一口に「匂わせ」と言っても様々なものがある。
同時期に同じお店をチラ見せしたりたり、さりげなくお揃いアクセサリーを見せ関係を匂わせる男女。学校名は隠しつつ制服は見せていたり、さりげなく校章が見えるようにしていたり、特徴的な門のところで撮っていたりと、子の進学先や在学校を写真で匂わせる親。
どれも微笑ましい限りである。
こうした数ある「匂わせ」は基本的には微笑ましいとしか感じないのだが、衝撃を受けたこともないではない。
そろそろ時効だと思うので、そんな衝撃的な経験を書いてしまおう。
それは、校章ネイル、つまり子どもの合格した(通っている)中学校の校章をネイルアートしているママとの遭遇である。
私にはかなりの衝撃だったのだが、私が知らないだけでよくあることなのかもしれない。なぜなら、時と場所を変えてふたり遭遇したから。
ひとりは、とある会場でたまたまご一緒しお隣に座っただけの知らない人であり、もうひとりは習いごとが一緒で、同じレッスンを取れば世間話をする顔見知り程度のママであった。
たまたまご一緒した方の人の両手の爪(中指だったか人差し指だったか)に描かれたのはクロスしたペン。周囲の人に見えるよう、意識して振る舞っているようだった。私がちらっと目を向けると見せるように指の向きを変えた。
え?もしかして何か言ってほしい?
「お子さん、すごいですね
とか?でなければ
「校章をネイルしているんですか?」
とか?
習いごとが一緒のママは片手の薬指のネイルアートが見覚えのある幾何学模様。さらにその模様について触れてほしいであろう雰囲気が漏れている。
「あ、受験終わったんですね。おめでとうございます。親孝行ですね」
と言うと
「ありがとうございます。そうなんですよ。ネイルしちゃいました」
としっかりと見せてくれた。
いやいや、見せられてもこれ以上なんと言えば?
「優秀ですね!」
と言ってほしいの?
「あら、どこの校章なのですか?」
とでも聞いてほしいの?
※画像はお借りしています。
雑誌記事です。
どちらの場合にも、分かっていて敢えて学校の名前を言わなかった(おそらくいちばん触れてほしかったはず)私は、少々意地が悪いのだろうか。
それにしても、感性が謎過ぎて理解できない。どうして恥ずかしくないのだろう?
分かる人にしか分からないから、さりげないつもりなのかもしれないが、またそれが逆に嫌らしくはないか。
「嬉しいよね。自慢したいよね」
と微笑しくも思えなくもないけれど。
大学生がスクールリングをしていたり、憧れの学校の校章入りグッズを子どもが持っていたりするのとはなんだか違うんだよね。
さて、こちらは娘のお土産のテディベアである。
「アメリカの学生ってすごく母校を愛しているよね」
ちなみに娘の通う大学はここではない。遊びに行ったときに
「話のタネに」
と買ったらしい。
ということで、これは「匂わせ」はありません。