四月の六日七日と、とあるお祭りがあったことをご存知だろうか?
もしかしたら、日本人よりも外国人観光客の間で有名かもしれないお祭りである。
かなまら祭り。
川崎市の金山神社(若宮さんの境内にある)のお祭りである。
昨日のこと。
用事があってたまたま降りた京急川崎駅だったが、外国人観光客で溢れかえっている。
まるで初詣の時期のような混雑に、いったい何事かと一瞬思ったのだがすぐに気付いた。
そうか、今日はかなまら祭りか。
それにしてもすごい人出だ。
鍛冶の神さまである金山比古神と金山比売神の二柱の神さまが祀られている金山神社のこのお祭りは、全く古いものではない。
私が子どもの頃に新しく始まったものだ。(江戸時代にもお祭り自体はあったらしいが)
何が珍しいって「男性のシンボル」の御神輿(言っちゃった)が三基も巡行するのである。
昔は近隣の氏子さんがひっそりと、そしてゲイの方たちや女装で夜のお仕事をしている人たちが来るお祭りだったと聞いている。
その珍しさからいつの頃からか外国人観光客の間に広まっていき、最近ではSNSの投稿によってますます有名になっていったようだ。HIV 除けという意味を込めたのも有名になった一因らしい。
それはいい。
キリスト教倫理観に覆われてしまったヨーロッパでは絶滅させられてしまった、いわゆる男根崇拝が日本には残っていたのは事実だから。男性のシンボルに豊作と子孫繁栄を祈るのは昔の人たちにとって自然のことだったはずだから。
だがしかし、である。
外国人観光客たち、揃いも揃って車内やホームで飴を舐めているのだ。
ええ、男性のシンボルを象った大きな棒付きの飴を。
驚いたことに女性のシンボルを象った飴を舐めている人もいた。
男性が多かったが女性でもいた。男性女性が入り混じったグループでも舐めていた。
アジア系より明らかに欧米系の観光客が多い。
ちょっとやはりさすがにいかがなものかと……
ちなみに女装の男性と思われる何人もの日本人もいたが、誰ひとり舐めてはいなかった。手に持つ袋の中には飴が入っていたけれど。
昔もその飴は売っていたし、お守りにも男性のシンボルがはっきり描いてある。
でもそれは仲間内で見せたり、ごく親しいユーモアの通じる人にお土産にあげたりして、ごく内輪で家庭内で楽しむものだった(と思う)。
「やだもう」
「恥ずかしい。やめて」
などと言いながら。
それをなぜ白昼堂々公共の場で舐めているのだ?
日本はそういうものを堂々と晒していい国だと思っていたりするのだろうか?
ううう。
そもそも幼い子どもならいざ知らず、いい大人が棒付きキャンディを公共の場で舐めるということ自体、日本社会ではあり得ないことだというのもあるけれど。
そう言えば「まら」という日本語が何を指すのか、どれだけの人が知っているのだろうか。
意外と外国人観光客の方が知っていたりして。
息子に話したら
「まあ、いいんじゃない?平和で。楽しいんだって」
「だって外国人観光客でしょ。外国の変なお祭りを楽しみに来ているわけでしょ。飴だってさ、買いたいって思って来ているわけだよ。そりゃあその場で舐めるでしょ」
「売ってた、買おう、舐めよう、だよ。まあ、僕はその場で舐めないっていうか、そもそも買わないけれどさ。」
と笑っていた。
それもそうか。
いや、でもやっぱりちょっと。
ここに写真を載せるのは憚られるので、気になる方は検索してみてくださいませ。
「かなまら祭り」とか「かなまら 飴」とかで検索していただければ。
代わりに今日の桜を