珍しい3弦ベースのリペアと一般的に楽器について思うこと | F-ROOTS ギターリペアマン 思いのままに・・

F-ROOTS ギターリペアマン 思いのままに・・

読んでくれた方に何かが伝わればいいなと・・・

※テーマは全部「突発記事」で書くことにしました。(2011.10.20)

あるお客様
ネットで海外に楽器製作をオーダーされたようで。
世の中いろいろな方法があるのだなぁ…と思う。
 
ということで
オーダーしたのが3弦ベース。
お客様のイメージではLowB,E,Aと太い方から並ぶ予定でしたが、
伝達上の何かの食い違いでA,D,Gで完成して来たと。
 
という流れからの相談でした。
お客様も何とかしようと少し調整されたようですが、…。
 
この製作メーカーさんの考え方や仕様は私にはわかりませんが、
私の中にある「こうあるべき」からと比較すると
このネックの差し込み角はNGでして、
そこから設定変更をさせていただきました。
 
A,D,G仕様の際の状態は私は確認してませんが、
多分その場合はこの差し込み角でも良かったのかもしれません。
 
私の所に来た状態では多くのポジションで
フレットに当たってしまい、当たる度合いも大きく
ピックアップでも耳障りな異音として拾ってしまう感じでした。
 
差し込み角を変更し確認しますと
上記の症状は消え、
と同時に思ったのは
「このベース、凄くネックからボディから振動して気持ち良い」と。
 
さらっと書いてしまいましたが
私としてはこの内容に凄く面白い要素があったと思います。
「症状が改善した」という事はまず良かったことですが、
それに併せて、
この設定に変えたことで
最初気が付いていなかった
「弦振動に対するボディの反応」が凄く感じられるようになった
という話。
 
これは何がこのような働きをしてくれたのか?と言いますと
もともとの仕様であったり材であったりは関係してますが、
振幅」になります。
 
振幅を楽器に紐づけると弦、弦振動になります。
つまり、以前より弦振動の振幅が広がり
楽器の性能をより感じさせてくれるようになった…という。
 
文章がヘタクソで伝わり難いかもしれませんので
珍しく言いたい事をズバッと書いてみます。
弦振動が抑えられている楽器は本来の性能を出せていない
もっとズバッと書いています
弦振動を抑えられている楽器はそういう音しか出せない
では
「弦振動を抑えられている楽器」というのはどのような?
それは弦が接する関連部位であったりネックの設定であったり、
弦高であったりが関連します。
勿論、目的があって弦振動より他を優先する奏法やジャンルも
ありますのでこれが全てとは言いません。
 
私が言いたのは
知らないところで楽器性能が抑えられてしまい
その楽器の評価が下がってしまうのが嫌なのです。
 
大分話が反れてしまいました。
本題に戻ります
ナットも元の仕様では弦の幅に合っていませんでしたので
作り替え。
 
フレットもメンテナンスをさせていただきました。
 
3弦ベース、当工房でお預かりする事は珍しく
良い経験をさせてもらいました。
今後この楽器がどうなって行くのか楽しみな気もします。
 
 
途中、「弦振動」等熱く語ってしまいましたが、
理解頂けたら嬉しいです。
極端な話、トラスロッドの調整1つで楽器が変わる事もあります。
また、私の弦振動の話に興味を持っていただけたならば
このような事を理解したうえでネック調整をしている
リペアマンに依頼する事を強くお勧めします
是非F-ROOTSに!とは言いません。笑
各地にありますリペアショップに行きましょう!
 
このような事を書いてます理由は、
今「イマイチだな」と思っているソレが
もしかしたらそうではないかも…という気付きになればと。
 
1つの投稿に二つのテーマになってすみませんでした。
長文のお付き合いありがとうございます。