美味しいものはたくさんあるけれど、福井の水羊羹を買うことは決めていた。
福井の水羊羹。
子どもの頃、母は「丁稚ようかん」と言っていた。
丁稚さんがお正月に里帰りするときに買って帰ったから。
小豆も砂糖も少なめで寒天で固められた羊羹は煉羊羹と違って庶民の味だったって。
さっぱりしていて大好き。
福井は一月二日の地震ではそれほどひどい被害はなかったようだけれど、北陸はどこも大変だろう。
水羊羹を買うくらいでは大して支援にはならないかもしれないが、何もしないよりはね。
少しだけ能登に寄付をしたけれど、多分気は心くらいにしかならないだろう。
こうして色々な方法で少しずつ支援し続けたい。
今回は驚くほどたくさんのお店の水ようかんが出ていた。
驚いたのが和三盆の水ようかんがあったこと。
他のものの倍近い値段がする。
何だか定義矛盾な気もするけれど、とても気になる。
絶対美味しいよね。
もうひとつ。
お店の方がいちばん好きと言っていた、三温糖を使っているものも購入。
黒砂糖の素朴な味もよいけれど、おすすめは試したい。
和三盆の方が少し色が薄い。
和三盆のものは想像どおり、上品な味。小豆も濃い。柔らかく寒天がわずかに少なめか。
美味しい。
美味しいが、もはや福井の水ようかんではなくなってしまっている気もする。
美味しい和菓子の水羊羹だ。
三温糖のものは、福井の水ようかんだ。
寒天の多さ、餡のあっさり感、強くないのにしっかりと感じられる甘み。
でも黒糖でない分とても上品。
どちらもそれぞれ美味しい。
選べないぞ。
息子は
「強いて言えば水ようかんって感じのこっちかな」
って。