2009年04月25日
歯ぎしりや咬みしめと、ストレスとの関係
●歯ぎしりと噛みしめ(ブラキシズム)とは?
“ブラキシズム”とはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、歯科で使われる専門用語で、口やその周辺の器官にみられる習慣的な癖(専門的には非機能的動作あるいは口腔習癖といいます)のひとつです。つまり、歯ぎしりや噛みしめの総称です。
●代表的なブラキシズム
・歯ぎしり(歯をギリギリこすりあわせる)
歯ぎしりは睡眠中に行っているので、自覚することは少なく、周囲の人に知らされて、初めて気づくことがほとんどです。
・咬みしめ(歯を咬みしめる)
咬みしめは、日中、夜間にかかわらず、無意識のうちに歯を食いしばってしまうものです。
これらを総称してブラキシズムといいます。
●ブラキシズムは発見しにくい
ブラキシズムは無意識下で行われます。夜寝ているときにギリギリ音を立てる人は、周囲の人に指摘されるかもしれませんが、ほとんどの場合、当事者自身は気づいていないようです。
昼間している咬みしめの場合も、まったく気づいていない方が大半です。
ブラキシズムが本当にあるかどうかの確定診断が、「睡眠時ポリグラフ」という専門的な医療機器を使わなければできないのですが、簡単に出来る方法ではないこと、日中の咬みしめは測定できないことなどから、判定が難しいのです。 昔からずっとブラキシズムをしている人も多いのですが、生活環境の変化などで、一時的にブラキシズムをすることもあります(仕事が忙しい、受験勉強、ストレスなど)。
一時的な場合、何年も続けている人に比べて口の中に変化が現れにくいため、発見しにくいのです。
●メカニズム
人の進化に伴って咀嚼器官は構造的にも、機能的にも大きく変化しました。
咀嚼器官の機能的変化は脳の進化と密接に関連し、とくに精神的なストレスを開放する系としての役割が重要になってきたと考えられます。心身医学的観点からみると、大脳と大脳辺縁系との進化的不調和は、意識下あるいは無意識下の精神的ストレスから咀嚼器官という器官のレベルに伝達され、ブラキシズムという生体にとて比較的安全な方法によって発散させることが出来るような系を作り上げたと考えられます。
●ストレスとストレス病およびブラキシズムの関係
(精神的サブシステムに)蓄積されたストレスは、視床下部一下垂体一副腎皮質系を介して全身の免疫系を抑制したり、また自律神経を介して消化器系あるいは循環器系の病変を発現することが知られています。またストレス管理がうまく達成されない場合、精神的な病変を発現する可能性もあります。ストレス管理のために咀嚼器官を使うブラキシズムは、生体にとて比較的安全な方法なのです。 しかしブラキシズムやクレンチングは一方で咀嚼器官そのものに負荷をかけることがあります。わかり易くいえば、歯が欠けたり縦に割れたり、磨耗したりすることがあります。それゆえに歯科医学にとって最も重要な課題は、いかに咀嚼器官に負荷を加えないように、ストレス管理を行わせるかということです。すなわち、咬みみあわせや歯並びを治したり、顎の関節に調和した咬合治療を行う目的はここにあるのと思います。
そこで、最近では歯を失う原因が、虫歯や歯周病だけではなく、むしろこのブラキシズム(歯ぎしり、噛みしめ)が大きく関係している可能性が叫ばれ始めています。
参考文献 『ブラキシズム』 、Slavicek.Rの論文、『ブラキシズムの基礎と臨床』