あまり、愉快な世界ではない様だ。


自死者は、現世での苦しみなど比較にならないほど、あの世で苦しむのだそうだ。


人は生まれる前に人生計画を立て、あるいは立てられ、その実行を約束させられるらしい。
いくつかの試練を与えられ、それらを全て乗り越えて人生を全うしろと。


つまり、今現在私が追い込まれている苦しみも、予め予定されていたもので、それを乗り越える必要があるのだと言うのである。


従って、自死するという事はその試練を放棄するという事なので、それなりのペナルティを与えられると。


その場で何度も何度も、同じ自死行為を繰り返すとか…。
現世の数十倍の苦しみが与えられるとか…。 
そのペナルティが終わらなければ生まれ変わる事は出来ないとか…。
生まれ変わる場合も、次の人生にその試練が繰り越されるとか…。


どれも嫌な話だ。
怖気付いてしまう。
与えられた試練の放棄に対するペナルティ…ごもっともな理屈である。


しかし、よくよくシュミレートすると、疑問がどんどん出てくる。


生まれながらにして金持ちの者などや、顔や才能に恵まれた者などは、一体どんな試練を与えられたというのか。
恵まれた後の挫折を味わう事が…その落差に対する苦痛が…試練だというのか。
それとも前世で頑張った方々…優等生だったという事なのか。


では、生まれてすぐ死んでしまった子は、どうなのか。
それこそ、その子には試練は必要なかったという事なのか。


その子はそうかも知れないが、死ぬ程の悲しみを味わう事になる、その子の母親はどうなのか。


その悲しみが、その母親の予定されていた試練なのであれば、そこにたまたま居た試練の必要がない魂が、その母親の赤ん坊としてセッティングされたという事なのか。
そんな都合よくいくものなのか。


少し、ややこしいかな。
私の文面も、分かり難いかもしれない。
しかしもう少し、続く。


…ならば自死遺族はどうか。
自死遺族が与えられた悲しみや苦しみは、あらかじめ決まっていた試練なのか。


そうなると、家族が自死する事があらかじめ決まっていたという事になる。
自死はルール違反の途中下車ではなく、予定通りという事になってしまう。


逆に、自死がルール違反の途中下車だとすると、その遺族の悲しみやその後に続く苦しみは、イレギュラーな苦痛という事になる。
予定されていなかった試練が、余分に増えた事になるのだ。


その人は、来世で試練が減るのか?
それとも、今後与えられたであろう試練がその分免除されるとか?
そうすると、それに関わる予定だった周りの方々の人生にも、少なからず影響が出るが…。


また、自死者を追いかけて遺族か後追いをした場合はどうか。
ルール違反を犯した者によるイレギュラーな試練…この予定外の試練に耐えきれず自死してしまった場合のペナルティはどうなる?
特別免除?


そしてその人の新たな遺族…その苦しみ…。
その事で精神疾患を患い、一生苦しむ事になった場合、その試練もイレギュラー?
元々用意されていた試練は?
そして、その元々の試練に関わる予定だった方々の人生は、急遽変更?


もう訳がわからない。


一つを定義づけると、他の全てに関わってくる。せめて一通りは話が繋がらないと、おかしな話になってしまう。


そもそもこれを語る人は、なぜそんなに堂々と語れるのか。
というか、なぜ知っているのか。



臨床体験者の声を元に…。
臨死体験というのは聞いていると面白いが、これは本当に、一度死んだのか?
その人は、あの世の管理者的な誰かに、「キミは人生を放棄したので、これから長い間ペナルティを受けてもらう」と説明されたのか?
説明されたのに、戻ってこれたのか?
説明されてないなら、なぜその臨死者にそんな事がわかるのか?
臨死体験と言っても、戻るまでにせいぜい数日だろう。
じゃないと焼かれてしまう。


自死者の霊から聞いて…。
自死者の霊とそこまで詳しい話ができるのか?
ならば、なぜ自死したのか知りたがっている遺族の方に、なぜ教えてあげられないのか。
金を出せば聞いてきてくれるのか?
あと、私が自死した場合、私と話せる現世の人間が誰かいるということか?


その人が霊と交信できるのであれば、なぜ未解決事件をそのままにしてしまうのか?
自死者の霊とは話せて、無念の霊とは話せないのか?
では、世間で言われている霊とは、自殺者だけか?
その他の霊は、嘘なのか?


私は決して、頭から否定している訳でも、馬鹿にしている訳でも無い。


私自身に降りかかるかも知れない事なのだ、そりゃあ気になるし、真剣だ。
本当にそうならば、頑張って試練を全うしてみようかなどと、思わなくも無いのだ。
しかし、あまりにも辻褄が合わない事が多すぎる。
立ち止まるには…材料が不明瞭すぎる。


私が自死した場合、家族のトラウマは多かれ少なかれ生まれてしまうと思う。
つまり、ある程度は苦しむであろう。


しかし、そのイレギュラーな試練のお陰で、今後与えられるハズであった試練が免除されるのだとしたら…あるいは来世で少しいい思いができるのだとしたら…。


まあそれはそれで、悪く無い気もする。