからだ。
ここで憲法9条を読んでみる。「・・・・戦力は保持しない。国の交戦権は、これを認めない」。
北朝鮮がミサイルを落としてくるとき、憲法を順守するなら、当然のことだが迎撃ミサイルは撃てないし、そもそも持てない。尖閣諸島という日本の領土が中国の武力によって占領されても抵抗もできなければ奪還もできない。他国から侵略があっても武力で守ってはいけないので日本人に犠牲者が出る場合もあるだろう。憲法を守ろうとすればするほど実は国民が守れない、これはパラドックスと言えないだろうか。
論理学から言えばそういう帰結になってしまうのが、日本国憲法の実態だ。つまり護憲を叫ぶ者は「国民の命よりも憲法が大事」と言っているのと同じことである。反論しようにも論理的に考えれば考えるほどこういう結果になってしまうのだ。
国民の安全を守るために作られた憲法が、その憲法があるために国民が守られないこの矛盾。そんな憲法なら改正どころか破棄したほうがいい。
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