前回の続き

玄関先に小島功さんの作品を飾ったら昭和テイストになった話を書いたのだが、外から帰ってきて改めて入り口から絵を眺めると、この構図はどこかで見た記憶があると思い、しばらく考えていたら思い出しましたよ。高校生の時に付き合っていた彼女とラブホテル(当時はモーテルと言われていた)に行った時、部屋の入口に裸婦の絵が飾ってあってその絵に似ているのだ。初めてモーテルに彼女と行ってドキドキしつつ、絵について講釈をたれた記憶がよみがえってきた。頭の中ではあんなことやこんなことを想像し爆発しそうになっていた癖に口では彼女に向かって「この絵は主題が曖昧だ」などとほざいていたのだ。二人とも緊張していて部屋中を探索したりビール飲んだり、窓を少し開けて外を見たりしたが、結局なにも出来なかったのだ。それにしても学校帰りに制服姿でいかがわしいホテルに入るなんて、今ならバレれば即退学ではないかと思う。通っていた高校も偏差値高めの高校だったし、身なりも普通の高校生がそんなことをやってるのだから古き良き時代だったと思う。彼女とはその後、あんなことやこんなことをしてしまうのだが、お互いに相手が好きで一緒にいたいという気持ちだけだったので、今となっては古き良き思い出だ。最近ネットで「高校生の女の子と仲良くして良いのは高校生の男の子だけ」という書き込みを見かけたが、その年令でなければできないことっていうのは絶対にある。たまに社会的地位のある人物が少女売春や痴漢で捕まったりするが、若い頃叶えられなかった欲望を地位やお金で買おうとしたってもう遅いんだよね。気の毒だけど。

近所に古い大きな桜の木がある。早朝、散歩しながらもうすぐ咲きそうだと思いながら眺めていたら、昔見かけた日本酒のポスターの桜の絵が思い浮かんだ。カッパの色っぽいお姉さんが桜の下でお酒を飲んでいるようなもので黄桜だったと思う。

小島功さんという作家の作品でなぜか突然欲しくなってしまった。帰宅してネットで探してみたら良い作品があったので買った。出品者の方の話だと、私がふと小島功さんの作品を思い浮かべた時刻に出品したとのこと。不思議なものだ。

玄関先に飾ってみるとそこだけなんだか昭和テイストでいい感じだ。気に入ったので他にもネットで探してみると絵皿がヤフオクに出品されていたので買った。皿の部分に穴が空いていて元々は絵時計だったようだ。そこで大きなホムセンで時計を買ってきて付けてみた。

ますます昭和っぽくなってきた。あの時代は今ほど窮屈ではなくて、もっと自由で猥雑で気楽だったような気がする。自由で猥雑だった頃のことをあとで書いてみようと思う。そんな気分にさせてくれる作品だ。

数年前、長いこと難病で苦しんでいた妻がいよいよ危なくなってきた頃に、ちょっと不思議なことがあったので書き残しておこうと思います。

仕事中によく通る道の途中に小さな神社があります。なぜか私は以前からその神社が気になっていました。かといってわざわざ行ってみる気にもならなかったのですが、ある日仕事でその神社の近くに来ました。仕事を終えて車に乗り込もうとした時、5メートル位先にちょっと変わった鳥が歩いてました。ムクドリくらいの大きさで地面からこっちを見ています。不思議なことに羽の色が虹のように七色に光っています。珍しいなあと思い少し近づいてみました。すると神社の方に走っていきます。私もつられて神社の方に行きました。しかし一瞬目を離した隙に見失ってしまいました。

残念と思いつつ神社の方を見ると神社の柱に大きな七色に光る大きな虫がいました。外国産のカブトムシかと近づいてみると、また見失いました。さらに地面をみると七色に光るトカゲがいました。こいつはたまに見かける綺麗なトカゲでした。まあ、せっかく来たのだからと鐘をならして、妻の病気回復と、いきとし生けるものが幸せであるようにとお祈りしてその場を後にしました。不思議なことはその直後に起こりました。私はずっと妻の事が心配で常に心の中に重たいものが乗っていて、押しつぶされそうな毎日を送っていました。それがすっと消えてしまいました。心の中がすがすがしい感じになりました。信じられないことでした。

 

数カ月後、妻は亡くなってしまいましたが、苦しむ様子もなくおだやかな最後でした。私も現実を静かに受け入れることができました。この不思議な神社には遠い昔にある女性の方がここで病ある人を不思議な力で治していたという言い伝えがあるという記事を見かけましたが、境内の説明書きには記されていません。