公園でも遊園地でも動物園でも博物館でも旅行でも、行けば楽しい。

 楽しいからといって疲れないかというともちろんそんなことはない。

 夢中になって遊べばそれだけ疲れる。

 それは、大人も子どもも同じだ。

 

 ところが、元夫はどこかへ出掛けた帰り道や帰宅してから子どもたちが

「疲れた〜」

と言うのを許さなかった。

 

 別に

 「疲れた〜もう嫌だ。眠い!」

などとぐずるわけではない。ただ普通に

 「いっぱい遊んだから疲れたね」

 「ああ疲れた〜」

と言うだけだ。

 けれどほんの一言そう呟くだけで彼は激昂した。

 

 「何を言っているんだ。疲れているのはこっちだ」

 「好きで出掛けたんだろう。こっちは付き合ってやっているんだ。何が疲れただ」

 「じゃあもう2度と連れて行かないからな」

 怒って怒鳴りつける。

 

 その度に

 「疲れたものは疲れたんだから仕方ないでしょう」

 「楽しかったってことと疲れたってことは話が別だよ」

と怒鳴る彼に言い返し

 「そんな風に大声出す必要はないでしょう」

 「楽しくなくなっちゃうでしょう」

と嗜めた。

 嗜めたところで彼の態度が変わるわけではなく、さらに激昂するかそうでなければ不機嫌になり、その不機嫌をあたりに撒き散らす。

 

 上の子がせいぜい小学校の低学年、下の子に至っては未就園児だ。

「疲れたね〜」

くらいは言ってしまうのは当たり前のことだ。

 

 そう、だから何度も何度も同じことがおきる。

 

 怒られれば子どもたちだって悲しくなる。

 不機嫌を撒き散らされれば嫌な気持ちになる。

 せっかく楽しい時間を過ごしてきても彼の態度のせいで一気に台無しになってしまうのだ。

 

 「すぐ怒るから、お父さんと一緒なら出掛けない。楽しくなくなっちゃう」

そう言い出したのも当然だろう。

 

 こうしてお出掛けも旅行も次第に元夫抜きになっていく。