仮面執事と銀のギター(今は赤だけど…orz) -34ページ目

銃創は七色にかがやく

蝙蝠の羽音が語っている
まもなく訪れる終末を。

蝙蝠の黒が語っている
おのれが嫌われていることを理解しており
嫌われ者の言うことに耳を貸すものなどいないことを。

蝙蝠の牙が語っている
真実というものは
信じたくない者には真実と映らないもどかしさを。

蝙蝠は飛び去った。

蝙蝠とっての「」に。

居場所のない世界から逃げようとしたのかもしれない。
身を挺して危機を告げようとしたのかもしれない。

赤々と熱せられた銃弾の雨が
蝙蝠を貫き、引き裂き、めり込んだ。

狩猟でもなく、駆除でもなく、
ぼんやりとした感情の吐露として
引き金は引かれた。

笑う者も、嘲る者も、怒る者も、泣く者もいなかった。

そのなきがらは
しずかな夜空のあだ花として
もったいないほど美しかった。

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砂漠のカノジョ

あの子はからからだ。

からからだから、からだは水を求めてる。

でも動くのがメンドウだから、
水を飲んでる自分を思いうかべて
からだをごまかしてる。目をそむけてる。

あの子はからからだ。

からからだから、こころは水を求めてる。

でも人づきあいがメンドウだから
文字だけの会話で
こころをごまかしてる。目をふさいでる。

らくだはラクだ。
こぶにあぶらが入ってるから
からからでも大丈夫。ある程度は。

でもらくだは、あの子にらくだになれとは言わない。

らくだはラクに生きるために
砂漠で生きのびるために
そういう身体になった。

あの子は弱い、ただのニンゲン。

自分でからからになって
自分で自分をころすことを選択できる
唯一の生きものなのだから。

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持て余す毒

サソリは小さなハサミを受け継いだ。
小さなハサミはみっともないから、しっぽの毒を強くした。

俺は毒を持ってるぞ!一撃で死に至るの毒だ!

誰も信じない。
ハサミの小さなサソリの言うことだ、虚勢にきまってる。

これを見ろ!

サソリは近くにいる見知らぬ誰かを
しっぽの毒針で刺そうとした。

その時はじめて気がついた。
ハサミだけでなく、しっぽも小さいことに。

刺されそうになった相手は
軽々と毒針をかわし
返す刀でサソリを踏んづけて殺した。

今わの際に、サソリは自分の体に刻まれた
数々の言葉を読んだ。

先人達が、子孫たちに残した言葉だ。

サソリはその意味を理解することなく
世界の片隅で、地面の染みとなった。

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