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Domani のwebsite でインタビュー連載がスタートしました。

サクセスストーリーではありません。
むしろ苦労話。

今まで一切こういう話はしてきませんでしたが。

自分が二十代の頃、うまく行かずにもがいていた時
日経WOMANの妹たちへ
という連載の中にあった
憧れの国谷裕子さんや小谷真生子さんの
インタビューを読んで
活躍されているキャスターさんたちも
二十代の頃は苦しんでいたんだ。
まだ私にもチャンスはあるかもしれない
夢はいつかは叶うはず、
諦めないで頑張ろうと
コピーした記事を
何度も何度も読み返していました。


今、自分がそれなりの年齢になり
働く女性に向けて、
もがいている二十代や三十代の方たちに
少しでもお役に立てればと思い
インタビューを受けました。

このインタビューの中で
働く女性の悩みや苦労が
それぞれの自分の悩みと少しでも重なって
共感したり、考えたり、
もう少し頑張ってみよう!
と思ってもらえたら幸せです。

夢を叶えるには諦めないことが一番大切。
今を全力で頑張れば自ずと道は拓ける、
その向こう側に何があるのか夢を膨らませてみて下さい。


全5回、読んで頂けたら嬉しいです

https://domani.shogakukan.co.jp/16568


美しい人は、美しい物語を持っている。それは、甘くきらびやかという意味ではなくて、バラにトゲがあるように、さなぎが蝶になるように、美しさとは真逆の痛みや忍耐をも含んだ、真に美しい物語。

1,000人以上の経営者をインタビューしてきた敏腕経済キャスター。そして東証一部上場企業の社外取締役。40歳にして華麗なるキャリアを築く美女・江連裕子さん。その美しさの裏にある、真の物語とは…?


©KEITA HAGINIWA 2017

美しき、経済オタク

たとえば、朝、雨が降っていたら、働くアラフォー女性はまず何を考えるだろうか。今日、会社に着て行く服をどうしよう?電車が混むから早く出なきゃ?でも、彼女の場合はこんな感じだ。

「雨が降っていたら、まずその日にお出かけする人が減りますよね。世の中全体に客足が鈍ってしまう。一方でインターネットショッピングやデリバリーが盛り上がるかもしれない。今日の雨で、どの企業に悪影響があるのか、恩恵を受けるのはどの企業なのかなどと、想像を巡らせてしまいます。これはもうクセみたいなものだけれど、そうやって経済の循環や消費動向から世の中のことを考えるのが、好きなんです」

長く経済番組のメインキャスターを務めてきて、現在は株式会社グルメ杵屋の社外取締役でもある江連裕子さん(40)。38歳にして東証一部上場企業の、しかも女性初の社外取締役に就任。数々の企業のトップや世界屈指の投資家とも交流し、業界でも注目される美女は、筋金入りの“経済オタク”だ。外食産業でも、アパレルでも、小さな雑貨店でも、新しいお店ができたと聞けば、すぐに足を運ぶ。でもそれは、限定商品を買ったり、SNSに載せるためではなく、どんな客層でどんな価格帯でどんな商品を扱っているのかを逐一チェックするためだ。だれに頼まれたわけでもないけれど、言ってみればマーケティング調査が趣味。日々の株価や為替相場はもちろん、国内外の経済ニュースも欠かさずチェックしている。スマホにはYahoo!ファイナンスや新聞の電子版のアプリがずらり。

「お金そのものが気になるというより、お金の動きの裏には必ず人間がいて、経済情勢を見ると人間の行動がわかる。それが面白いんですよね。日々変わっていく経済の動きを見ていると本当に“事実は小説より奇なり”! とてもエキサイティングだと思います。経済を通して世の中は有機的に繋がっている。経済学部に通っていた学生時代のある日、“ミクロとマクロが繋がった!”と感じた瞬間があって。頭で理解するというよりも啓示的にそう感じたんですが、すごく感動を覚えたことを今でもよく覚えています」

深い“経済愛”は、一朝一夕で生まれたものではない。子供の頃から経済や政治のニュースを見るのが好きだった。

「習い事でやっていた“算盤”が、とても好きでした。数字が好きというよりも、勘定することが好きだったのかな。中学の時には、就職するなら税理士か銀行員と決めていましたね。私が育ったのは栃木県那須ののどかな田舎で、公務員や学校の先生ぐらいしか身近な職業がないんです。その少ない選択肢の中で、銀行員がいちばんカッコよく思えた。スクーターで毎月集金にやってくる銀行の人が、お金を手際よく数える姿に憧れていましたね。経済学部に行けば銀行に就職できると思い、大学進学を反対していた親を説得して短大に進み、途中から4年制に編入もしました。今でもまだ、銀行員になってみたかったなと思っています(笑)」

「絶対に水着は着ません!」

経済学部から憧れの銀行員を目指すも、アラフォー世代にとって当時は超就職氷河期。山一証券を始め、拓銀、長銀の破綻が続き、銀行への就職は困難の極みだった。そんな中、運命のいたずらか、江連さんにも突如違う道が舞い込んでくる。

「短大時代は北海道にいて、3年生から東京へ。右も左も分からない上京したてって感じだったんですが(笑)、スカウトからの紹介をきっかけに週刊誌のグラビアに出ることになりました。その時撮っていただいたのは篠山紀信さん。女子大生を集めたグラビアで、周りはみんなモデルや女優志望の女のコ。華やかで、自分がその場にいるのが不思議でした。水着で撮影と言われましたが、頑なに『将来銀行に勤めたいから、水着は無理!』と主張して、ワンピースで撮影してもらいましたね(笑)。

でも、その写真が出たのをきっかけに幾つか事務所から声がかかり、アナウンサーの道を勧められたんです。『私、アナウンサーになれるんですか?!』って尋ねたら、『なれると思いますよ』と言われて。そういえば、撮影時に篠山さんに『君はアナウンサーっぽいね』とも言われていました。ずっと銀行員!と思っていたのに、考えたこともなかった選択肢が突然目の前にやってきて。よくわからないまま流れに乗って、とりあえずアナウンサーを受けてみようと」

キー局はかなわなかったが、やがて人気フリーキャスターが集まる事務所「セント・フォース」に在学中から所属が決まる。そして、頑なにワンピースを主張したほどの経済界への憧れは、また違う夢の形で現れることとなる。
さてその続きは、次回のお話。

江連裕子/1977年生まれ。経済キャスター、株式会社グルメ杵屋社外取締役。TBSニュースバードキャスター、KPMG税理士法人を経て、日経CNBCのメインキャスターを9年務める。過去の出演番組はテレビ東京『Mプラス11』など多数。経済セミナーの司会やコーディネーターとしても活躍。現在はラジオNIKKEI『ザ・マネー』(毎週月〜金曜日15:10〜16:00)の木曜日に出演中。オフィシャルブログhttps://ameblo.jp/ezure-yuko/

撮影/萩庭桂太