「なやましまんじゅう」と母は言っていた。

 「なやましいおまんじゅうって変な名前。どうしてそんな不思議な名前なんだろう?」

 かなり大きくなるまでそう思っていた。


 漢字を知ってから母に確かめたが

 「そうよ、なやましまんじゅうよ」

と譲らなかった。


 けれど何のことはない。「納屋橋饅頭」は「なやばしまんじゅう」だった。


 祖母が大好きだった、名古屋のお饅頭。

 甘酒を発酵させて作られる生地はほのかに甘く、さっぱりしたこし餡とよく合う。普通の酒饅頭とはなんとなく少し違う。


 小さい頃、オーブントースターで焼き色が付くまで焼くのが好きだったなあ。


 久しぶりの納屋橋饅頭、トースターで焼いた。

 やっぱり美味しい。

 子どもたちは

 「そのままが好き」

と言うけれどね。