まさかまさかまさか。

 あまりの衝撃に思考停止してしまった。

 芦原妃名子さんが自死しただなんて。

 

 たまたま流れてきて知った『セクシー田中さん』における芦原さんと脚本家の方の行き違い。

 そして脚本家の方の少々攻撃的な発言に対する芦原さんの丁寧な返信と経緯の説明のブログ記事。

 それらを見て

 「作家にとって作品は我が子のようなものだもの、きちんと思いを汲み取って大切に扱ってほしいに決まっているのに」

と思っていただけの私は、呑気にもそれを機に脚本家叩きが始まったなんて知らなかったし思いも寄らなかった。

 

 いったいいくつ繰り返したら終わるのだろう?

 正義という言葉はあまり甘美で魅力的で、大衆はその名の下に安全なところで誰かを裁く。

 なんの権利もないのに。

 正義とか弱者とかそういったものを声高に主張することの愚かさと恐ろしさがどうして理解できないのだろう?

 考えられるような人、理解できるような人はそんなことはしないだろうから、こんなところで言っても無駄なのかもしれないけれど。

 

 「攻撃したかっったわけじゃなくて。 ごめんなさい」

という最後の言葉が哀しすぎる。

 

 母親を自死で失った杏の苦しみを『砂時計』描きだした芦原さんがこんな最期を迎えることになるなんて。

 繊細で優しい人だったのだろう。

 だからああいう物語を作れたのだろうか。

 

 『砂時計』、好きでした。

 少女の頃から少女漫画が苦手だった私が好きになった数少ない少女漫画のひとつでした。

 自死がどれほど人の心に傷を残すものか考えさせられました。

 杏と大伍は子どものような年齢で可愛くて切なくて。

 『Piece』もドキドキしたし、『セクシー田中さん』も続きが楽しみでした。

 言ってはいけないのかもしれないけれど、生きていてほしかったです。

 もっともっとたくさんの物語を紡いでほしかった。

 

 自分を責めてはいませんか?

 心を痛めてはいないでしょうか?

 どうかもうこれ以上自分を責めないでくださいね。

 どうかどうか安らかにお眠りください。

 大好きでした。

 

 心よりご冥福をお祈りいたします。