びっくり仰天の行儀の悪さの子どもたち(もしも家庭教師をやってほしいと言われたら、申し訳ないがお断りである)だったが、学力がないのは本人たちのせいではない。

 

 そもそも、両親の都合で日本に連れてこられたのだ。ある日突然、知らない場所で知らない言葉に囲まれての生活が始まったのだ。大変に決まっている。

 

 私の育った区の外国人の子どもに対する日本語サポートはさほど充実してはいない。

 「0」ではない(「0」という区もいくつかある)ものの、二十三区内では少ない方らしい。


 ちなみに例の女の子が言った

 「となりにいたせんせい」

というのは、30時間サポートに付く通訳のことだと思う。


 少ない方だといって「行政が悪い」「この区はだめだ」と言いたいわけではない。

 そもそも我が子の教育を自治体の日本語サポートに任せきりでいいはずがないのだ。

 

 日本語能力の低さも学力のなさもはっきり言って親の責任である。

 両親もあまり日本語が得意でないなら、一緒に勉強しなくては。

 アメリカでコミュカレに通う人たちのように、日本語教室にでも通おうよ。

 家で子どもと一緒に学校の勉強を通して日本語の勉強をしようよ。

 

 日本語が未熟な分、中国語できちんと学習をさせなくては。

 家の中で正しい中国語を使う、一緒に中国語の本を読んだりニュースを見る、そんなことで中国語で知識を身につけることもできる。

 中国語で書かれた小学生向けの参考書や問題集だってあるだろうに。

 

 日本人の子どもだって親の都合で海外に連れて行かれる。

 我が子だってそうだった。

 けれど現地校に放り込んでそのままという親はいない。

 現地校に行くなら、週末は補習校に行かせる。

 そうでなければ日本人学校に通わせる。

 人として生きていく上で基礎知識や基礎学力が大切だと知っているからだ。

 そうでないと子どもたちが困ると知っているからだ。

 

 この子に限らず、子どもを日本の公立校に放り込んでそのまま、という外国人はそこそこいる。

 そういう親はおそらく自分自身も「勉強」をした経験があまりないのだろう。

 だから基礎学力の大切さに気付いていない。

 知識も教養も放っておいては育たないと知らない。

 

 だからそういう子どもたちが多くいる学校では学級崩壊が起きてしまう。

 躾されておらずお行儀が悪いという理由ももちろんある。

 それだけでなく、授業が分からないから聞いていてもつまらなくて立ち歩いてしまうというのも理由のひとつだろう。

 

 そういう子どもたちは、年齢相応の母国語力も日本語力がつかないまま、年齢相応の学力がつかないままも理解できないまま小学校6年間を過ごしさらに中学校3年間を過ごすのか。

 いったいどんな大人になるのだろう?

 

 こうなってくると、受け入れる側の日本人と地方自治体だけで解決できない問題としか言えない。


 まだまあるい。