飛蝗
空中大編隊のなかに
今わたしはいる。
群生バッタであるわたしは
この群れがわたしであり
わたしがまた群れであり
自分独自の考えというものは
ない。
目の前にニンゲンがこさえた
食べごろの稲穂が
首をもたげている。
わたしは空中からそれに照準を重ね
まっすぐ「それ」に襲いかかる。
目の前の「それ」を食べなければ
他の「わたし」に食べられてしまうだけ。
わたしは夢中でかじり続ける。
一日もあれば食べ尽くされるから
また別の餌のある場所に
移動することになるだろう。
ふと前の畑のことを思い出した。
その農家を営んでいるのは
老夫婦だった。
一年かけて育てた農作物を
一日で食い荒らされたその夫婦は
翌日仲良く、川に身を投げた。
わたしは群れであり
群れはわたしであるはずなのに
それに気付いたのは
このわたしだけであった。
今わたしはいる。
群生バッタであるわたしは
この群れがわたしであり
わたしがまた群れであり
自分独自の考えというものは
ない。
目の前にニンゲンがこさえた
食べごろの稲穂が
首をもたげている。
わたしは空中からそれに照準を重ね
まっすぐ「それ」に襲いかかる。
目の前の「それ」を食べなければ
他の「わたし」に食べられてしまうだけ。
わたしは夢中でかじり続ける。
一日もあれば食べ尽くされるから
また別の餌のある場所に
移動することになるだろう。
ふと前の畑のことを思い出した。
その農家を営んでいるのは
老夫婦だった。
一年かけて育てた農作物を
一日で食い荒らされたその夫婦は
翌日仲良く、川に身を投げた。
わたしは群れであり
群れはわたしであるはずなのに
それに気付いたのは
このわたしだけであった。

ないたところで羊は羊
ひとりじゃ生きていけないのは
ニンゲンも羊も一緒。
メェメェないたところで
あこがれの
孤高の存在にはなれない。
弱い者どうし肩寄せ合って
目を見開いて、視界を広くして
常に周りに注意して
誰が本当のことを言っていて
誰が嘘つきなのか
見極めなければならない。
そろそろ毛を刈る季節が来る。
ウチらはニンゲンに飼われてる羊だから
自然と毛が生え変わらない。
ばりばり、メェメェ、ばりばり、メェメェ
毛がなくなった。
身を守るものがないので
不安でまたなく。
ないたところで
不安はなくならない。
ほんの少しの間
気持ちが紛れるだけ。
そのほんの少しの間を
少しでも長くしたいから
なくことのできないニンゲンは
歌を歌うんだろうね。
ニンゲンも羊も一緒。
メェメェないたところで
あこがれの
孤高の存在にはなれない。
弱い者どうし肩寄せ合って
目を見開いて、視界を広くして
常に周りに注意して
誰が本当のことを言っていて
誰が嘘つきなのか
見極めなければならない。
そろそろ毛を刈る季節が来る。
ウチらはニンゲンに飼われてる羊だから
自然と毛が生え変わらない。
ばりばり、メェメェ、ばりばり、メェメェ
毛がなくなった。
身を守るものがないので
不安でまたなく。
ないたところで
不安はなくならない。
ほんの少しの間
気持ちが紛れるだけ。
そのほんの少しの間を
少しでも長くしたいから
なくことのできないニンゲンは
歌を歌うんだろうね。

無頼ガラス
三歩歩いたらすぐに忘れることを
ニンゲンの世界では
「鳥頭」というそうじゃないか。
俺ことカラスも鳥だが、
一度攻撃してきた奴のツラは決して忘れず
仲間にもそいつのツラを覚えさせる。
嫉妬深いとか、そういうことじゃない。
反撃しなければ
やってきた奴は何一つ学ばないからだ。
ニンゲンが金を捨ててた時代に
食い物もばかばか捨てて
俺らは増えた。
原因を作った張本人のくせに
ニンゲンは俺らを「害鳥」だの「不吉の象徴」だのに
カテゴライズして
目の敵してんだから笑わせる。
平和の象徴とか抜かす
鳩を食うから?
あいつらは俺らと違って
平気で仲間を見捨てる連中なのに。
無知なニンゲンは
教育してやらねばならない。
そもそもどちらが支配者なのかを
教えてやらねばならない。
適当に攻撃して
毎日エサを生み出す間抜けな動物のままで
いてもらわねば。
ニンゲンの世界では
「鳥頭」というそうじゃないか。
俺ことカラスも鳥だが、
一度攻撃してきた奴のツラは決して忘れず
仲間にもそいつのツラを覚えさせる。
嫉妬深いとか、そういうことじゃない。
反撃しなければ
やってきた奴は何一つ学ばないからだ。
ニンゲンが金を捨ててた時代に
食い物もばかばか捨てて
俺らは増えた。
原因を作った張本人のくせに
ニンゲンは俺らを「害鳥」だの「不吉の象徴」だのに
カテゴライズして
目の敵してんだから笑わせる。
平和の象徴とか抜かす
鳩を食うから?
あいつらは俺らと違って
平気で仲間を見捨てる連中なのに。
無知なニンゲンは
教育してやらねばならない。
そもそもどちらが支配者なのかを
教えてやらねばならない。
適当に攻撃して
毎日エサを生み出す間抜けな動物のままで
いてもらわねば。
