
占いの仕事をしていると、様々な質問と出会う。
トンチのような質問もある。
不倫相手が浮気しないかどうか見てほしい、とかね。
その人が浮気症だから、不倫が成立していると思うのだけど……。
さて、今回取り上げる質問は、「寿命」。
政敵がどれだけ長く生き延びるか?なら、まだ……わからなくもない。
そうではなくて。
自分、あるいは自分の大切な人が、どれだけ生きるかを聞いてくる人が、けっこういるってことなのです。
まず、こういう人たちが支払う占い鑑定料はせいぜい数千円。
大きなお金は出さない。
その数千円で、それだけの大きなできごとをごく気軽に、なんら覚悟もなく聞いてくる。
そんなことを教えたところで、お互いになんの益もないですよ。
明日死ぬかもしれぬと思って今日を精一杯生き、相手を大切にしてください。
そう言っても、この言葉の真意を理解しようとしてくれない。
「そんなことはない、この質問に答えてくれたらすごく助かる」
「あと何年生きるかわかっていたら、それに向けて準備ができる」
などと、バカなことを言ってくる。
そんなに大事な準備とやらがあるのなら、今すぐしておくべきだと思う。
死が差し迫るなかするようなことではないはずでしょ。
まぁ、ふぬけているのだろう。
こういう質問をする人は、大切だと思うことすら先延ばしにして取り組まず、自分も自分の大切な人も、いつか必ず死ぬということをまるで自覚していない。
そのうえ自分が近々死ぬことは“ない”と思って高をくくっている。
私っていつ死ぬかな。
教えてくれると助かるんだけど。
この質問を紛争地帯の人たちに向かって言えるだろうか?
闘病中の友人の前で言えるだろうか?
今、元気で生きているということに全然感謝していないよね。
「寿命以外に知りたいことがないから本当に教えて欲しい、お願い、お願い」
と、ものすごーくしつこく懇願されたこともある。
そういう方は、占い師を名乗る詐欺師を訪ねるといい。
占い師を名乗る詐欺師はたいてい、聞いてもないのに家族の不幸や、 寿命を教えてくれる。
しかしまともな占い師諸君は、バカ正直にこんな質問に答えてはならないよ。
その人たちはたった数千円の鑑定料で、懇願のすえにこの重大な質問の答えを聞き出しておきながら、こう言う。
占い師に嫌なことを言われた、ってね。