銃創は七色にかがやく
蝙蝠の羽音が語っている
まもなく訪れる終末を。
蝙蝠の黒が語っている
おのれが嫌われていることを理解しており
嫌われ者の言うことに耳を貸すものなどいないことを。
蝙蝠の牙が語っている
真実というものは
信じたくない者には真実と映らないもどかしさを。
蝙蝠は飛び去った。
蝙蝠とっての「夜」に。
居場所のない世界から逃げようとしたのかもしれない。
身を挺して危機を告げようとしたのかもしれない。
赤々と熱せられた銃弾の雨が
蝙蝠を貫き、引き裂き、めり込んだ。
狩猟でもなく、駆除でもなく、
ぼんやりとした感情の吐露として
引き金は引かれた。
笑う者も、嘲る者も、怒る者も、泣く者もいなかった。
そのなきがらは
しずかな夜空のあだ花として
もったいないほど美しかった。

砂漠のカノジョ
あの子はからからだ。
からからだから、からだは水を求めてる。
でも動くのがメンドウだから、
水を飲んでる自分を思いうかべて
からだをごまかしてる。目をそむけてる。
あの子はからからだ。
からからだから、こころは水を求めてる。
でも人づきあいがメンドウだから
文字だけの会話で
こころをごまかしてる。目をふさいでる。
らくだはラクだ。
こぶにあぶらが入ってるから
からからでも大丈夫。ある程度は。
でもらくだは、あの子にらくだになれとは言わない。
らくだはラクに生きるために
砂漠で生きのびるために
そういう身体になった。
あの子は弱い、ただのニンゲン。
自分でからからになって
自分で自分をころすことを選択できる
唯一の生きものなのだから。
あの子は弱い、ただのニンゲン。
自分でからからになって
自分で自分をころすことを選択できる
唯一の生きものなのだから。

持て余す毒
サソリは小さなハサミを受け継いだ。
小さなハサミはみっともないから、しっぽの毒を強くした。
「俺は毒を持ってるぞ!一撃で死に至るの毒だ!」
誰も信じない。
ハサミの小さなサソリの言うことだ、虚勢にきまってる。
「これを見ろ!」
サソリは近くにいる見知らぬ誰かを
しっぽの毒針で刺そうとした。
その時はじめて気がついた。
ハサミだけでなく、しっぽも小さいことに。
刺されそうになった相手は
軽々と毒針をかわし
返す刀でサソリを踏んづけて殺した。
今わの際に、サソリは自分の体に刻まれた
数々の言葉を読んだ。
先人達が、子孫たちに残した言葉だ。
サソリはその意味を理解することなく
世界の片隅で、地面の染みとなった。
