暑いと甘酸っぱい柑橘類が嬉しい。なんでも好きだけれど、実家でよく食べたのはグレープフルーツだ。

 甘夏や伊予柑は剥いて食べるのに、グレープフルーツだけ違った。なぜか半分に切ってくれてスプーンですくって食べるものだった。


 甘いもの好きな父はそこにお砂糖か時には蜂蜜をどちらにせよたっぷり掛けていた。

 私はまずスプーンで全ての房をすくって実を薄皮から外した。そして一周ぐるっと外してから最初の房から、もう一度スプーンを差し込んで最初に外し損なった箇所も一緒に食べたものだ。その方が綺麗に食べられる気がしたからだと思う。


 酸っぱいものが好きだったので、そのまま食べることがほとんどだったが、たまには甘みが恋しい時もある。そんな時はぐるっと実を外してからお砂糖を薄く全体に振った。カットしたうえにお砂糖を掛けるより、そうした方が染み込んでいくのだ。


 今はすくうときに果汁がとぶのが嫌で、包丁で林檎のように剥いてしまう。食べやすいし、見た目もちょっとおしゃれになる。

 ルビーとホワイトの両方を盛り付けるとよけいに可愛い。

 きび砂糖とキルシュやグランマニエを掛けると大人のデザートという感じになってまた素敵。