児童扶養手当について、よく調べもせずに色々なSNSで発信する人たちがいる。
このコロナ禍(あまり好きな言葉ではないけれど)で余計に否定的な意見が増えている気がする。
「同棲しているくせに児童扶養手当もらって自分は働いてなくてずるい」
「母子家庭だからってお金もらってずるい」
「うちだって困っているのに、母子家庭ってだけでお金がもらえてずるい」
という実態を知らない人たち側からのものもあれば
「児童扶養手当で高価なものを買っておかしい。自分はもらえないのに」
「どういう基準で審査しているのか分からない。どうしてもらえないのかが分からない」
というひとり親家庭当事者側のものもある。
前者はまあ、仕方ないといえば仕方がない。
「相互扶助」という考え方の是非にまで話がいってしまうことだし、労働の対価としてでなく金銭を受け取ることを「ずるい」と思ってしまう感情は止めようがないのだ。
後者も仕方ないといえばそうだが、もう少し考えてほしいと思ってしまう。そういう類の発言は結局は自分たちひとり親家庭の首をしめることにつながりかねないのだもの。
いずれにせよ発言する前に少しは調べるといいのに。
審査基準は秘密でもなんでもないし、さらに自治体の裁量でもない。
きちんと厚労省のホームページに載っているのだ。
自治体によってはプラスで支給している手当ももちろんあるが、それも所得制限はあるし基準も明確に記されている。
基準が不透明であるかのような発言は、ひとり親への手当に対する世間の目をますます厳しくさせる。
不当にもらっているわけではないのに。
「母子家庭だけずるい」
という意見も見られるけれど、父子家庭だって数年前から受給できるようになっている。
父子家庭は母子家庭に比べて収入が多いため、所得制限にひっかかってしまい手当をもらえないだけであって、母子家庭だけが特別扱いされているわけではない。
児童扶養手当が満額で支給される所得制限がいかに厳しいか、また金額がどの程度なのかがもっと広く知られたら、社会はもう少しひとり親の手当に寛容になる気がする。