アメリカから帰国してから、クリスマスの頃子どもたち二人と私で近くのホテルのサンタさんディナーに行くようになった。
以前書いたように信じられないくらいの引越し回数ではあったが、徒歩圏内だったので毎年同じホテルである。
このホテルはちょっとお出掛けというときによく利用した。
気軽にちょっとというときは1階のカジュアルダイニング、美味しいものを食べたいときは鉄板焼きか和食、ランチに飲茶というときには中華レストランというふうに。
歩いて行くのだが、一応予約を入れ着替える。
そしてケーキやパンを買いに行くだけのときと違ってちゃんとメインエントランスから入るのである。
クリスマスのシーズンにはホテルの周りのイルミネーションが美しい。
そして、エントランスをくぐってロビーに入ると大きなクリスマスツリーがあった。
ツリーの周りはクリスマスの子ども部屋という感じにおもちゃやプレゼントやドールハウスや木馬がディスプレイされていて、楽しい雰囲気に包まれている。
さて、クリスマスシーズンにはビュッフェだけになってしまうカジュアルダイニングでは必ずサンタさんに会える。
それ以外はどこが参加するのかは年によって異なっていた。
カジュアルダイニングは普段は見掛けないような層がいたりと今一つゆっくりできないのが欠点だった。逆に言えば、こちらもそれなりに静かにていれば大丈夫ということでもあるが。
帰国した年、サンタさんに会いたいという娘のために予約したのは鉄板焼きだ。
息子はまだ離乳食でレストランの料理は食べられないし、大人しく寝ていれば逆にチャンスだと思ったから、娘のリクエストに応えたのである。
食事のときはよかった。
娘はシェフとおしゃべりしながら子ども用のコースを堪能したし、息子もニコニコ愛想を振りまいた後、眠ってしまった。
場所を移動してデザート、というタイミングでサンタさんが登場した。
娘は大喜びで英語で話し掛け
「プレゼントを24日には持って行くよ」
と言われてご機嫌だった。
息子も目を覚まし、スタッフさんがサンタさんとの写真を撮ってくれようとした。
が……
息子は号泣だった。
サンタさんが怖かったようだ。
私が抱いて泣き止んでもサンタさんと並ぶとまた号泣。
サンタさんにも次の予定がある。
仕方ないのでそのまま撮ってもらったのがこの写真だ。
そしてその2年後かな。
さすがに3歳の息子を連れて鉄板焼きや懐石は無理がある。
この年はカジュアルダイニングを選んだ。
ロビーのクリスマスのディスプレイは写真撮影のコーナーにもなっている。
はしゃぐ息子とちょっと冷静な娘の写真を色々撮ってからレストランへ。
好きなものを色々とビュッフェで楽しみ、デザートを食べ始めた頃のこと。
レストランの照明がふっと暗くなり、シャンシャンシャンシャンという鈴の音。
現れたサンタさんに、今度は大喜びだった。
肩を抱いてもらってご満悦である。
ああよかった。
「初めてサンタさんに会ったとき泣いたんだよ」
と話すと
「だってサンタさんのおひげが怖かったんだよう」
だそうだ。
どちらもよい思い出である。